【囲碁本レビュー】中盤の基本
本日は高尾紳路九段の「中盤の基本」のご紹介です。
高尾先生の基本シリーズは、既にいくつかレビューを書いています。(詰碁の基本、手筋の基本、布石の基本)
中盤といえば変化が多く、特に級位者の方にとっては難関となるところ。
この本では、色々ある中盤の中でもよく見かけるものをまとめています。
1.どんな本?
他の基本シリーズと同様、問題形式になっています。
章分けは布石の型ごとで「二連星・三連星」「小目」「中国流」「小目の小ゲイマジマリのある布石」の4つです。更にそこから筋や形で分けられています。
扱われているのは、ウチコミや荒らし、定石後の狙いなどです。
型ごとに布石の問題から入っているので、そちらの復習もできるようになっています。
問題は全部で135問です。
2.対象棋力の目安
メインターゲットは中級~上級でしょうか。
中盤となると読み、手筋の知識、石の強弱の感覚などが要求されるので、初級の方はハードルを感じるかもしれません。
一方、定石に関連したものも多いので、それらの勉強を兼ねて学ぶこともできます。
その点ではある程度19路盤に打ち慣れた方であれば、初級の方でも手が出せる範囲だと思います。
また低段の方でも、人によっては十分勉強になるレベルの内容です。
ウチコミや荒らしなど、中盤の打ち方に苦手意識を感じているのであれば、一度中身を確認してみるのも良いと思います。
3.オススメポイント
・ 問題に至るまでの手順がわかる
問題の型ごとに問題図に至るまでの手順が、布石の出題を交えながら掲載されています。
そのため、学んだことがどういう場面で使えるのかがわかりやすいです。
・ ウチコミ・荒らしの基本形が多い
三々やシマリへの荒らし、三間ビラキ(大々ゲイマも含む)へのウチコミなど、敵陣に入る基本形が多く掲載されています。
出題・解説が程よいところで切り上げられているので、難しすぎるということもありません。
・ 定石・布石の型がよく打たれるものが多い
ウチコミ・荒らしと同様、扱われている定石や布石の型はよく打たれているものばかりです。
勉強してすぐ実践できるものも多いと思います。
4.教材資料としてのオススメポイント
これまで紹介した基本シリーズ全般に言えることですが、何が基本であるかの目安になります。(自分が基本だと思っていたことが、意外と応用だったということもあるので……)
問題図に至る手順がわかるというのは、教材資料としても利点です。(世の中には「どうしてこうなった」という問題図も少なくないので……。笑)
5.個人的な使い方
他の基本シリーズに漏れず、これも元々は母が購入したもの(笑)
これも中盤について何を教えるかに悩んだときによく読んでいます。
荒らしやウチコミに関する本は他にも色々あるんですが、級位者向けの題材を探すときはこれが便利ですね。
他の本は詳しく書いてある代わりに、どこまで教えるか悩んじゃったりするので(苦笑)
級位者の方にとっては、敵陣に入ったり、相手の石が近いところで戦うのは怖いと思います。
この本で中盤の攻防について、少しずつ勉強するのはいかがでしょうか?
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