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【初級~中級向け】読みを鍛えるにはどうしたらいい?

この前、級位の教室生に「どうしたら先生みたいに読めるようになりますか?」と聞かれました。

世の中にたくさんいる強い人たちと比べると、私はそれほど読めないのですが、私なりの考えを綴ってみたいと思います。

1.読みの実態

「読み」というと、一手ずつ盤面に石をイメージして先を考えていく感じを思い浮かべるかもしれませんが、実際は少し違います。

もちろんそうやって読むこともあるのですが、実際は下のような感じが多いです。

① 盤面の形を見る

② 自分の中にある知識や経験から同じor似ている形のものを探す

③ 該当するものがあったら、それを盤面に当てはめて考える

文章で書くとステップがありますが、①~③までババッと出てきたりします。(と言いつつ、私は「なんか見たことあるのにぃ!」で止まることも少なくないですが。笑)

図解をすればこんな感じ。

スクリーンショット (124)

位置が違うので別物の印象を受けるかもしれませんが、右上も左下も同じ詰碁。

右上は一手ずつ読む場合のケースで、白の中の空き地(a~f)をすべて候補手と考えれば、最大で六ヶ所について読まなければなりません。

一方、左下は先ほどの①~③のケース。見た瞬間に脳内知識がリンクして、この図が盤面にイメージされます。

算数に例えると、右上の方法が足し算や引き算で、左下の方法が掛け算や割り算と考えられそう。法則(知識・経験)を使うことで、一つ一つの作業を省くことができるわけです。

かつて、とあるプロが「ひと目で500手読める」という発言をしたらしいですが、それは恐らくおびただしい数の①~③が、同時に行われるからだと思います。元院でもない普通のアマチュアの私も、布石あたりで定石を複数イメージすれば、何十手くらいは読めている感じになります(笑)

いちいち一手ずつ読んでいたら、ものすごく時間がかかってしまいます。該当するものがない局面に遭遇したら、手探りで読むしかありませんが、効率良く読むためには、知識や経験の型にはめていく方法がオススメです。

2.基本の詰碁や手筋を繰り返そう

読みを鍛えるための勉強法は、陳腐ですが基本の詰碁や手筋の問題を繰り返し解くことです。

読みは一局を通して必要ですが、中でも特に求められるのが戦いの場面。そこで必要とされる知識は、高確率で手筋や詰碁です。

ただし難しい問題集を解く必要はありません。読みの礎となる知識は、基本の筋です。とにかく基本レベルの問題集を、問題を見た瞬間に答えが頭に浮かぶくらいまでやり込みます。問題の時点でピンと来ないものは、たぶん実戦でもピンと来ません。

手元にある本でオススメなのは下の4冊。

① ひと目でわかるポケット詰碁200(日本棋院)

死活を覚えたばかりの方でも解けるようなナカデの問題から、覚えておいたほうが良い基本形まで網羅した本。類題を続けて出すなど、出題傾向を揃えてくれている部分があるので、勉強しやすいと思います。また詰碁と称して手筋も少し混ざっています。

このシリーズは、1994年に出た旧版と2007年に出た新版がありますが、私が紹介したのは旧版です。(新版は読んだことがないです、ごめんなさい!)

② ひと目でわかるポケット手筋200(日本棋院)

上記の手筋版。出題傾向を揃えてくれている点も同じ。ただレベルに関しては、最初こそ簡単なのですが、全体的な難易度は詰碁と比べるとちょっと高い印象。逆に言えば、習得できればかなり力がつくと思います。

こちらも1994年に出た旧版と2008年に出た新版がありますが、私が紹介したのは旧版です。(同じく新版は読んだことがないです、ごめんなさい!)

③ 詰碁の基本(池田書店)

高尾紳路九段の基本シリーズ。ポケット詰碁と比べると、入門~初級の出題が多いので、特に詰碁デビューの方にオススメ。後半になるにつれて少しずつレベルが上がるので、長く使えます。

④ 手筋の基本(池田書店)

同じ基本シリーズの手筋版。こちらも後半になるにつれてレベルは上がりますが、全体の難易度はポケット手筋よりかなり易しめ。特に最初のほうは、一部の問題に選択肢がついているので、詰碁の基本同様、手筋デビューの方にオススメ。

他にもオススメ本は色々ありますが、本ごとのレビュー記事もアップしていく予定なので、そちらでご紹介できればと思います。

また実際に書店に行って、中身をパラ読みして勉強できそうだと感じるものを選ぶのも大事です。解ける気がしないものは、高確率でやる気が出ないので(笑)

ちなみにやたら難しい詰碁は、大概の場合、盤面にない石を多くイメージするためのトレーニングに使います。

3.実戦を重ねよう

詰碁や手筋の問題を解くのも大事ですが、実戦もやったほうがいいです。というか、やらないと読みの力が試せません。

それと知識と並んで大事な経験は、実戦でしか積めません。問題集は、些細な攻防まで網羅してくれないので……。

読みを鍛えることに重点を置いた勉強で良さそうな流れは、詰碁・手筋のトレーニング→実戦ですね。直前で筋を見てから実戦に入れば、ピンと来る率が上がるかもしれません。

4.まとめ

① 盤面の形を知識や経験の型にはめて考えると、効率良く読める

② 知識をつけるためには、基本の詰碁や手筋をとにかく繰り返して解く

③ 経験を身につけるために実戦も必要

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AYAMI@囲碁講師
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