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100円ショップの戦略/ポジショニングに迫る!

こんにちは!あやなです〜〜

もう2020年も終わりですね、、早すぎる!!

さて年内最後のNote更新でしょう!
今回は【100円ショップ業界】を取り上げてみようと思います!

小さい頃から身近な存在の100円ショップ。
けど日本の100円ショップブランドってすごくて、途上国や新興国でもダイソーとか見かけるんですよね。100円にしては高品質・バリエーション豊富で、多くの人の生活を支えているな〜と思います。

今回はその100円ショップ業界を引っ張る大手4社のブランドを取り上げます!「ダイソー」「セリア」「キャンドゥ」「ワッツ」の4つです。

もちろん同じ業界なので、それぞれブランドコンセプトや戦略も違ってきます。今回はその点に注目しようと思ってます!

目次はこちら


1. 100円ショップ業界ってどんな状況?

*100円ショップの変化

日本の100円ショップ業界は4つの会社・ブランドが市場を独占している状況です!

・大創産業の「ダイソー」
・株式会社セリアの「セリア(Seria)」
・株式会社キャンドゥの「Can Do」
・株式会社ワッツの「Watts」「
Watts With」

の4つです!みなさん全て知っていると思いますし、家から近い場所に何か1つの店舗はあるのではないでしょうか!

100円ショップって結構消費者のイメージも変わってきているかなと思っていて、昔は安くて、質もどうなんだろう、、ブランドやお店のイメージもあまり明るい印象はない感じで、100円ショップの物を持つことにある一定の嫌悪感を持つ人もいたようです。

しかし、近年はガラッとイメージが変わって、100円にしては驚くほどの高品質・デザイン性・多様性を持った商品展開や明るくて入りやすいお店の内装・ブランドイメージを持っていると思います。100円ショップのモノをたくさん持っていても、そう見えないし恥ずかしくなくなりました!

ダイソーとか、近年リブランディングしたこともあってイメージがガラッと変わりました。

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かなりイメージが違います!お洒落で可愛い感じ!若者が大好きそうな雰囲気です。

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もちろんダイソーに限ったことではありません。コンセプトは若干違うものの、4つとも凄く明るくて綺麗な印象ですよね〜
私が小さい頃、10年以上前とは100円ショップのイメージやコンセプトって凄く変わってきて、多くの人に人気のある存在になったと思います。そしてそれは単に「安い!」ことだけが人気のある理由ではない気がします。


*4つのブランドの売上の変化は?

時代に合わせて、消費者の価値観に合わせてどの会社・ブランドもアップデートしてきました。なので、基本的に成長市場です。

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やはり、業界トップのダイソーが抜きん出ていて、その後をセリア、キャンドゥ、ワッツと追っています。

2015~2019の成長の幅としては、
・ダイソー
・セリア(ダイソーの約2分の1)
・キャンドゥ・ワッツ(同じくらい)

の順で、幅が多いです。ダイソーがここ5年でも一番売上を伸ばしています。

下が、直近の売上・営業利益・営業利益率・店舗数・企業状況です。

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まず、ダイソーは残念ながら非上場企業なんです。PL数字としてはっきりしているのは売上のみですので、PL面は他3社で比較していきます。

セリア、キャンドゥ、ワッツのPLで注目して欲しいのは、セリアの営業利益率の高さです。他2社とは大きな差があります。この要因ものちに説明します。

*100円ショップブランドを経営する上でポイントなのは?

さて、100円ショップの経営を続けるのには
単に100円とは思えない商品を100円で安く売り続けていればいいっていうもんではありません。

私なりに何がポイントになるか考えてみました。3つあります。

①規模の経済が大事
・100円の商品は粗利率がそこまで高くないと思います。大量生産をしてコストを抑えて精算し粗利率を高める努力はもちろんすると思いますが、、。そうなるといかに多く売れるかが肝になるのではないでしょうか。店舗数や規模数が大事なのではないでしょうか。

②いかにコストカットした運営をできるか?
・①で触れたように、粗利率が高くならないからこそ販管費率をどれくらい押さえられるかが肝です。
・そもそも原価率を下げて粗利率をなるべくあげる手段も大いにとることができます。

