ようこそ、ここは浅草一の大人が集う遊園地

ストショーも何度も見れて、ご飯も食べれてメイドバーの踊り子さんとお話も可。
その上、グッズ(写真集や周年もの、大判舞台写真)もある!
ここは天国か!?

と思った、とある天気の良い週末の午後。

私がスト活を始めて早1ヶ月弱ほど。
遂にロック座の柱、浅草へやってきた。
普通ならストリップビギナーなら「浅草ロック座」は登竜門的な位置付けにあると思う。
しかし私はみぃななさんの川崎を見越して、少しでもストリップへの知識を得ていくんだもん、ヘヘヘン。という妙な自信をつける為に、ポラ館と呼ばれるSNAからスタートした私はすっかり踊り子さんと劇場の虜となりはじめ、川崎、横浜を通り「遂に来た!」という妙な高揚感があった。
それに何より鑑賞する予定の日は、メイドバー(詳しくは「こぼれ話」にて明記)に、始めて見たSNAで心を奪われた香山蘭さんがいらっしゃるということで、迷ったもののGWの予定が全てなくなってしまった身からすると行かずにはいられないという心持ちだった。

当日始めて浅草ロック座にいく私のためにTwitterで繋がったみよしさんから「いばらき」さんという方を紹介していただいた。その方は香山さん推しで浅草へ行かれることを教えてもらって、DMでご一緒に...と話を進めていた。
こういうご縁があるのもとても有難い、極度な方向音痴な私は携帯のマップを広げていても反対側に歩いていく面倒臭い人間なのだ。
待ち合わせ場所でお会いしたいばらきさんは非常に穏やかで感じの良い方だった、何より同性ということで正直ほっとした。気合を入れて数時間前に(迷うことを想定して)待ち合わせていたので、並びながら時には昼食もご一緒していたがマスク越しに色々とお話しして、お話しすぎたものの話がまるで尽きなかった。共通できる話題や互いがまだ知らないジャンル、オススメの音楽や香山さんの踊りや演目について熱く語ったりしていた。
いばらきさんに導かれるまま、劇場へ連れていってもらうと既に数時間前なのに場所取りが始まっていた、やはり常連客はどこも強い。
踊り子さんへのスタンド花がずらっと並んでいて、特に武藤さんのスタンドにぶらさがる可愛い猫のイラストが一際目を引いた。
そんなこんなしているうちに開場時間となり並んだ列が二階へと上がっていく。今まで1階や地下が多かった劇場は浅草は2階となる。
階段途中には次回公演の踊り子さんのお写真がずらりと並んでいる、上がり切るとスタッフさんが立っており検温と消毒をする。その後、受付にお金を払い、スタンプカードを作ってもらった。

(うわあああーーーー!)

ロビーに入った途端、驚きの声を心で上げる。
壁には大判の踊り子さんごとの舞台写真が並び、浅草独自の写真集がずらりと売られていた。フライヤーやもう片方の壁にも踊り子さんチョイスのコミカルからシリアスな写真が売られている。奥にはメイドバーがこじんまりと。隣にはきちんと締め切られた喫煙室がある。
舞台写真があるだけで一気に華やかに見える、圧倒的な劇場感。
その後、受付が終わったいばらきさんと合流するとまずは席取りに場内へ。

めっっっちゃ、広いっ!

