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【奇祭の話】「水止舞」に行ってきた

「簀巻き(すまき)にされたおじさんが、法螺貝を吹きながら転がる祭りがある」

最初にそんな噂を聞いた時、言っちゃいましたよね。

「情報量が多過ぎる」

そりゃ言っちゃいますよ!
だってさらに、観客は転がるおじさんに、水をぶっかけるというのです。
情報量が多過ぎるよ。

残念ながら噂を聞いた直後にコロナが流行してしまい、2024年夏、ようやく行けたのでレポートします。


水止舞(みずどめのまい)
2024年7月15日13時~
場所は東京都大田区厳正寺(ごんしょうじ)。
なんと本祭りには約700年の歴史があります。

アナウンスによると、厳正寺から少し離れた交差点から始まるとか。
最寄りの駅で降りたときは、周囲のあまりの平和さに「本当にこの町でおじさんが簀巻きにされてるのか?」と疑問に思ったのですが…


されてました。



おじさんというにはまだ若い、男性二名が簀巻きにされ、びしゃびしゃになりながら法螺貝を吹いているではありませんか!!

も、もっと近くで見せてくれ…

駆け寄った私に、大量の水が降り注ぎます。
聞いてませんが!!

どうやら水止舞、
観客「が」おじさんに水をかけるのではなく、
観客「も」おじさんと共に水をかぶる祭りのようです。

笑顔で逃げ惑う小学生たち。
実況配信するyoutuberらしき二人組。
絞れるほど水浸しのスカートに、
「液体が検出されたから充電しないで」と叫ぶiPhone。

収集がつかなくて、そしてあまりにも楽しくて笑いが止まりませんでした。
最高に「夏」です。

「転がされる」のではなく「運ばれる」という移動方法のようです。
水の補充も十分。
絞れましたね。



男性たちは法螺貝を吹きながら厳正寺に運びこまれ、降ってくる水もヤケクソのように大盤振る舞いになっていきます。

右上、私に直撃した大盤振る舞い水です。



ここまでが『道行(みちゆき)』と呼ばれる雨乞いの儀式。

ここから『水止舞(みずどめまい)』と呼ばれる水止めの儀式。

男性たちをくるんでいた藁がほどかれ縄状となり(この藁は龍をあらわしているようです)、その藁で囲んだ舞台の中で舞が始まります。

舞手と唄い手の着物の模様は龍のウロコを象徴しているそうです。


初めて見るビジュアルに大興奮。

アナウンスで舞の説明も丁寧にしてくださったので、理解が深まりとても興味深かったです。

※詳細は公式サイトから。
とても面白いので是非読んでください。


間違いなく奇祭でしたが、地域の方の愛と敬意が伝わる素晴らしい祭りでした。

超おすすめです!

※下着まで濡れるので、訪れる際は着替えを忘れずに。あとスマホの防水カバー。