「マリエ」千早茜
あーーーーそっち選んじゃったかーーーー
が最初の感想。
ここ数年、どの作品も面白い千早茜さん。
前作の「赤い月の香り」に続き、こちらもすごく面白かった。
主人公は40歳女性、まりえ。
クソみたいな前夫(まじでクソ。この本を読む全女性がこいつに怒りを感じると思う)と離婚し、友人に背中を押される形で結婚相談所に登録する。
個人的に、まりえはそこで出会った「本田」と結婚するものだと思っていた。彼は女性慣れしていない不器用な男性だが、正直だ。彼の言葉には嘘がない。自分を良く見せようとも、相手に多くを求めたりもしない。
詳しくは書かれていないが、いざというとき(大変なとき。聖書で言う「病めるとき」)に頼りになるのは本田だと思った。
ただ、まりえは本田に性的魅力を感じず、知人を介して出会った由井(ゆい。まりえの7歳下、長身、細身、お洒落、さらさらの銀髪、ほどほどに筋肉がついた男性)に性的魅力を感じ、「私は身体で選ぶ人間なんだ」と自覚する。
お待ちなさいって。
性的魅力で言ったら、100人中97人ぐらいは由井を選ぶでしょうよ。
顔が良い、身体もいい、素直な性質(仔犬系)の歳下男子は魅力的に決まっている。
ただし、誠実な本田を捨て、仔犬系歳下男子にうつつを抜かすのはどうかと思った(個人の感想です)。
だってモテるに決まっている。
何度も言うが、若く(33歳)、顔が良く、背が高く、程よく筋肉がついていて、素直な性質で、仕事も持っている。しかも名前は由井。かっこよすぎんか。
太ったりハゲたりしなければ、少なくともあと20年は恋愛し放題だろう。
そういう人間との恋愛(まりえは由井との結婚を見据えた発言もあった)や結婚、疲れませんか。
自らもキラキラした25歳女子なら話は全く別だが、こちらは40歳だ。見た目の老化、体調不良などの不具合がこれからどんどん起こる。
そんな時に横にいるのは若いイケメン。
無理やろ。
カラダは〜単純(シンプル)なのね〜で選んではいけないと思う。
不器用だけど誠実な本田と「そろそろカルビは胃に重いね」なんて言いながら生きていく方が楽しくないですか。違いますか。そうですか。
千早さんがまりえに共感しながらこのお話を書いたのか、そうでないのかは分からない。
ただ、この話に出てくるほとんどの人物が「身の丈に合わない恋愛、結婚」を望んでいるように思えた。
そんなもん疲れるだけだと思うのだが。
人によって感じ方が異なる本だと思う。
いずれにしても、続きが気になってあっという間に読み終えてしまうのは間違いないでしょう。
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