やはり浅草だと貫禄がすごい、スト界の柱。
場内はとても広く天井も高い、認識的には中規模の小劇場や映画館を想像してもらったら良いと思う。一番感覚的になんか似ているなと思ったのは今は亡きハマの映画館、横浜日劇だった。
席数は129席、大きな舞台とながーい花道、そして盆。客席は前に向けて1席1席分けられている。カバーが掛けられ意外と席はふわふわ、座り心地も悪くない。
舞台と客席が適度に離れているので劇場館がますます増す。舞台はショーが始まる前は幕が下りていた。並んでいたので良い席は既に取られていると思いきやまだ空いていたので、急いでカバンで席を取り場内を観察。
投光室は上の階にあるようで、お手洗いは男女別れて場内。やはり盆に近い席は埋まっているが、舞台に近い前の席も座っていた人がいたのが印象深い。舞台に近いところに消毒液もあり、場内で休憩時間にすぐ消毒できる環境は実にありがたい。
そして女性客が他の劇場に比べて多かった、これは大変、大っ変心強いこと。
開場から30分後、プロジェクションマッピングで「wonderland」の映像が幕に映し出されると、遂に舞台の幕が開く。


1景:武藤つぐみさん

「アヤメさんには是非、浅草ロック座というところで”武藤つぐみ”さんを見てもらいたいです!!」

SNAから帰ってきて興奮冷めやらぬ私は、女性客が集うオープンチャットを作っているみよしさんという方とSNSで相互になった。
その後みよしさんが武藤さん推しだということを知り、ネットで調べていくうちに段々、気になる存在になっていた。

ギンギンギラギラのスーツ姿で現れたハット姿の武藤さん
左手にスパンコールで彩られた手袋をして、個人的に大好きなアーティストの楽曲で軽やかに踊っていく。シンプルな白いスポットライトで照らされポーズを決める。
その後暗転し、真っ暗になったあと舞台袖に消えた。すると真っ暗な中、盆に何かが降りてくる音がする。再び照明が灯ると、真っ黒なジャケットとミニスカートだけを身に纏った武藤さんが盆に仁王立ちしていた。
その瞬間、ストリップとしてある「下着ありきで脱ぐ」ことをすっとばして、もう既に脱ぎ、このいつの間にか降りてきた棒と”何か”するのだと一気に謎の緊張感が増す。
空から伸びる棒に手を伸ばしぐっと掴んで感覚を掴むと、ぐるぐると盆に宙で棒を回し始める。それをじっと真顔で見つめ再び掴むと超高速で自身も回り始めた。

なにこれぇぇぇぇ!!!!すげぇぇぇ!!!

そのまま棒(エアリアルポール)に捕まると空中で身体をポールに絡ませる。重力どこ?仕事して!と思うくらい、無重力のようにあっという間にアクロバティックなポーズを決める。その時に本当にショーツすら身につけていないことを知りほぼ生身の身体でポールに飛びついていることを知り鳥肌が立った。
小柄で中性的。印象としてそんなイメージを抱かせ男女の枠を超えた「生き物」感が強い。
命綱もなくするすると棒を登っていく、その姿にどこか既視感を覚える。
そうだ、カンダタだ。ちなみにDQの方ではなく芥川龍之介の方だ、一本の細い蜘蛛の糸を登っていく姿に似ていた。
そこで暗転、真っ暗な舞台の上で大きな息遣いが聞こえる。武藤さんのものだ。
ずっと見上げていたので首が痛いが、そんなことは知ったこっちゃない。目が離せなかった、天井近くでエアリアルの布に手首を絡ませ高速回転。なんであんなに回れるのだろう、目が回らないのかとかどうでもいいことを思う。その後するっと降りてきて、またポールに飛びついたりした後で、盆でポーズを決める。
「まるで教会だ」
ポールを見つめる横顔を思いながら、ケニー・オルテガの言葉が頭に響いた。
シンプルな照明と静かな音楽、そしてポールを見つめる武藤さんの端正な横顔を見ると、とある音楽映画でポップスターの踊りで熱狂に沸くダンサー達を見たプロデューサーの言葉が思い浮かんだ。
ここはストリップ劇場だ、しかし祈りを捧げる様に見つめる姿でその場が教会に見えた、ポールはまるで十字架だ。
「ロック&ロールの教会」
その言葉がしっくり響く1景だった。


