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『百人一首を自分なりにアレンジしてみた。』No.13 陽成院

筑波嶺の 峰より落つる男女川 恋ぞつもりて 淵となりぬる

陽成院(第十三番)

(現代語訳)
筑波のいただきから流れ落ちてくる男女川(みなのがわ)が、最初は細々とした流れから次第に水かさを増して深い淵となるように、恋心も次第につのって今では淵のように深くなっている。

*****

僕は高校二年生だ。
朝早く学校へ行って自主勉強するのが毎日の日課。
いままで勉強しかしてこなかった。
通学は、いつもの時間、いつもの電車に乗って、途中で学校方面へ行く電車に乗り換える。
乗り換えた先では、いつも同じ女子高生がいる。
彼女はいつも本を読んでいる。
制服は自分の高校のものとは違うけれど、同じ時間の電車に乗るんだな、と思っていた。
それからなんとなく、「今日はいるだろうか」と気になるようになってきた。
乗り換えた先に彼女がいると、今日もいつもと同じ日が続くと感じながらも、なにか特別ないいことがあるかもしれないと期待してしまう。

ある数日の間、彼女の姿が見えなかった。
少し、いや、おおいに動揺した。
どうしたのだろう。
その間、自分の身に嫌なことが起こるかもしれない、日常とは違う、と感じてしまった。
いつの間にか、彼女の存在が特別なものになっていた。
これはなんだろう。
それを、学校の友人に話してみた。
彼女のことを話すのは初めてであった。
 友人は、簡単に答えを出した。
 「それは、惚れてるからだよ」
 そうなのだろうか。
 気になって仕方がないのは、惚れてるからなのだろうか。

 数日後、普段どおりの通学時間。
 電車を乗り換えると、あの子がいた。
 以前と変わらない様子で本を読んでいる。
 「それは、惚れてるからだよ」
 友人の言葉が頭をよぎる。
 勇気を出して、声をかけてみようか。
 しかし、ただ同じ電車に乗っているというだけで声をかけるのはおかしい気がする。
 僕にはわからない。
 たぶん、あの友人なら答えをだしたのと同じように、簡単に声をかけてしまうだろう。
 慎重な僕とは正反対の性格なのだから。
 さて、いつ声をかけるかは、また今度のお話だ。

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綾乃
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