一目惚れをしたことはあるか?
高校二年生になりたての頃、
新入生の教室を回って部活動の勧誘をすることになった。
男女の数人でいくつかの教室を回って行った中に、
一緒に行動していた男友達の後輩がいた。
「おぉー、お前久しぶりやな」
「どうも、お久しぶりです」
淡々と話すその声が気になってチラリと覗いた。
ヒッ…
わたしは自分がしゃっくりを出してしまったのかと思った。
違った。
めちゃくちゃ好みの顔だった。
思わず口から吐息が漏れたようだった。めちゃくちゃ無意識に。
ていうか吸ってんの?わかんねぇ。
彼から目が、離せなくなった。
当時のわたしはB専だといじられており、
『顔の美醜にはこだわらない、性格が一番だ!』
と言いつつ性格もあまり良くない男に引っかかってばかりいた。
見る目が無さすぎる。
そう、わたしに好きな顔などなかったのだ。
現実が見えているので、現実に沿った恋愛をしてきたつもりだった。
が…
目の前にいる、彼はとても好みの顔だった。
好みだし、これは一般的に言っても良い顔なんだろうな、と思った。
頭脳明晰でクール、というキャラをメガネ無しで立体にしたらこんな顔だろうなって顔。
ジャ〇ーズの大倉君を冷たい顔にしたらこんな感じかな?って顔。
無駄の無い、整った顔。
などと考えながら、こちらが結構な間見つめてしまっていたからか、
彼がこちらを見た。
首をあまり動かさず、流し目で。
バッチリ目が合ってしまった。
うっ…
雷に打たれたような感じ、とか
心臓をギュッと掴まれたような感じ、とか
時が止まったような、とか
いろんな例えがあるけれど。
あぁ、これなんだな、と思った。
息の吸い方がわからなくなり、
胸から全身が熱くなって、
目が離せなくて。
心臓が痛かった。
これが生まれて初めての一目惚れだった。
のだが、
わたしの頭の中では、
「救〜心救心♪」
と横揺れする高齢者たちが出現していた。
JKだというのに毎週欠かさず笑点を見ていた弊害が出た。
(ちなみに推しは楽太郎さん(現円楽さん)でした)
一目惚れに救心は効くのだろうか?などと考えている間に、
彼(Y君とする)がわたしの同級生に、
「俺、たぶん入部しますよ」
と宣言していた。
お、同じ部活…
も、もたない…
嬉しいような、嬉しく無いような…。
とにかくこの気持ちを悟られないようにしなければ、
今この瞬間挙動が変では無いかと不安になりながらも、
「入部待ってるね」
とにっこり微笑んだ。
たぶん普通に微笑むことが出来たはずだ。
普段、友人との会話ではイキリ散らかして、
「年下?年下は絶対無いわ〜」
と言っていたが、彼は年下だった。
『年下、アリじゃん、大アリじゃん…』
相手にされるかどうかはさておき、
わたしのポリシーはいとも簡単に
『年下もアリ』
と変わることとなった。
※イニシャルかぶりまくってきたからどうしようかな…
(このY君は初登場です)
※つづく
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