2景:micoさん


1景の神聖っぽい印象が一瞬で吹き飛んだ、登場したのは序盤の大阪のおばちゃん2人の激しい言い合い。
関西人にはお馴染み「スーパー玉出」のカバンも見える。どうやらエレベーターらしく、チャイム音でここは関西圏のとある百貨店だろうなと思わせた。
そこへやってきたのは1人の少女、この舞台は「不思議の国のアリス」がモチーフなので主人公のアリスが迷い込んできた。演じるは7景を演じる南まゆさん。
おばちゃん達に翻弄されるアリス、チンとエレベーターが着くと舞台の幕があがり、何やら丸い双子が見える、アリスではお馴染み「おかしな双子」が立ち塞がる。
1人がこの景の主役、micoさん。もう1人は3景の木葉さんだったように見える。
双子は一気に場を乗っ取ってしまい、おばちゃん達とアリスも巻き込んで明るいポップな曲に乗せ群舞で舞台を全部使って舞う、時には舞台、花道を駆け回り、盆をぐるーりと走り回りコミカルに踊っていた。
チンっとまた新しい階について、おばちゃんズやアリスとはここでお別れ。
残された双子はジャンケンをして、互いにまんまる衣装を脱ぎ捨てると2人ともスレンダーで赤いランジェリーとふわふわスカートを着ている姿に早変わり。
浅草では一度袖に引っ込んで着替えというよりは、舞台上でベット着に着替えるという演出が多かった様に思える。
その後、悪戯好きな一方がブラジャーまで取り上げて退場、残された双子のmicoさんはにこっと笑顔を振りまきながら、盆の上で胸を手で隠している。この時の笑顔がとっっっっても可愛い!!中央の盆に移動しながら、隠していた手を振り上げ元気な曲で踊っていく。

えっ....!!!盆がうごいてるうううううー??!

この時、初めて動く盆に気づいた。まさか盆が動くとは思っていなかったため本気で驚いた。歩かずとも踊りつつ花道を移動する、この動く盆で踊るのは大変じゃないのかな?だってあんな小さな場所でしかも動く盆だよ!とブレることなく明るい笑顔で踊り続けるmicoさんを見つめつつ目を点にして思っていた。
盆に動くと一気に先程のわんぱくさはどこへやら、甘い表情に一変してお客さんに目線を配りつつもショーツを解くとゆっくりとポーズを決めていく。わんぱく→悪戯好きなお姉さんに変化する姿は見ててすごく面白かった。
最後は舞台へ戻っていく動く盆に飛び乗り両手をふりふりふりふり!!!としながら笑顔で幕が閉まった。


3景:木葉ちひろさん

左の舞台袖で大いびきをかくねずみ、それをジト目で見つめる瞳、大きなハットが印象的なマッドハッターとお付きのウサギ。3人は素敵なお茶パーティ中、激しいヒップホップの楽曲を見事にシンクロした踊りで舞台を駆け回る。
木葉さんのダンススキルが高すぎて素直に見入ってしまった。ステップや身体の動きがきちんとダンスをしている人の動きだった、DJスタイルで壇上でねずみとウサギと踊っている時にも手拍子というよりか身体が踊り出しそうになった、ライブ感に身体が熱くなる!ノリノリだー!
一度退場すると、その間を繋ぐのはねずみとウサギ!ここでダンサーさんのスキルが大爆発する、それぞれのソロダンスと息のあった激しいダンスを見せる。
その間にベット着に着替えた木葉さん、トップレスにジャケットと色鮮やかなネックレスをぶら下げ、ねずみたちに別れを告げると一人舞台に残る。
そこで繰り広げられるヒップホップダンス、踊るとより身体の線が色濃く分かる。
特に腰をくねらせるところでくびれが「ぎゅん!」となっていた。細くてメリハリありやすなぁ...。
観客に手拍子を促し、花道を踊りながら進むと大きな帽子を脱ぐ。すると帽子の下にはまた帽子、まるでマトリョーシカ、帽子に終わりは来るのか!?
盆に座るとお客さんと手持ちのカップでかんぱーいとするマッドハッター。額には汗が光り照明できらきらと輝く、力一杯踊っていたことが伝わり胸が熱くなる。一枚一枚脱いでいく、帽子もまた脱ぐと小さな小さなピンク色のカップがくっついていた。実はこの時、電池式のハート型の光る飾りを身体にくくりつけていたのだが、電池部分が目立たぬ様に指できゅっと挟んでいたのもツボだった。見せるところはみせる、隠すところは隠す、メリハリ。
ベットでもブレイクダンス風にくるりと回り、ポーズを決めるとスレンダーな背中に汗が流れていく、とても綺麗。
回る盆の上でバランスよく素早い動きでポーズを決める。そのあとは舞台に戻りちょこんと乗ったカップを持つとかんぱーいと笑顔を浮かべていた。


