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警察宣伝は本当に恐ろしい!? 警視未満の警察官は、人形未満という意味ですか?

 『池袋ウエストゲートパーク』(2000年)の第9話「さらば、最愛の友よ」の4分15秒あたりに池袋警察署に連行されたG-Boysの面々が廊下に並ばされている前を、渡辺謙演じる池袋警察署署長横山礼一郎が通りかかると、G-Boysの一人が「きたねーぞ、犬野郎」と罵る場面がある。

横山署長は「犬野郎」という言葉に激高し、

「誰だ。今、犬ったのは?前へ出ろ!」

と叫ぶ。

「きたねーぞ、犬野郎」と罵ったG-Boysの少年が前に進み出て

「何だよ、犬は…」と言いかけると、

横山署長はいきなり、少年に肘打ちして

「お前の顔は絶対忘れないからな」と少年を睨みつける。

 この場面から、警察官を「犬野郎」と呼ぶのは、一般的に警察官を激高させるのに十分な警察官を侮辱する言葉だと認識されていることを示していると思われる。脚本家の宮藤官九郎だけがそう思っているだけだというへそ曲がりもいるかもしれないが…、一般的には、そうなのだろう。

 だいぶ前だが、『神奈川新聞』のニュースサイト『カナコロ』に「事件解決に貢献、2匹の警察犬を表彰/横浜」という記事があった。

 CI活動として、警察犬や女性警察官を使うのは、警察宣伝の定石だが、この種の宣伝は、警察官を侮辱している様に思われるのだが、そう思うのは私だけだろうか?

 「事件解決に貢献、2匹の警察犬を表彰/横浜」によると、

 神奈川県警神奈川警察署は、「強盗致傷容疑の男の逮捕に貢献したとして、県警鑑識課所属の警察犬2匹に署長賞を贈った」のだそうだ。

 素朴な疑問なのだが、署長賞は誰でも、犬でも貰えるモノなのだろうか?署長賞を貰ったことのない警察官は、存在するのだろうか?

 もし、署長賞を貰ったことのない警察官がいたら、署長賞を貰ったことのない警察官は、犬未満のヒトということになりはしないだろうか?

 神奈川県警は、毎年多くの盗撮犯を輩出する警察で、交番で盗撮する警察官がいたくらいである。

 「犬野郎」と言われる警察官どころか、警察署認定の犬未満の警察官がいるということなのだろうか?

 犬ばかりでなく、猫を使った警察宣伝もある。以前、猫が一日署長か何かになって、警察署長の制服を着せてもらっていた。

 たしか、警視か警視正の制服だったと思う。

 警視未満は猫未満なのか…?

 そんなことをすると、猫の手を借りた方が警察の仕事がはかどるんじゃないかと揶揄されかねない。

 犬猫ばかりではない。警察宣伝には、人形も使われている。

 沖縄県警宮古島警察署には、手塚治虫の『ブラック・ジャック』の「人形と警官」に登場する人形そっくりな、警察官型人形「宮古島まもる君」がいる。

 『宮古島タウンガイド』によると、宮古島まもるくんは、平成8年生まれの14歳。身長180cm、体重は5kg、所属は「宮古島地区交通安全協会職員兼宮古島警察署交通課職員」で、階級は「警視待遇巡査長」なのだそうだ。

 これでは、警視待遇未満は、警察官型人形未満ということになってしまう。

 警察宣伝を事実と解釈すると、警察には、犬猫未満の扱いを受ける警察官や、生物未満の扱いの警察官が大勢いることになってしまう。

 筒井康隆の『無人警察』ではないが、これでは本当に警察には人間がいないことになりかねない。警察宣伝というのは、恐ろしい。

 やはり、警察宣伝をする警察に「文芸の哲学的基礎」が欠けているから、こんな宣伝ができてしまうのだろうか?

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