SNA、魂が宿るピンスポを見た。

2度目の新宿ニューアートへ私は向かっていた。
はじめて足を踏み入れたストリップ劇場が此処であり、行くことにどこか胸がドキドキする。
それはきっとはじめて足を止めて”入ろう”と、列の後ろに並んだ時の緊張感を思い出しているんだろうなと感じた。
でも開場前で既に列は長い、週末ということもあり人通りもある。

...やっぱ少し恥ずかしい。

でも、何度ももう色々な劇場に行っているじゃないか、へへへん。
もう私もスト客なのさ!
と思いつつも、こそこそと最後尾に並んで空を見上げる。
「新宿ゴールデン街」
の看板と青い空。
その日はとても暑かった。おまけに訳あって早朝に家を出ていたので実は少し眠かった。

開場して入り口でお金を払うと、スタンプカードを作ってもらった。
行く先々でもらえるスタンプカードは何だか嬉しいもので、もう何枚も大切にしまってある。それぞれの劇場の個性を感じられるデザインが多くてとってもいいなぁと思う。
場内を見渡し、前から2列目に1席空いていたので取った。

地に足がしっかり着くっ!!!!!
なんて、嬉しいっ!!!!

前回、3列目に座るとあまりに座高が高すぎて、もれなく太ももが死んだことをとても覚えていたからだ。

そんなこんなで開演です。

1、秋月穂乃果さん

1回目は「カオナシ(改)SNAバージョン」
SNAのステージが開くと、舞台に某キャラクターが立っていた。
思わずのけぞる、だってある意味着ぐるみ...。いや、着ぐるみなんてない、中の人なんていない、いいかい?いないんだよ。(圧)
そう思っているとキャラクターはくるくると、そしてゆっくり踊り始める。
1曲が終わると中の人がすっと現れた、いや、いるやん!中の人!
そっとお面を壁にかけて、キャラクターが見守っているような演出。
中には長い髪の毛をポニーテールにしたすらっとした秋月さんが現れる。そして設置されたポールに両手を掛けるとすっと浮いた。

重力、仕事して。

圧倒的な無重力、負荷は必ずあるはずなのに涼しげな顔で空中で足を躍らせている
繰り広げられるスローリーなポーズに目を奪われつつも、私は思わず楽曲に耳を澄ませていた。
私がその朝、早起きして滑り込んで見てきた映画関連のものだった。そしてその中でもかなり”印象”深い曲を背に踊る秋月さん。
まさかその曲でポールダンスを舞う踊り子さんを見れる日が来るなんて思っていなかった。すごく神妙で幸せそうに踊っていたけど、曲の歌詞は結構、実はえげつないです、マジで。
そしてその次に聞こえてきたのは、私に取って朝からの地続きのような選曲。
もう余韻を楽しみながら、この世界は繋がっていたのか!とか錯覚して、思い入れのある部分で見事にポーズを決める姿に「この方はきっとこの作品がすんごく好きなんだな!」と胸がぎゅーんと熱くなりました。私も4回見てますとポラでお伝えすると嬉しそうでした。同じ作品を愛する者同士で話せたの嬉しかったなぁ!!
2回目は人魚姫の演目
この時に気づいたけど、エアリアルをメインに躍られる方というのは先輩から伺っていたのですがSNAは舞台が狭いことが特徴。
どうしても空中よりもダンスがメインになりがちですが、秋月さんは布を効果的に使われていた印象でした。薬を飲んで海へ沈んでいく姿を布を身体に巻きつけたり、顔の前で広げたりして「海に溶ける」イメージが受け取りやすかった。
表現力ももちろんありながら、技巧派の印象を強く受ける踊り子さんでした!


2、友坂麗さん

川崎ぶりの友坂さん、1回目は「弦月」SNAバージョンでした。
川崎の舞台が大きかったのに比べて、こじんまりとしたSNAではありますがとにかく照明が独特。
見れば見るほど様々な色を組み合わせて、静かでより芸術的に感じさせる。
特に私が好きな、舞台に張られた布を使ってのダンスや魅せ方は鮮明。
舞台頭上にある3つのピンスポがとても生きて、よりアート感が強く感じられた。
2回目は「GTR」
様々なレポで見ていて見たかった1作。それまで見た「弦月」では芸術的、「Jumping!!」では可愛さを感じていたので、まさかこんな切り口で来るとは!!
ポラではとても控えめでいつでも敬語で柔らかな印象だったのですが、このメガネの先生はとっても敬語で控えめなんだけど、何だかそれで淡々と責められている気が。
「下着見えてますか?見ますか?」「その目線はなんですか?」「書道してますが、目線がおかしいですよ、ふふ」「黒パンスト破ってますが何か?」「パンスト脱がせたいですか?」「下着も脱いでますよ」「見たいんですか?ホントいけない子ですね」
と、延々頭に言葉が流れてきました(妄想)
友坂さんの流し目は、本当に独特の鋭さと怪しさと魅力があるなぁと思ったのですが、それがいかんなく爆発した演目だと感じました。最後に友坂先生の点呼があったが、これがとっても楽しくてお客さんも謎の一体感。すっごく面白かったー!