4景:沙羅さん


プロジェクションマッピングで「Queen of Heart」と文字が映し出される。
「わらわの命令に従わぬものは首をはねておしまい!」
地球の中心は女王、女王がイエスといったらイエス!という権力を持っている。
赤と黒の羽根扇をふわふわと両手に持ち、不敵に微笑む女王様。
沙羅さんの微笑みは品があり、どこかやはり怖い(女王様だから)
女王様の周りには庭師が2人、トランプ兵達4人が恐る恐る後ろで踊っている。
優雅に踊る女王、羽根扇を下ろすと白と黒で彩られたミニスカートドレスが見えた。
手を差し出すと恐る恐る下々の兵たちが女王の手に扇を差し入れる、女王様は一歩も動かない。
女王様がお洋服を着替える際にもトランプ兵が壁を作る、押し合いへし合い場所取りをするコミカルな場面だ。
浅草では群舞と言われる複数人での踊りも魅力、なので舞台の側で座る客もいるのだ。
女王様がお着替えになられた、すると号令を機に下々の庭師と兵隊は退場していく。
すると楽曲が変わった途端、女王の様子が変化した。冷酷非道の女王様がムラッと欲に溺れたのか欲情する色っぽい女性へと変貌していく。
”女王様の誰にも言えない秘めたる性欲”
そんな言葉がピッタリなほどエロティックな雰囲気を醸し出し、盆へと近づいてくる。観客に見せようという気持ちにも見えるし、自分の欲を解放しにきた様にも見える。
そのままゆっくりゆっくりショーツを解くことで、気持ちも自己解放しているように見えた。ポーズを次々決めていきリボンが飛んだ、豊満なボディで場を魅了するとまた盆に戻っていく。
このことは秘密だよ、と言わんばかりに悪戯っぽく微笑むと背後からは大きなミラーボールがくるくる周り、鋭い光が場内に照らしていた。
するとリボンさんが両端から互いにアイキャッチをしつつ真っ赤なリボンを投げる。それがとても綺麗だった。


中休憩


ここで10分間の休憩に入った。左右ある窓や扉が一気に開き大きな扇風機がぐおーんと場内の空気を一掃する。例えるなら場内で焚かれていたスモークが一気に消えてしまうくらいの風量だった。少し寒くなるぐらいに。
この間に女性客にはお馴染みの女性トイレに足を踏み込む。個室が2つ。どちらも洋式で古いながらもひとつひとつがでかい。それぞれに手を洗う場所があるのも実はポイントが高い。ロック座ならではのアメニティの豊富さもさすが。女子トイレには専用ノートもあり熱いスト女さんたちの言葉が書き綴られていた。


