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ある日突然、笑えなくなった話②キラキラネーム医師編

★初めての方こんにちは。数あるお話からたどり着いてくださった方、ありがとうございます。
育休中3人の子どもを抱え緊急入院した話です。前回のお話を購読、またはチップいただけたら大変大変助かります🙇🏻‍♀️⸒⸒



明くる日、朝イチ予約で総合病院へ…

予約をしていたので、今回は割とすぐ呼ばれた。

🩺👨🏻‍⚕️「どうも医師の佐々木(仮)です」

後ろには美人の研修医らしき女性が座っていた。緊張してるようで両膝揃え、背筋をピンと伸ばし、熱心に佐々木(仮)の話を聞いている

では、眉毛を動かしておでこにシワを寄せてみてください
目を軽く閉じて、、強く閉じて、、右目だけ閉じて…鼻をぴくぴくさせてみて、、頬に空気を含ませて膨らませてみて…イー、の口、、はいウーの口…

私の顔は右半面だけガッッッチリと固まっており、おでこにシワは寄せられないし、両目を閉じようとすると右目だけ半目の白目をむく。もちろんウィンクもできない。鼻の穴も奇妙に左しかヒクヒク出来ない。口も左側の力にグイッと引っ張られてしまうため、まるでものまね王コロッケの百面相

はい、、顔面神経麻痺には軽度、中度、重度とありますが明らかに重度の症状です。このまま入院してください

え、あの、1番下はゼロ歳なんです
他にも2人上がいて入院だなんて…

預けられませんか?

授乳もしてるんです。

投薬で授乳は出来なくなります。ミルクにして御両親に預けるとかしてください。

随分簡単に言うじゃないか貴様

だんだん脳内で佐々木(仮)を攻撃し始める私

夫の両親は仕事こそしてないが高齢
私の父は7年前他界、母は還暦を過ぎたがまだ働いている。
預け先などないのだ。

直ぐに答えが出ない

夫と末っ子は待合席で待っていたため、離席していた。

え、、言い訳しか浮かばないどうしよう

しかし、佐々木(仮)は続ける

中度ならギリギリ投薬で炎症を抑えられますが、重度なので即入院で内服薬では賄えない量のステロイドと抗ウィルス薬を点滴します。最低でも10日間…。これ以上、悪化させない為にも必要な治療なんです。どうかご決断を。。

すぐに返事は出来ない…

佐々木(仮)は
まあ、、どちらにせよ血液検査などあるので検査をしていただいて、検査結果を待ちながら預け先を探すなりしてください。はい次は〇番の検査窓口に行ってください。お疲れ様でした。

まだこの時、美人の研修医は神妙な面持ちで座っていた。


頭が真っ白だ
こんな時も自分の病状よりも子ども達のことが心配でたまらない
トボトボと夫と末っ子の待つ、待合室へ。

「どうだった?」

夫に入院の話をする…
でもそれで良くなるなら…入院しなよ。家の事、子ども達の事は何とかなるから、何とかするから

と、心強く言ってくれた

物凄く、不本意だが、、入院しか道はないようだ

今まで何年も薬にも頼ってこなかった。今回ばかりは仕方ない
我が家も完璧なる医療反対なわけでない。緊急時は必要だと思っている。

顔面神経麻痺(ベル麻痺)は疲れやストレスでヘルペスウイルスが耳裏のリンパにいき、顔面神経を圧迫して麻痺になるようで炎症をいち早く抑えることが完治への最短距離のようだ

ちょっとした風邪やらなんやらなら、家で寝てりゃ治るだろ派だが、今回ばかりはそうはいかないようだ

末っ子のためにミルク買わなきゃと急いでメルカリで新生児の時も飲んでいたbubsの粉ミルクを注文、明日の午前中には届くとのこと
悲しいかな自分のことは後回しでこんな時も頭の回転は早い

血液検査を終え、気持ちも固まった。検査結果が出しだい、また佐々木(仮)との対面だ

やっと呼ばれた頃に正午近くだった。

診察室に次は夫も末っ子も同席することに

美人の研修医は疲れが顔に出ていて朝イチ見たような背筋の伸びは無くなり猫背で脚も開き気味で座っていた

佐々木(仮)は言う
預け先決まりましたか?

