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親愛なるジュンコへ 3/8話

3 私の青春と純子


前回の話はコチラ↓


純子はイケをボロ雑巾のように捨てた

若い男女の仲良しグループでよくある話だと思うが、こういう時に男は男側に立ち、女は女側を擁護しなければならない。
私たちのグループの男女比は私と純子、そしてマキさんの彼女のスーさん以外は全員男子だったので、純子はたちまち男子側から「悪女」のレッテルが貼られた。かつて純子の事が好きだったアフロなカズヤですら、イケをボロ雑巾にした純子とは二度と会いたくないと言っていた。
女の私でも純子のしたことは擁護しようがなかった。

ただ、私たちは小学生からの友達で、そんな事で壊れる程の仲ではなかった。そういうものを超えた何かがあった。
なぜそう思えたのかは、私たちのグループには「宮沢」という人間がいたから、宮沢がいたからこそ、そう思えたのかもしれなかった。

ある日私は宮沢から電話を受けた。
宮沢「平山、ちょっと聞いてくれる?俺、実は計画してる事があるんだけど」
私「何?」
宮沢「来週、イケの誕生日って知ってるよな、知ってて当たり前だよな」
私「もちろん知ってるわよ。そりゃ私、イケの事は小学生の時に好きだったから」
宮沢「あいかわらず気持ちわりーな。そのイケの誕生日会をさ、皆でやろうと思ってるわけ。ケーキとか買っちゃってさ。そこにサプライズで広田を呼ぼうってわけ。どう?この俺の考え、どう?」
私「アンタもあいかわらずふざけた男だよね。そんな事出来る訳ないでしょ。だってまだ2人が別れてから1か月も経ってないじゃん。」
宮沢「おまえ、そういうつまんない事言ってんじゃないっつーの。俺たち友達だろ?小学生からの友達じゃん。こんなくだらない事で壊れてもいいと思ってるわけ?」

宮沢…こいつは本当に言ってる事が滅茶苦茶だよ。ほんの数か月前は私に「愛する2人の恋の邪魔をするのはよくない」とか言っておいて、壊れたら壊れたで「小学生からの友達だろ?」って本当にいいかげんにしろよ。
しかしながら、宮沢は折れない

宮沢「お願い!アヤP、お願い!イケの為にも、広田の為にも、ここは皆でもう一度仲良くなろうぜ。」
私「アンタさー、イケの為とかジュンコの為とか言ってるけど、本当はそんな気まずい2人の状況見て楽しみたいだけでしょ?いつもの悪趣味な考えだけでしょ?アンタの考えてる事なんて大体わかるわよ」
宮沢「バレた?俺、すげー楽しみなんだけど。別れた2人が「久しぶりー」とか言っちゃって?「元気ー」とか言っちゃったりして?気まずい2人がどうなるかマジで楽しみなんだけど!ひゃーーーー」

私は宮沢ほどの悪趣味な人間を見たことはなかったし、自分もその要素が十分にあることはこの時点ではわかっていなかった。ただ「小学生の時のように皆で仲良く」という提案に私は乗っただけだった。

イケの誕生日会当日、久しぶり(1か月ぶり位)に会った2人は多少なりとも気まずさは残っていたが、宮沢と私の計画通り和やかに事は運んだ。
帰り道で私は純子と2人になった時に、
「アヤPありがとう。イケには悪いことしたと思ってる。ただ、こうして皆とまた会えるようになって本当に嬉しい。楽しかった。アヤP、今日は誘ってくれてありがとう。」
と言われた。

それから私たちは、いつでもどこでもなんでもない時に集まって、居酒屋、カラオケ、クラブ、花火、鍋パーティ、私の誕生日も祝って貰えた。その中で何十年経っても忘れられない思い出がある。それが夏の終わりに行われた「真夜中のBBQ」だった。

八王子の河川敷でやった真夜中の闇BBQは、
真っ暗で何も見えないなかで、ランタンの灯をたよりに、当時流行っていたフリーソウルをラジカセでかけながら、肉を焼き、飯盒を焚き、豚汁を作って、酒を飲み、踊り、しゃべり、なぜか私は川に落とされた笑
そしてお決まりの一発芸大会、全力でYMCAを踊り、毎回恒例の2つに分かれてのコント合戦、命を懸けた本気の鬼ごっこ、永遠に続くドーンジャンケンポン、それはまるで小学生の時の遊びの延長だった。私たちは夜が明けても、朝になっても、一睡もしなくてもずーっとお腹をかかえて笑っていた。

そのBBQでのこと。
朝方、日が出てきたころに皆で輪になって話をしていた。
何人かは眠っていたけど、私と純子、イケと宮沢の4人は起きていた。イケが純子に聞いた。
「今の彼氏とはうまくいってるの?」
純子が言った。
「それが…彼氏のこと信用できなくて。もともとはミカちゃんのセフレだった人だからさ。でも私好きなんだよね。どうしたらいいんだろう?」
イケが言った。
「広田が好きならそいつの所に行けばいいじゃん。この俺をフってまで行った男なんだから。」
2人でこういう話が出来るようになって、私は本当に良かったと思った。

それにしても純子というのは本当にどうしようもない女で、イケと皆でまた会うようになってから、今度は純子がイケに復縁を申し込んだと言っていた。「やっぱりイケは優しい。もう一度付き合って欲しい」とかなんとか言ったらしいが、そこでイケは純子に「もうお前とは友達以上の付き合いはしない」とピシャリと言い放ったとの事。純子は「私、イケにフラれちゃったんだよね」と言っていた。

そのBBQから数日経った頃、私は写真が出来たので宮沢に電話すると「今すぐ見たい」と言うので、純子を誘って宮沢の家まで行こうと、純子の携帯に電話をかけた。

アナタノオカケニナッタデンワバンゴウハ
ゲンザイツカワレテオリマセン


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