『松ヶ根乱射事件』という映画を観た。
ちょっと前に、『松ヶ根乱射事件』(まつがねらんしゃじけん)という映画を観た。
山下 敦弘(やました のぶひろ)監督の2006年の作品だ。
松ヶ根派出所に勤務する主人公の鈴木光太郎巡査(新井浩文)が良かった。
鈴木巡査が、派出所の天井裏にネズミが出ると言って、天井裏にネズミの罠を仕掛けるシーンがある。
この天井裏のネズミの描き方が、「失われた週末」の小動物のようで、実によかった。
映画では、実際にネズミがいるのかいないのか、定かでない。
鈴木巡査は、1時間39分40秒当たりで、同僚の立原(康すおん)という警察官に、
「あのさ、本当にいるのネズミ。俺、一回も見たことないんだよな」
「お前しか聞こえないんじゃないの」と指摘される。
本当にネズミがいれば、番町皿屋敷的数のトリックによるいじめの例と言える。
警察内には押収品の数が合わないことを理由に焼身自殺した警察官や、けん銃庫に拳銃の数の確認に行って拳銃自殺した警察官など、数と関連して、自殺する警察官が後を絶たない。
ネズミがいるいない(1か0か)というのも、数のトリックの応用だ。
もし、ネズミがいなければ、気のせい。
気のせいでなければ…
心霊現象か精神異常ということになるだろう。
私には、警察官の精神異常、警察官の精神が静かに破壊されて行く過程を暗示しているように思えた。