5景:赤西涼さん


4景の色っぽいハートの女王様と対極的なシルバーのウィッグが印象的なロングヘアーに身を包んだ人魚姫で登場した赤西さん。
その周りには皆、トップレスで姫を囲む「ヤングオイスター」たち
1度目は気がつかなかったものの、2度目は踊り子さん6人が姫を囲み白いショールを纏わせながら踊るためとても贅沢な気持ちになった。
その中心にいる赤西さんは涼やかで優しい微笑みを絶やさない。2度目に見た回で舞台よりで見たが、やはり群舞は迫力があって楽しい!姫が着替えている際にもオイスター2人が「見せられないよ!」と隠すのも一興だ。
オイスターが退場すると、赤西さんは白いふわふわのショールを腰に巻き付け動く盆でゆっくりと近づいてくる。胸を覆うのは真珠がいくつも連なったネックレスだけ。
中心の盆に降り立つとショールをぱあっと脱ぐ、すると残るのは白いレースのショーツ。
スローな動きでショーツを取り、ポーズを決める。わざとゆっくりと動いている様にも見えた、そうすると盆がまるで水槽で空に上がっていく水泡が見える様だったから。
ポーズを決める時、目をそっと瞑り集中している表情を見るのがとても好きだととても近くで見れたので、そう改めて感じた。
赤西さんがポーズを決めるたび、場内でリボンが飛んでいく。初めに見た時、見上げる形でリボンが飛んでいたので、まるで空を飛ぶブルーインパルスのように見えた。
盆へ戻るとほぼ何も纏わず、ショールをそっと膝に纏わせる。最後まで微笑みを絶やさず神々しく美しい演目だと思った。

6景:広瀬あいみさん

そういやアリスで誰か忘れていないだろうか...そう思った矢先、忘れた頃にぬっと現れた。
幕が開くと舞台になにやら丸いスクリーンの様なものが降りている。映される下弦の三日月、いつしか瞳がつくと猫になった。
照明が灯るとその影からにゃぁんと手のくねらせた和服姿の女性が現れる。猫耳...そうか!これはチュシャ猫だ!すっかり忘れてたぞ!
のらーりくらりと現れるまさかの和服猫。裾からはキラキラした黒いドレスが見え隠れ。
理屈じゃない!
日舞を美しく、扇を手に舞う広瀬さん。そのあとは暗闇の中、逆光に照らされ着物の帯を解く、くるくる!帯でくくられていたふわっとしたチェシャ猫帯がぐるんぐるん回るところ好き。あっという間に髪飾りと着物を脱ぎ捨て、スクリーン裏に潜むと影絵のように「にゃあーん」とポーズを作る。チェシャ猫のショールを纏うと舞台に現れる。怪しげな微笑みを絶やさぬまま、黒くキラキラと輝くスリットが深い長いドレス姿、舞台をゆっくり歩くとショールのふわふわが動きと共に場内に飛んでいく。座席のすぐ近くに来たショールから空気に飛び出した塵の様なかけらを掴もうとしたら、するりと指をすり抜けていった。
「掴みどころがなく、何を考えているのか分からない猫ちゃん」
が本演目を称するならぴったりだとおもう。実際、盆に登りスカートを脱ぎ捨て、隠していた黒いガーターベルト姿になり悩ましげに客を見つめるも目が合わない。それを見た時、掴みどころがなさすぎて誰にも正体を見せない猫のように思えた。
ショーツを脱ぎ身体をくねらせながら音楽が終わる、すると次の瞬間、真っ赤な照明に照らされ凛々しくポーズを決める広瀬さんの姿が!カッコいい!ここめちゃ好き!