こいつもう入院するテイで話してやがる

夫が見ます。

そうでしたか。良かったです!血液検査の結果も腎臓の数値に問題がないのでステロイド治療も出来そうですね!

佐々木(仮)はニッコニコだった。
イキイキすな。

夫がふと
「その、ステロイドの副作用って何ですか?」
質問をした
佐々木(仮)は言う
「ステロイドの副作用はですね、、えーあーあのー」

おいこいつ知らねーんじゃねぇか?
恐らく、診察室の誰しもが心の中で思っていた

「あのーえーあのーステロイド副作用、副作用はーあーあ!あの!お腹が空きます!」


お  腹  が  空  き  ま  す



はあ?



診察室にいる看護師、研修医、私たち夫婦の思いが一致団結した瞬間を目の当たりにした。


静まり返る診察室


それを察してか佐々木(仮)は慌てて続ける
「あ!えと!お腹が空きます!!なので胃液がたくさん出ます!だからーえーあのー!あ!胃潰瘍とかになります」

あ!て、思い付きで話すなや。胃潰瘍て。お腹が空くよりそっちのが重大やろ

私は夫と顔を見合わせた

ちなみに言い忘れていたが佐々木(仮)の見た目はタイムマシーン3号の関だ。


食いしん坊かよ


大きな声で言いそうになるが堪える

では、入院手続きをして本日より入院ということでよろしいでしょうか?

いや、あの今日の分の搾乳をしたり、入院準備自分でしたいので1度帰っていいですか?

はいもちろん大丈夫です!

はっきりと佐々木(仮)は言った


が、看護師からすぐにツッコミが入る
「先生!インフルとコロナの検査をしてから入院になるので外出されると困ります」


佐々木(仮)は慌てる

え、あ、!?え!?帰るの?!なんで?!

いや5秒前の記憶飛んだんかよ

説明したやんけ
しかももちろん大丈夫ですってその口が言ったんやろ

投薬始める前に搾乳しておきたいです。

えー、、んー、、搾乳ここで出来ませんか?


いや、どこに搾乳器持ち歩いてる奴がいるんだよ。搾乳した母乳もどこにしまうんだよ。専用の母乳パックがあるのよ。

美人の研修医はもう明後日の方向を見て座っていた。たぶんお昼ご飯のことでも考えていたのだろう。

そうかー、、まあ、今から入院しても今日の分の点滴できないし入院は明日の朝イチにしましょうか!

別に明日でもいいんかよ。緊急を要します!感は何処へ。

結局、次の日に入院に決まった。果たしてこやつに私の顔面神経を託していいのだろうか。。

諸々、不安を抱きつつも入院準備、書類一式終わらせた。

どうしてこう何度も何度も何度も名前、生年月日、住所を書かせるのだろう。右まぶたがちゃんとまばたき出来ないせいで乾く、目が霞む、疲れてくる…私の苗字は旧字で画数が多い。

家路につき、入院準備、書類をさらに揃えるため黙々と作業していた。そこで記されていた担当医名を見て驚愕する

※仮名です⬇

担当医:佐々木 騎士(ナイト)


いやナイトてwwww
ナイトてwwww歳下やん絶対ww平成生まれやんwwそりゃナイトじゃ副作用お腹が空きます!ってドヤ顔出来るわなw

せめて「空腹感」とか言い回しあるだろうが

ナイト(仮)だから仕方ないかとガッテンが行く

私の顔半分はナイト(仮)の手にかかっている。とても不安だったが、もう乗りかかった船だった

そして、子ども達と10日間も離れるなんて勿論初めての事でその夜は涙が止まらなかった。まさに断腸の思いでの決断。ちょっとポンコツ気味な小太りナイト(仮)に託すしかないのだ。

次回▶︎入院編、夜中の徘徊おじいと藤木直人似のお兄さんとリハビリ?

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