#15 私を見てよ
公立の小学校へ入学。既にそこそこ漢字も読めたので、保護者宛てに貰ってくるプリントの内容を理解してしまう。それが仇となった出来事。
それは新入生健康診断のお知らせだった。保護者が該当項目にチェックをつけ、提出するというもの。その中にドキッとする設問があったのだ。『口呼吸出来ていますか』
私には自覚症状があった。意識して口を閉じていると息苦しくなって開けてしまう。私は重大な病気かもしれないと青ざめて母に訴えた。すると
「何言ってるの?卯月はよその子と何も変わらない。ちゃんと鼻呼吸しているじゃない。ヘンなこと言わないでよ」
私自身が出来ていないと申告しているのに、母の答えは「よその子と同じだから大丈夫」そうじゃないでしょう。他人と同じかどうかの問題じゃない。もっとちゃんと私を見てよ、どうして私の訴えを真剣に聞いてくれないの?結局母は口呼吸出来ているにチェックをつけた。
子供の意見をまともに取り合ったって時間の無駄!とばかりに、何を言っても聞き流していた母。それでいて「ママの意見は絶対だ。ママの意見が一番正しい」と主張して押しつけてきた。例え黒でも母が白ですと言ったらそれは白。反論すれば叩かれる。叩かれたくないから白ですよねと答えるしかない私。我が家はそんな家庭だった。けれどそれが原因で私はクラス全員から嘘つき呼ばわりされる事件を起こすのだ。