詰碁の本、どう選ぶ?
詰碁の勉強、と一口に言っても、その目的は一つではありません。
今回は勉強の目的に合わせた詰碁の本の選び方について、私なりのアドバイスを綴りたいと思います。
1.詰碁の目的は?
詰碁というと、読みを鍛えるイメージが強いと思います。
それはその通りなのですが、個人的には大きく分けて三つ。
① 死活の筋を学ぶ
② 読みを鍛える
③ 芸術的に楽しむ
①は基礎作りの段階にある初級~中級くらいの方向け。形や筋を覚えて反応できるようにする感じです。
ただし上級以上は要らない勉強かといえば、そんなことはありません。復習は大事ですし、高段者でもウォーミングアップになります。
②は上級以上が多いでしょうか。基本ができたら、読める手数が長くなるように訓練します。
③は高段者でマニアックな方向け(?)ですかね。勉強というよりは趣味の範囲です(笑)。これに関しては、正直私は詳しくないので、詰碁で著名な先生(張栩先生とか)の本を選ぶといいのではと思っています。
2.筋を学びたいときに選ぶ本
死活の筋を学びたいときに選びたいのは、やはり難易度の低い基本の詰碁集。「基本」や「ひと目」のワードが入っている本は、そういった基本の筋の詰碁が詰め込まれたものが多いです。
選ぶポイントとしては、ある程度は解けるレベルの問題が入っている本。繰り返し解いて、筋を身につけていくのが大事です。
また詰碁デビューの方はともかく、自力で解ける問題が全然ないとやる気が続きにくいというのもあります。ただし解答を暗記するくらいの気合いがある場合は、話は別です。
<個人的にオススメ本>
・ 詰碁の基本(池田書店)
高尾紳路九段による基本シリーズの1冊。「超入門」という欠け眼やナカデのレベルの問題からいわゆる基本詰碁まで幅広く出題されています。
・ ひと目でわかるポケット詰碁200(日本棋院)
新版もありますが、ここで紹介しているのは旧版。こちらもナカデレベルから最後は有段者でも少し引っかかる問題までついています。
類題を連続で出題してくれているのもポイントです。
・ 筋が良くなる基礎詰碁200(マイナビ)
個人的にお気に入り本(笑)。レベル1~5まで分かれているのですが、3あたりまでは1問につき筋一つ、4あたりからは応用問題が入ってくる印象です。同じ問題で手順を進めたり、戻したりしている「リンク問題」があり、復習しやすくなっています。
タイトルの通り、綺麗な筋の問題が多いのが特徴です。
・ 手筋別基本の詰碁150題(成美堂出版)
タイトルの通り、死活の筋別に問題がまとめられているのが特徴。筋を学ぶ点では非常に勉強しやすいです。
一方、レベルの幅が10級~初段と広い分、筋ごとに扱われているのが各棋力2問くらいなので、同じレベルの問題を数多く解けないのが難点になっています。
3.読みを鍛えたいときに選ぶ本
読みを鍛えたいときは、感覚的に解ける問題集は適しません。ある程度考える必要のあるレベルの問題集を選ぶのがポイントです。
具体的にはパラ読みしたときに、パッと解けない(答えがイメージできない)問題が多い本。これに関しては中身の確認をするのが一番いいですが、ネットで買うなどでそれができない場合は、自分の棋力の前後の本がオススメでしょうか……。
ちなみに私は、ネット碁で五段くらいのときに「三段合格の死活150題」を買って、後半でわりと詰まりました(笑)
こども教室生の有段者にもそのレベルを解かせていますが、読みの良い訓練になっているようです。
4.タイトルの棋力はアテにしすぎない
詰碁に限らず、手筋などもそうなのですが、本のタイトルに入っている棋力は、あまりアテにしすぎないほうがいいです。
もっと言うと、書いてある棋力の人にとっては、難しいことのほうが多いと思います。
ただし、完全にアテにするなというわけではなく、陳列されている本の中でどの辺から選ぶかの目安にはなります。過信をしすぎないというのがポイントです。
5.まとめ
・ 死活の筋を学びたいときは「基本」や「ひと目」系の難易度の低い問題集を選ぶ
・ 読みを鍛えたいときは、少し難しめの問題集を選ぶ
・ タイトルの棋力はアテにしすぎない