みんなドラマの主役なんだよ
※下ネタ注意
大学に入ったばかりの頃、同じサークルの好きな先輩(Mさん)がわたしの一人暮らしの部屋に遊びに来ることになった。
一人で。
…これはチャンスじゃん??
チャンス以外の何物でもないじゃん???
どっきりどっきりDON DON !!
不思議なチカラ(性欲)で相手(M先輩)をどーしよ?(どーする?)
しかしそれには懸念事項があって。
わたしには当時彼氏がいたのである。
そう、いたのである。
別れようと思いつつズルズル別れ話を切り出せていない状態で。
そういうことってあるよね。
M先輩は家に遊びに来る程度にはわたしのことを嫌いではないらしい。
だからって付き合えるかどうかはわからない。
今夜遊びに来る。一人で。
もう一度遊びに来てくれるかどうかはわからない。
……。
宇多田ヒカルの歌に、
「いつか結ばれるより 今夜一時間会いたい」
という一説がある(Be My Last)。
ピュアな頃は、
「なんでや!いつか結ばれた方がええやろ!
たとえそれが何年後であっても…(遠い目)(夢見がち)」
と思っていた。
が、この頃はすでに、
「いつか結ばれるより とりあえず今夜物理的に結ばれよう(時短の提案)」
というポリシーを持っていた。
というわけで。
わたしへのお土産のコンビニプリンを一個片手に持ってきたM先輩と歓談後、とても良きタイミングで、
「実は彼氏がいるんですが、もう別れますしそれはさておきM先輩のことが好きなので一戦どうですか?」
をとっても丁重にオブラートに幾重にも包んでお伝えした。
乙女フィルターも通しといた。っていうか正直なんて言ったか忘れたけど。
すると、意外にもM先輩は快諾した。
快諾されたけど、
「これで正直付き合うルートは無くなったな」と思った。
が、ポジティブなわたしは「一戦交えれるならまあ良いか」と思った。
M先輩は意外にも積極的で、最終的には立ちバックのご提案もいただいた。
立ちバックwwwwwwwww
こういうシチュエーションで立ちバックwwwwwwwwwwww
なぜかわからないがわたしはツボに入ってしまった。
こういう時って一旦普通の感じでしない??いやわかんないけど。
めっちゃ楽しむやーんwwwww
めっちゃ性癖出してくるやーんwwwww
わたしの提案を受け入れてくれた先輩に失礼になるので、
顔で笑うのは我慢した。
諸々の事が終了し、先輩が帰る事になった。
さっきは立ちバックの件で心の中で笑ってしまったが、
元々わたしが先輩のことを好きだからこんな事になったのである。
帰られるのは寂しい。切ない。
また来てくれるのかわからないし、
来てくれるとしてもいつになるのかわからない。
ここでわたしはトチ狂って「ドラマかっ」みたいなセリフを言ってしまう事になった。
「先輩、何か忘れ物をしていってくれませんか?」
我ながら今思い返すとちょっと笑ってしまうのだが、
忘れ物さえしてくれたら、また来てくれる可能性が大である。
彼氏がいるのに誘ったクソ女の自覚はあるので、
「また来てください」とストレートには言えなかった。
セフレでも良いからまた来てくれないかな?と思っての発言だった。
それに対してM先輩は200点の答えを出してくれた。
「忘れ物は出来ないけど…これをあげるよ」
玄関先でわたしにキスをし、耳元で「また来るね」と囁いてそのまま帰っていった。
わたしは呆然としたまま、先輩が出ていって閉まるドアをそのまま見つめていた。
心の中のスピードワゴン井戸田が「あまーーーーーーーーーい」と叫んでいる間に帰られてしまった。
ドラマ度、負けた…。
あまりの出来事に…なんていうか身悶えした。
1日が濃すぎた。
そして、先輩はまた来ることはなかった。
(あんだけドラマしといて来ないのかよ!)
半年ほど経った頃。
わたしは立ちバック先輩のことはもう忘れて楽しんでいたのだが、
サークル内ではわたしがまだ立ちバック先輩のことを好きだということになっていた。
ある日、サークルの同期が顔面蒼白でわたしに話があると言った。
ほとんど泣きそうな顔で、立ちバック先輩と付き合うことになったことを話してくれた。
彼女は真面目なので、思いつめていたらしい。
「誰かの好きな人を盗った」ということになるとサークル内の立場も危うい。
「ごめん、本当にごめん…」
と涙を溜めて言われたが彼女もドラマの主役である。
わたしは
「立ちバック先輩www忘れ物にキスをくれる先輩www」
と心の中で思っていたのは内緒である。
あと、彼女の『友人の好きな人と付き合うことになってしまった』という思いつめ方が尋常じゃなかったので、
「あっ!サークル内には先輩と立ちバックしたことはバレていないぞ!」
と安心してしまった。
さぞかしロマンチックな付き合い方をしたんだろうと思ったのだが、
立場上聞くとなんか変な感じになりそうだったので聞けなかった。
「先輩立ちバック好きよね?」
とも聞けなかった…(当たり前である)
彼女に「もう気にしてない」ということをなんとかして伝えたかったが、
「実はマジで完全に忘れていて、同じサークルのSくんとセフレなんだ」などとはとてもとても言えなかった。
※彼氏いること別に先輩に言わなくてよくね?と思うけど、性格的になんか言ってしまった。
別れたかったのはこの彼氏↓
※セフレのS君の話