最高でサイテーな男友達

昔話をちょろっと書いて思い出したので、この勢いで書いていきます。

私のかつての男友達の宮沢とイケは小学生からの友達。宮沢はずっとクラスが一緒の腐れ縁で、イケは私の初恋の人だった。
この2人は本当に仲が良くて、高校は別々だったけどよくつるんでいた。その中に私がたまに呼ばれるといった感じ。
「平山、誰か女の子連れてこいよ」的な。

私は自分で言うのもなんだけど、昔から女子に人気のある女子だった。
私の周りにはいつもかわいい女の子が集まっていたので、恐らく宮沢やイケはそれを見ていたのだと思う。
「コイツは使える」と。

ただ、そんなホイホイと、呼ばれて飛び出てジャジャジャジャーンみたいなフットワークの軽い女子なんて早々いなくて、今みたいにスマホもLINEもない時代だったから、結局私だけが単独で行く、みたいな感じだった。

この2人のエピソードは数々書いてきたけど、本当に最高に面白かったし、この人達以上に面白い人達に私は出会っていない。それこそ、一生分の笑いをあの頃に消費したといっても過言ではない。

しかしながら、
この人達は、実はあまり「いい人」ではなかった。
noteには青春エピソードを中心に書いてきたけど、この2人はnoteに書けない事も散々やってきた。ほら、男の子って、若い頃は悪いエピソードを武勇伝みたいに語りがちじゃないですか。

その中の一つに、彼らは度々テキトーにナンパした女を「やり捨て」していた。
今の時代だったら訴えられてもおかしくない案件でしょうけど、彼らはそれを平然とやってのけて、面白おかしく私に話してた。
正直、

「アンタ達サイテーだよ」

と思ったけど、私も私で別に自分に火の粉が舞ってこなければ、奴らが何をしようと勝手にすればいいと思っていた。まあ、その手の話に出てくる女は私の見知らぬ人だったし、自分には全く関係ないから、毎回聞く度に苦々しく思いながらも、不謹慎に笑っていた。

ある日宮沢から、

「いつも俺らが話すのばっかりだから、たまには平山の話も聞かせてよ。なんか男ネタ無いの?男ネタ!」

と言われて、こうなるとしつこ過ぎるのが宮沢という男で、

「男ネタ、あるでしょ?アヤPの男ネタ!早く言え、早く言っちゃえよー!お願いだから教えて、一生のお願い!」

こんなウザ過ぎる煽りに根負けして、私はしぶしぶ当時好きだった男の話をした。すると宮沢が一言、

「平山お前、それ遊ばれてるよ」

と言い放った。
その時の言葉は未だに覚えている。
私に対して、思いやりも優しさもない、慮りも忖度もない、宮沢の率直な感想だった。
私は、

「相手の男を知りもしないのに勝手な事を言うな」

と反論したけど、その後は宮沢の予想した通りの結末になった。

そして、暫くしてから思った。
宮沢とイケからサイテーな武勇伝を散々聞いてきたくせに、まさか自分がその手の犠牲者になるとは思いもしなかった。奴らはサイテーだと思うけど、サイテーだからこそ、男のサイテーな部分をよくわかっているのだと思った。

宮沢が私に向かって、
「お前、それ遊ばれてるよ」
と言った一言は、宮沢にもそんなサイテーな部分があるからこその言葉だったのだ。

それからの私は、なんだか吹っ切れたというか、その手の男には翻弄されなくなった。
「見た目が良くて軽い男」
これは宮沢とイケを象徴するようなもので、私はこの手の男には「女」として扱われないから、友達にはなれても「恋人」にはならないだろうと思った。実際、一発はあってもその先に続くことは殆ど無かった。


そんな訳で、サイテーな男友達というのは今思えば貴重だったと思う。
そうじゃなければ、私はいつまでも自分の間違いに気づかなかったと思うし、幻想を追い続けて、それこそ今でいう「高望み女子」になっていただろうと思うから。

そういう意味では、やっぱり彼らは私にとって、最高でサイテーな男友達だったのかもしれない。



↓宮沢のいいヤツエピソードはコチラ





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