
「流派」と捉えれば、生きやすいかもしれない。
「いろんな流派がある」
という考え方を少し大事にしている。
茶道や華道と同じように、目的は同じだけど方法が違う。解釈が違う。アプローチが違う。その様なことって世の中に沢山あるんじゃないかって思っていて。
私は今までアパレルや美容室、クリニックなど色んな仕事をしてきて、スタッフ教育や顧客教育もしてきた。接客業を主な生業としてきたわけだが、とにかく色んな意見や思想、理屈が出てくる。AかBかだけかと思いきや、AよりのBとかAの派生とか、まぁとにかく色々。
美容なんかは分かりやすい例になる。
「綺麗になりたい」という目的は同じだけど、ダイエット・温活・エステ・クリニック・サプリ・薬・ヨガ・ジム・ピラティスとか何を優先して実行していくかによって、まず大きく選択が分かれる。
その上で、クリニックで美容施術を受けるとしたとして、「Aクリニックの先生はこう言ってた。でもこちらはそうじゃないんですか?どっちがいいんですか?」なんてフレーズはカウンセリングしているとまぁ往々に聞くワード。同じ機械を使うとしても、使い手の理解や解釈なんかで全然違う使い方が出てきたりするものだから、どこのクリニックにするか決める時に悩ませてしまう事実があったりする。
ただ、これは「流派の違い」だと説明する。
Aクリニックの先生が仰ってることが間違いって訳ではないし、こちらはこちらのデータも持ってて、これがいいと判断してオススメしている。だから、誰が間違っているとかそういうのではないんだと。(時々、本当に間違ったことを言う人もいるのでその辺は注意しなきゃなところではあるが。)
コラーゲンが良いとかレチノールが良いとか、ピーリングが良いとかダメだとか、色んな意見があるし、色んなエビデンスもあって、実際それで綺麗になれた人もいて。それが自分に合うかどうかはやってみないとわかんないよね。オススメしてくる人も経験則なわけで、絶対なんて言えない。だからこの人信頼できそうとか、目に見えないものも含めて、何を決め手にして、決断するかは自分次第だよね。
で、なんでこの「流派」って話をしようと思ったかというと。
もう10年ぐらい私はピルを使って生理を止めて、お薬代はかかるし病院にいくのも面倒ではあるけど、至って快適に過ごすという選択をし続けている。
とにかくPMSが酷くて、前後の症状もなかなかでメンタル総崩れして、脳内で何人殺しただろうというぐらい、普通に居られるのが月に3日ぐらいしかない生理に苦しめられてきた女子だった。仕方ないことだと諦め半分で過ごしていたが、これでは仕事にならない!と婦人科を受診したのが約10年前。ノリの軽いおじちゃん先生で、生理が辛いってことに寄り添ったりはしないけど、うん!しんどいよね!とサクッと話を進めてくれるので、あんまり重たいことの様に捉えずに済んだ私は、じゃ!ピル使ってみる!とこれまた軽い感じで使い始めた。お薬だから合う合わないとかはあったけど、生理が来ない。というだけでこんなに快適に過ごせるとは、想像のはるか上の効果だった。
ただその頃、人にピルを使ってるよと話すとあんまり良い反応が返ってこないような時代でもあった。生理止めるのどうなんだ、人の機能を薬で止めるなんて、体に良くない。ピルなんて使ってるから痩せないんだ。(うるさいな)とか、否定的な意見をもらうことが多く、よっぽど仲良くなった人か本当に生理で苦しんでる人でなければ話に出すのも躊躇うほどに、まだ受け入れられてない感じがあった。
だけど時は流れて、フェムケアという言葉が一般的になり、美容の総合展示会に行けばブースの半分はフェムケアに当てられる。雑誌の特集だって組まれるし、TVで普通にフェムケア商品が紹介される。性について堂々と話す人がすごく増えてきた。
そういうのを見てて、私はピルを普通のことだと思って使ってるけど否定的な考えの人がいることも承知している。ピル使ってると言うと、じゃぁ避妊しなくていいよね?とかいうクソみたいな男もいると知っている。
だけどピルを使うと決めたのは、私自身が快適な生活を送るために、数ある選択肢の中から選んだのがそれなだけで、誰かのためじゃない。
別に隠す様なことでもないし、同じ様な人いないかなーと軽い気持ちで、Instagramストーリーに上げてみようと思い立った時に「流派」というワードが出てきたから、ここにも書こうと思った次第だ。
そして「なかなか理解されないけど、同じように思ってる人がいて嬉しい」とDMをくれる人が現れた。そうだよね!いるよね!と嬉しくなった。
私は現状、子供が欲しいと思ってはいないし、何だったら結婚願望もない方だし、一人で生きていくと決めたわけでもないけれど、今はおひとりさまを楽しんでいるだけ。生理が必要ないとは言わないけど、今の私にはあの痛みもメンタルの波も乗り越えて過ごすだけのメリットもベネフィットも見つからないから止めるという選択をしている。
ただ、それだけのこと。
いろんな人がいて、いろんな意見があって、思いがあって、それはポリシーや信条によるものだったりするのかもしれないけど、人が何を信じて、実行し、貫いていくのかは自由以外の何ものでもない。みんな違ってみんな良い的な標語よりも、目的は同じだけどアプローチが違う。「流派の違い」と捉える方がしっくりくる。
あんまりにも意見が合わない時は、生きてきた世界線が少し違うというか、見えてる景色が違うんだと思う。
うん、流派の違いですね。とあんまり良い人ぶらないで捉える方が、幾分生きやすい気がする。こんなことは無限にあるのだから。