まさに、猫、覚醒。

ポーズを決め、悠々と舞台に戻っていく猫、ガーターベルトにショールを巻き付かせしっぽみたい。最後までポーカーフェイスを崩さず、演じた猫の姿。

「にゃーんて、にゃ♪」

なんて最後はやっぱり翻弄されて終わる様な感覚を感じた。


7景:南まゆさん

最後はやはりメインヒロイン、アリスの登場。
南さんは可憐な白と黒のドレスとハート型のステッキを手に持ち、白と黒のスーツとハットに身を包むダンサー(踊り子さん4名+ダンサーさん4名)を従え時には無邪気に、時にはスタイリッシュにフォーメーションダンスを決めていく。
それぞれ違うダンスをしているのに、ある時にピタッと息を合わせるところは快感に近い喜びを感じた。いいよね、ダンス。
アリスのお色直し中は白黒ダンサー達の見せ場。それぞれソロタイムがあったり皆で踊ったりと見ていて楽しい。
黒と赤の可愛らしいロングドレスに身を包んだアリスが登場すると、ダンサー達は敬礼をしながら舞台から去っていく。
一人残ったアリスはどこか夢見心地でスカートをはためかせ踊っていく。時には観客に目配せをして花道を華麗に歩いていく。盆にたどり着くとゆっくりと腰を掛ける。少女から女性へと成長する様な感じ、アリスが「Eat me」という薬を飲んで身体が大きくなったりする場面みたいに感じた。
回る盆でドレスを脱いで前部分を開く表情は必見もの、空に向けて目を瞑る姿はそれまでに登場したカップや白うさぎ、時計や猫が飛び出してきそうなメルヘンさを感じさせる。
まさに「ワンダーランド」
一死纏わぬ姿になるもののアリスらしく靴下と真っ赤なヒールは脱がない。それが少女という危うさを同時に感じさせている。
大人の女性と少女の”あいだ”
それを表情と身体、そして流れる目線で感じさせる南さんの表現力は凄まじいと感じた。


フィナーレ

最後は全出演者が登場するお祭りの様な賑やかさ。
MCは某ロックスターに扮する、ふにゃーんとした口調が独特の「武藤・ロジャー・つぐみ」さん。
双子ちゃん、マッドハンター、女王様、人魚姫、チュシャ猫、そして急いで着替えてきたアリス、ダンサーさん扮するねずみとうさぎ達も加わりもういい意味で「ごっちゃごちゃ」感パナし。
一体、どこを見たらいいのか分からないくらい贅沢な空間だ。
クレイジーにイこうぜ。そんな叫びが聞こえてくる華やかなフィナーレ。拍手が止まらない。逆光に照らされ皆が見事なイナバウアーで倒れ込む中、響くエアギター。
盆を歩き手を振りながら、舞台で整列、深々と礼をして幕が降りる。

終わった後、思わずいばらきさんに「Foooooooo!!」と私は声を上げていた。気分がどうしようもなく盛り上がっていたのだ!やはり私は「舞台」が好きだと再確認できた。
時間があっという間に過ぎていた。ショー形式なので休憩以外は世界観に入り込める、それがとてもサブカル好きには突き刺さった、楽しい!なにこれ?
その後ショーをほぼ2回半見たが、場所を変えて見ると見方がまるで変わる。3回目、いばらきさんが座った席は「目線席」と呼ばれているがっちり反応がもらえる席だったので、ショーが終わると泡を吹いていた。それを見て私も楽しそうに笑う。

いばらきさんと歩く夜の浅草、興奮冷めやらぬ私たちは駅で別れるまで盛り上がっていた。
思っていた以上に劇場側の感染対策は高かったので、観客側も負けてはいられないと思った。
浅草ロック座は思っていた以上に竜宮城の様な場所だった。時間があっという間に過ぎるのだ。
劇場を出て階段を降りると空は暗くて一気に現実が襲ってきて少し冷たい風が身体を冷やす。しかしこの劇場で出会えた人も多かった。知らなかった踊り子さんを観れたのも大きい。


私はこの1ヶ月で、新宿ニューアート、横浜ロック座、川崎ロック座、そして浅草ロック座と関東のロック座系列は一度は足を運んだ。しかし、もっと沢山劇場や踊り子さんもいる。
スト沼は実に深く底が見えない、でもそれがとても楽しくて仕方がない。

(へいへへーい、非常にレポが長くなったので、香山蘭さんメイドバーと武藤さん推しの方を観察したレポは次回に書く予定でございます)


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