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松田優作主演のテレビドラマ『探偵物語』の刑事たち

 最近、松田優作主演のテレビドラマ『探偵物語』(1979年から1980年に日本テレビ系列で放送されたテレビドラマ)がマイブームだ。

 松田優作主演ドラマ『探偵物語』の第一話の一番最初のシーンは、松田優作演じる工藤俊作の枕元に置いてある千代丸健二『無法ポリスとわたりあえる本』( 二見書房、1979年)、千代丸健二『無法ポリスとわたりあえる本 part 2 実践篇』( 二見書房、1979年)の二冊の本の背表紙が、なんとか読みとれるようなカメラワークになっている。

 このドラマは、無法な警察官と渡り合う探偵を描いた、ドラマであり、警察批判をテーマに作られたドラマと言って良いだろう。

 まだ、全部は見ていないが、これまで見た範囲では、警察関係者の描き方が素晴らしい。

 服部刑事(成田三樹夫)、松本刑事(山西道広)の強請り、冤罪等々、警察官の犯罪の数々が、ドキュメンタリーのごとく描かれている。

 特に第14話「復讐のメロディー」34分50秒辺りのシーンでの工藤俊作(松田優作)と西田治彦刑事(長谷川明男)の会話が素晴らしい。

工藤俊作(松田優作): 「…それが、どうしてさ。女を暴行して殺す必要があるんだよ」

西田刑事(長谷川明男): 「この世にはな、警察が必要なんだよ」

工藤俊作(松田優作): 「しかし、罪もない女を殺すために警察が必要なわけじゃあるまい」

西田刑事(長谷川明男): 「警察は常に正義だ」

工藤俊作(松田優作): 「何をやってもか」

西田刑事(長谷川明男): 「制服の後ろにはいつも正義がべったりとくっついていて、とれやしないんだ」

工藤俊作(松田優作):「よくわからんな。何が言いたいんだ」

西田刑事(長谷川明男): 「言ってやろう。俺は警察官なんだ。だが、お前は違う。お前はただのどぶさらいだ」

女: 「西田」

西田刑事(長谷川明男): 「女、これ以上俺につきまとうなら、次は、正当防衛で殺す」

 このシーンは、連続婦女暴行殺人犯の警察官のわけのわからなさをよく表現している。

 松田優作主演のテレビドラマ『探偵物語』は服部刑事(成田三樹夫)、松本刑事(山西道広)によって、不祥事警察官の犯罪的性格が良く描かれている。

 『TRICK』(2000年7月~9月にテレビ朝日系列で放送されたテレビドラマ)の矢部謙三刑事(生瀬勝久)と石原達也刑事(前原一輝)は、不祥事警察官の病的性格が良く描かれている。

 『探偵物語』の刑事たちの犯罪的性格と『TRICK』の刑事たちの病的性格を合わせたモノが、現実の警察職員(警察官と一般職員)と思っておけば、警察官になってから、何を見ても動じない、心の準備ができるに違いない。

 警察官募集への応募を検討中の方は、松田優作主演のテレビドラマ『探偵物語』の服部刑事(成田三樹夫)・松本刑事(山西道広)、『TRICK』の矢部謙三刑事(生瀬勝久)・石原達也刑事(前原一輝)を観て、警察内の様子を想像してみて、そのような環境に耐えられるかどうか判断してから、警察官になりましょう。そうすれば、何が起こっても平常心で対応できる、素晴らしい警察官になれるに違いない。

※松田優作主演のテレビドラマ『探偵物語』第14話「復讐のメロディー」の西田刑事(長谷川明男)の「制服の後ろにはいつも正義がべったりとついていて、とれやしないんだ」との言葉は、アニメのワンピースの海軍の制服を思わせるという意味でも、興味深い。

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