③消費者のリピート率をどれくらいあげられるか?
・100円ショップで買い物する人って、、値段を気にしないで買う人が多いですよね。雑貨店で1000円を超えるような商品を値札も見ないでポンポン買える客は滅多にいないけれど、100円ショップでは欲しいものを全部カゴに入れる勢いで買っていく。そこに強みがある一方で、それが弱みでもあります。
・上記のように、気になるものは値段を気にしないで買ってしまうせいで、すぐ飽きられることがリスクです。同じ商品についてリピーターが付きにくいので、消費者にウケのある新商品を出し続けることが大事!そしてその先にブランドの支持者・ファンを作ることも大事ですね!


2.100円ショップそれぞれの事業戦略


さて、それぞれ4つのブランドの戦略面に入ってきます。
私が先ほど取り上げた3つの100円ショップを経営する上でのポイントが出てくるのではないでしょうか、、!

①ダイソー:規模の経済作戦

ダイソーはとにかく店舗数の数、多様な人にニーズのある商品ラインナップと圧倒的商品数で勝負しています。

店舗数も4社の中で1番多く、国内は3,493店舗(うち2,646は直営)
海外のダイソーは28ヶ国で2,248店展開しています。

ダイソーは老若男女にニーズのある、マスにウケる商品ラインナップです。
2019年にブランディングを一新してピンクでより女性ウケするイメージに変化していますが、(セリアを追っかけたか?)男性向けの商品も多数展開されていますし、子供向けの商品、若者向けのコスメ、主婦向けの雑貨や食品類まで充実しています。
昼間に近所のダイソーに行ってみたら、本当に老若男女来ていましたよ!

また、ダイソーが扱っている商品は7万アイテムで新商品毎月800アイテムです。1つの商品に対しても様々なバリエーションで展開されています。4社の中で最大です。他は2万〜3万アイテムほどのよう。

そして店舗の大きさも基本大型で多くの人が集まる大都市やショッピングモール内に展開してく方針のようです。年間150店舗〜ずつ開店するスタンスで勢いも感じられます。

棒グラフ:売上 /   折り線グラフ:店舗数

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また、商品企画から製造、輸出入、物流、販売までをすべて自社で行っているSPAモデルを取っています。こうすることで、商品を大量生産して、在庫管理も徹底して行い、コストカットすることで原価を抑えて、できるだけ粗利を作りつつ大量販売していきます。

ダイソーは100円以外の300円〜500円の商品も増やしてきていて、多様なバリエーションで粗利をできるだけ多く作っていきたい姿勢がわかります。

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次にセリアです!
その前にセリア・キャンドゥ・ワッツのPLを貼るのでこれにも触れていきます!

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②セリア:ブランディングを尖らせてファン層を作る作戦

セリアはダイソーに次ぐ店舗数・規模感ですが、よりマスよりもターゲットを尖らせてブランディングしています。

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ブランドイメージは「Color the Days ~ 日常を彩る ~」
ファッション性が高くてお洒落な商品が100円で手に入るのが1番の特徴です。

女性、特に主婦がターゲットかなと思っています。私がダイソーの後にセリアに行ったら見事に女性しかいませんでしたw
なので、女性顧客をターゲティングとした商品開発+売り場レイアウトの工夫になります。

ハンドクラフト商品、DIY商品、キッチン商品や食器類がレイアウトとしても強調されていました。コーナーとして確立していて種類も豊富です。

女性受けしそうな商品開発に力を入れていて、アウトドアグッズなども近年開発したようです。セリアを好むコアなファンを作ることでリピート作戦。

全てが揃うダイソーは食品類や男性衣類も充実していましたが、セリアの商品ラインナップはターゲットに合わせて選択と集中がなされているようです。

また、PLで他社と比べると営業利益率の高さが目立ちます。
これは以下のことが要因かなと思っています。

・POS販売分析データで売れる商品を徹底的にマーケした上で商品企画、そしてメーカーと共同開発。データを使い生産量や在庫管理も細かく調整


競合のキャンドゥは06年、ワッツは15年にPOSレジを導入したのに対しセリアでは04年に「リアルタイムPOSシステム」を導しています。かなり早い段階からです。その後も発注支援システムを構築するなど、これまで現場頼みだった発注や在庫管理などにテコ入れを行ってきました。

