ドイツで滞在・労働許可を取得するまでの話
今日は、海外に住む外国人であれば必ずぶち当たる滞在許可についての記事を書きたいと思います。
ミュンヘンでの職は二年間という期限付きでしたが離任後もドイツ語圏に残りたいと思っていた私がまずしたのは、「ビザサポートのある雇用先」を見つけることでした。外国で日本人が仕事を見つける際、応募条件に「有効な滞在許可を有している人物のみ応募可」と書かれていることは珍しくないし、記載が無かったとしても実際の面接中に「滞在許可が無い」ということを伝えると、良くない反応をされることも少なくありません。確かに雇用と同時にその人材の滞在許可の責任まで負うのは、会社側としてはリスクが高いですよね…でも私はドイツ人や滞在許可所有者の配偶者でもないしワーホリも難しい、現段階ではフリーランスビザを申請するほどドイツ国内で仕事の受注を受けていないので、雇用主が提供するそこの組織での仕事と紐づいた就労ビザを取得するしかドイツに残る道はありませんでした。
私が今まで調べる限りでは、日本人がドイツで雇用先との契約に基づいて一般的な就労ビザを取得した場合、24ヶ月間税金を納めきるまでの間は雇用先と滞在許可が紐づいていると把握しています(24ヶ月という数字は、今までの学歴や所得額によっても振れがあるとも聞いています)。というのは滞在許可と同時に渡されるZusatzblattという紙に就職先の名前と労働条件が記載されているので、それ以外の仕事はしてはいけないようになってるのです。ので副業もダメ。労働許可を申請済みでドイツで税金を納めている個人は、国籍問わずそれぞれに固有の税金番号も付与されているので、仮に副業をしていたら給与支払いの際にバレてしまいます。おそらく日本も同じ仕組み?で、とあるカレー屋さんのインド人店主が「僕は日本ではカレーを作る仕事しか許されていないから、カレーを作るしかない🍛」と言っていたのは、これか!と思い出されました😆また、もしも二年の間にその雇用先との契約が終了する様な何らかのことが起きれば、同時に滞在資格も失効するのです。要はビザを人質にとられている訳ですね…。
この「就業先の縛り」が災いとなって、仕事のオファーを泣く泣く断念するしかない状況が私にも数回起こっています…なので目下、"Erwerbstätigkeit gestattet"と書かれている、制限のない労働許可を手に入れたいなぁ、という目標はうっすらあります。これがあれば単発の翻訳通訳やGastとしての音楽家の仕事も受けることが出来・自分の経験キャリアが広げられるから。日本にいた時は基本フリーランス、個人事業主で働いていたので、どうも一つの組織に身を捧げるのは性に合いません。会社や組織が基本苦手なんだと思います。また、音楽の業界に戻りたい目標もあるので、その面でも今の仕事は二年迄だとうっすら決めています(勿論職場の人には誰にも話してませんが…)。
で、この滞在許可・労働許可ですが、昨今中々付与されず・結果やむを得ずに不法滞在状態になってしまっている駐在員や留学生が相当数いる、と聞いています。場所はドイツのみならず、ヨーロッパ主要国ならどこでもそんな状況だとも耳にしました(少なくともフランス、イタリアはよくそうした不満を聞きました)。前職在職中は私にもこうした相談は多く寄せられていましたし、留学をしている音楽仲間もよく「ビザがまだ出来上がってなくて、外国に出られない・旅行できないの」と言っていました。それも申請者側には非がなく、きちんと書類を用意しているのにも関わらず、外国人局側からの返答を待たされているというケースも多発。特にミュンヘンのような大都市では、住民登録のためのアポすら、やっと3・4ヶ月先のものが取れるような状況がざらだと。
前職では連邦警察ともよく一緒に働いていたこともあり、こうした滞在許可問題
には少なくとも一般の人よりは通じていたため、今回ハンブルクに来る際の自分の滞在許可取得についてはかなり早くから動き出していました。尚、通常の就労ビザ取得に際しては、申請者本人が出頭すべき・コンタクトを取るべきは外国人局Ausländerbehördeのみで、労働局Arbeitsamtには特段のタッチは不要です(私はここが分かっておらず、どちらともやり取りをしないとならないのかと誤解していました)。具体的には7月にはすでに現在の雇用先の管轄である外国人局にメールで問い合わせをし、例外的にメールでの書類提出を認めてもらい・住民登録以外の必要書類は全てメールで事前提出を済ませた状態にて、ビザで許されている90日以内滞在の枠内で10月8日に入国、翌日10月9日には仮住まいの住所で住民登録完了、その後すぐにメールで外国人局に住民登録了の旨を通知・書類を提出し、10月10日の勤務初日にはメールにて以下画像のような「労働許可する」という通知を得られました。
