コロナによって変わった私の音楽環境
大学生から去年くらいまでの約10年間、私の音楽は常に同じようなサイクルで回っていた。
好きなジャンルは、邦楽オンリー。
何組か好きなアーティストがいたので、1年に数回は必ずコンサートに行っていた。
多い年は1ヶ月に1回。
1ヶ月に2・3回行ったときもあった。
だいたいのコンサートは新しいアルバムをひっさげるか、○周年記念のためのものだったので、行く前はそのアーティストの曲をばかり聴いていた。
友人とコンサートで何を歌うかを予想したり、アルバムの新曲たちを聴き込んだりするのも楽しい時間だった。
行った後も、セットリストをふり返ったり、原曲とライブでのアレンジの違いを思い出したりと、しばらくは余韻に浸っていた。
そうしている内にしばらくすると、また次のコンサートの予定が近づいてくるので、次のアーティストに切り替わる。
基本この繰り返しだった。
人にはそれぞれ自分に合った音楽環境がある。
私は、完全に“深くせまく”タイプの人間で、これからも何となく変わらないだろうなと思っていた。
それが、コロナによって変わることになろうとは。
行く予定だったコンサートも中止となり、旅行に行ったり人と会ったりすることすら難しい世の中になってしまった。
それでも、悪いことばかりではなかった。
語学の勉強をはじめたことをきっかけに、人と出会う代わりのように新しい音楽と出会った。
邦楽の好きなアーティストの曲しか聴いてこなかった私が、K-POPや洋楽を聴くようになった。
今のプレイリストは、K-POPと洋楽が中心になっている。
これには自分が一番驚いている。
たった1年の間にずいぶんグローバルになったものだ。
例えるならばコロナ前の音楽環境は、バスに乗っていて次の停留所に連れていってもらっているようなかんじ。
だが今は、車を自分で運転して好きな音楽を探しに行っている気分だ。
どちらもそれぞれの楽しさがある。
コロナによって失ったり変わったりしたことが多い。
ついつい悪いことにだけ目を向けがちだが、悪いことばかりではない。
少なくとも音楽環境に関しては良い変化をもたらしてくれた。
ただ、どんなに新しい音楽を探すことが楽しくても、以前の音楽環境が恋しくなることもある。
最初は開催することもできなかったコンサートが、1年たった今ではオンラインが主流になり、人数を減らしての公演も始まってきている。
夜明けは必ずやってくる。
待っていれば、いつか以前のような日常がやってくると信じている。
しばらく会っていなかった友人に会ったら、懐かしさと嬉しさが込み上げてくるような。
いつか以前と同じようなコンサートに行けるようになったときには、そんな喜びを噛みしめるに違いない。
音楽は”音”を”楽しむ”と書く。
色んな方法で音を楽しみながら、その日を待ち続けよう。
今日はそんなことを思った日だった。