これにより、売れる商品を重点的に陳列できるようになり、接客や品出しといった店舗業務に従業員が注力できるように。

会社HPの事業戦略のところでも強調されていました。

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なので、原価も販管費も他2社よりも抑えられていますし、それが営業利益率の高さにもつながっていると思います。


③キャンドゥ:バランスの良い商品展開で多くのファンを獲得

キャンドゥのブランディングやターゲットはダイソーよりもマス向けで、女性にもウケるような商品にも力を入れている感じです。

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ダイソーとセリアの中間と言えばいいでしょうか。
来店した際も、ダイソーのように老若男女訪れているようでした。

しかし、ある意味ダイソーとかぶる部分もあり、あまり差別化戦略が感じられず、それが近年の売上停滞にも繋がっているのかな〜と思いました。

決算短信資料にも「選ばれる独自性の確立」「ニーズに対応する商品開発」を中心に差別化を進めることが直近の戦略であると述べられていました。

多様化するお客様のニーズに対応するため、100 円以外の価格帯の商品の販売を開始しています。また、商品のオリジナリティの更なる追求とSNS情報分析による差別化戦略を推進しています。

SNSを通じた情報発信や情報分析を元にした話題商品の発掘や、著名キャラクターや 有名ブロガーとのコラボレーション企画、キャンドゥのプライベートブランドである「Do!STARS」商品の開発は1つ特徴かなと思います!

④ワッツ:ローコスト作戦

4つのブランドだと1番最後に設立したワッツは、大手3社とは違うフィールドで勝負することを目指しています。

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ワッツは、ローコスト作戦で、経費の削減から高い粗利率を目指しつつ商品力も追求しています。

ローコスト出退店とローコスト・オペレーションの徹底により積み上げた収益を、商品力の強化(商品開発)と企業規模の拡大に投資しているのです。

具体的には、
まず店舗の大きさは基本小型店舗です。
また基本スーパーの中や併設する形で店舗を構えています。
そして店舗は基本直営店なのですが、テナント型の店舗と委託販売店が両方あります。前者は「Watt」後者を「Watts With」店。
委託販売型とは、例えばスーパ ーの中に当社の雑貨が一定の店舗スペースを構えていて、在庫を負担する店舗なので直営店ではあるのですが、レジや現金管理などの販売業務をそのスーパーに委託している形です。

 2019 年 8 月末でみると、テナント型の Watts 店 177 店、委託販売型の Watts with 店 343 店でした。

ワッツはキャンドゥよりも店舗数は多いのに売上は少ないんですが、これは委託販売店の方が数としては多いからだと思います。売上の一部を手数料として得ているからです。

なので、委託販売は売上高が小規模ですよね。なのでワッツに関しても粗利を確保するために 100 円以上の高額商品も品揃えとして取り入れていく方針のようです。

ワッツの商品は、量・質ともに圧倒的なお買い得感のある商品
を展開し、「実生活雑貨におけるNO.1」
を目指しています。
お買い得感、量が多い、枚数が多 い、サイズが大きい、目で見てすぐ分かる、納得感が高いといった点を大事にしているようです。

スーパーと併設しているので、食品類は売っていないでしょうね。ローコストで運営することで、商品の粗利率も高めていくことが狙いでしょう。



3. まとめ


以上4社の戦略やコンセプトをまとめてみました!

①ダイソー:規模の経済作戦
②セリア:ブランディングを尖らせてファン層を作る作戦
③キャンドゥ:バランスの良い商品展開で多くのファンを獲得作戦
④ワッツ:ローコスト作戦

になります。

ターゲットやコンセプトの違いも表にまとめてみました。

100円ショップ業界研究.pptx (2)

4社とも最初に取り上げた以下3つの視点で差別化をそれぞれ図っていることがわかりました。

①規模の経済が大事
②いかにコストカットした運営をできるか?
③消費者のリピート率をどれくらいあげられるか?

キャンドゥはもう少し、差別化は消費者に伝わるほどしっかりできてくると良いな〜と思ったり、、
また4つのブランドの変化は起こってきそうですね!今後も注目です。


今回は以上です!


100円ショップ業界研究.pptx (3)