でも私のような労働許可が降りた状態で勤務を開始出来てるケースというのは本当に稀で、実際のところ勤務初日には滞在許可や労働許可が降りてないまま多くの外国人達は働き出している&働きながらパラレルに申請を進めているとも聞きます。繰り返しですが、私は前職でこういう状況を一番間近で見ていて・かなり事情に通じていたので、メールやり取りであっても担当者が対等に会話してくれるような文章を書けたのが大きいと思います。私の会社は実はハンブルク郊外Schleswig−Holsteinなので、Hamburg市内より全然申請数が少なく・外国人局の担当者も真摯に対応してくれたのだとも思います(それでも担当者は電話には一切出てくれず・メールやり取りも最低限でしたが…)。そういう意味では、今回は本当に運が良かったのでしょう。
そしてこのメールが届いた数日後に、担当の方から実際に外国人局に出向くアポの通知が郵便で来ました。そして先方に指定された10月28日に写真を持参し外国人局に出向き最終手続き&現地で支払い。申請費用は100ユーロ、高い!その1週間後かな?には仮ビザFiktionsbescheinigung(この記事のサムネになっている紙ペラです)が届きました。本ビザの方は12月9日に出来上がるので、それ以降任意の時間に引き取り証明Abholscheinを持参してピックアップに行くよう言われているのが現状です。ので現在はまだカード型IDは持ち合わせていなく、基本Fiktionsbescheinigungとパスポートを二重携行しています。12月9日までは外国に出る予定もないですし、もし出張が入っても上記二点で事足りるとも思います。
因みにビザ申請用必要書類として提出を求められたものは以下でした。
・パスポート顔写真ページのデータ
・滞在許可申請書 Antrag auf Erteilung eines Aufenthaltstitel (G)
・雇用条件説明書 Erklärung zum Beschäftigungsverhältnis ※
・諸資格証明書 Qualifikationsnachweise
・ドイツ学歴相当証明書 Auszug von ”Anabin”
・住居契約 Mietvertrag ※
・健康保険加入証明 Versicherungsbescheinigung
・住民登録票 Meldebestätigung ※
滞在許可申請書は基本的にHPで自分でダウンロードが出来、情報を自分で埋められるので準備はそんなに大変じゃないのですが、※がついたものは人に作ってもらう必要があるので事前に根回ししとかないとなりまへん…住民登録は仮住まいの住所でもすぐ出来、最悪は間借りして同居人の住所を書いても良いとも聞きますので比較的ハードルは低いのですが、なんせ本人出頭が必須のところが多いと思われるので、アポの取り付けが面倒だと思います(私の場合は管轄署がオンライン予約制だったので事前のアポ付けが楽ちんでしたが、それでも9月頃?からいつ予約開始になるかいつも見張っていました。前述の通りこのアポ付はミュンヘンの場合は、3・4ヶ月先のものしか取れない程の混み具合です)。住民登録はとにかく大事!で滞在許可申請以外でも住民登録が済んでいないと話が進まないことが多いので、なんなら空港に着いたその脚で役所に出向く位でいても良いと思います。Qualifikationsnachweiseは就活でもう使っていた1セットがまとまっていたので楽でした。内容としては高校からの卒業証明+成績証明+語学証明(Goethe-Institut発行のC2合格証明書、TOEIC、IELTSの成績証)+過去の雇用先が出しくれたArbeitszeugnisseの一式。日本の学校からの発行物は勿論全て英語です。保険の加入は面倒ではあるけど、オンラインで済ませられたので手続き自体は楽でした。私的に一番やり方がわからなかったのはAnabin…日本で卒業した大学・院が、ドイツの教育機関卒業資格と同等かを証明するためのものなのですが、これについてはまたいつか別の機会に記事を書きたいと思います。
これらを、ドイツ語がわからない駐在の方などが自分で一からなさるのは本当に本当に一苦労だと思います…ドイツ語歴20年の私ですら苛つく瞬間が何回もありましたし、ドイツ人は逆に滞在許可については何もわからないので(私たちも日本にいる外国人用滞在許可のことは分からないですもんね)誰にも聞けないし。一番楽に済ませられるのは、日本で在東京ドイツ大使館を通じて申請を済ませておくことかな、とは思いますが、経験上在京独大もまぁ不親切(御免なさいね…でも事実!)で、どのみちストレス発生案件です💀「誰かの役に立てばいいな、記憶のフレッシュなうちに覚書を」と思っての投稿でした。そのうちもっと読みやすい・本当に困ってる人がこの記事に辿り着きやすい様に検索とかにも引っかかりやすく書き直せたらと思いますが、長くなってしまいましたし今日はここまで…✒️