3、木葉ちひろさん

1回目は「My self」
以前、横浜で見逃してしまって後悔しまくっていた一作でぜひ見なければ!と思って足がいつしかSNAへ向いていた。
それまで木葉さんが演じた演目ではワンダーランドのマッドハンターと、踊り方を忘れた悪魔の踊り子しか拝見していなかったけど、この方は何かを演じたり表現することに凄く長けた方だと横浜の舞台を見て、引力のような強い力を感じながらそう思っていた。
でも、この作品だけは初めから最後まで「木葉ちひろ」という人間を表現していた。
真っ黒な衣装で登場する木葉さん、フードをかぶって途中まで表情が見えない。
ゆっくりと踊る、途中から表情も見えるけど少し切なげでどこか悲しそう、微笑んでも陰を感じさせる。
でも2曲目で登場した虹色のドレス、それがぱあっと舞台上に現れると世界が鮮やかになった気がした。それくらい笑顔が眩しかった。生命力、パワーが広がっていくみたいで目が思わず潤む。
「自分が自分でいる自由」
を目一杯表現して、ベットの時の真っ白なロングドレスでも今の自分を見て!というように汗を流し踊ってポーズを決める姿を見て「見に来れて良かったな」と心から感動した。
性別も、年齢も、体型も、全て思った通りに生きればいいじゃん!なんて言われてる気がした。
人間への応援歌、そんな印象を受けて精一杯拍手を送った。
2回目は「Someday」
登場した時から踊り子さんではなくて、もうショーダンサーさん。
なんていうか...私は某夢の国も、某カワイイお城も好きな人なので、めっちゃ笑顔で手足を大きく振って踊りまくる木葉ちゃん(突然のちゃん呼び)を見て、携帯で動画撮りながらお手振りをしたい衝動に駆られました(某夢の国)
1年だけだけどカワイイ国の年パスを持っていたこともあり、パレードに並んだりした日々をふっと思い出す私。こうやって踊りを見てる時ってもう終わっちゃうんだよな、今は凄く楽しいけどもうすぐ終わっちゃうんだとか勝手に切ない気持ちになりました。
なぜか思い出すのはパレ待ちで待ってた思い出ばかり。あのアトラクションも行きたいなーとかグリ行きたいなーとか。最後のベットもメルヘンで夢見心地なひとときを楽しむ木葉ちゃん。額や背中を流れる汗、足を振り上げて低いSNAぎりぎりの天井に届くほどの高さでにこっと微笑む。あーがわいい!かぅわいいーー!!!!!


4、小春さん

1回目は某ロリータファッションが可愛いアーティスト縛りで、ご本人もツインテールにふわっふわのドレスにマイクを手に登場。

アイドルやん!!!!

正統派の(異論は認めぬ)アニサマに出てきそうなアイドル歌手を演じる小春さん。はじめての印象がお姫様なので、もう小春さんのイメージはお姫様です(語彙力ないオタク)
ふわふわの丸椅子に腰掛けたり、くるくる回ったり、ドレスを脱いだら可愛い下着が隠れていたり...最後までメルヘンでふわふわでピンク色の世界を楽しめました。
2回目「アイランド」もドレスで登場、でもまるでジューンブライドのように左手薬指にはめられた指輪を見つめ幸せそうに踊る姿、手には綺麗なブーケ。
次のシーンになると静かな波音だけが場内に響き、そこが砂浜であることが分かった。
花籠を持った花嫁は盆にやってくると、周りに誰もいないことを確かめてひとりで透明なおもちゃを取り出すとオナベをはじめる。
波の音と開放感に気持ちが熱くなったのか次第に恥ずかしさは消えて一人行為に耽る。
でもその時、新妻の夫はどこにいったのかとても気になった。
あんなに花嫁が恋焦がれていた夫、指輪を見つめ目を細めていた彼女を満たせる相手。
行為が終わるとすっと空を見上げた。その時、もしかしたら彼女の相手はもうこの世にはいないのかもしれないと冷たい水が頭から降り注いだ気分になった。そうだとしたらそれまでの彼女の表情の見え方が変わる。アイランド、その単語が少し切なく感じられた。

5、笠木いちかさん

この劇場でデビューされた踊り子さんです、おめでとうございます!
椅子に座りながら手を使ったダンスからスタート。真っ青なドレスを着て表情は緊張しているよう。
「頑張って...!」
と思わず願ってしまうほどの緊張感、ベットに移っても手はかすかに震えている。思わず手を握りしめた、でもその時気づく。
「あれ?この笠木さん。不思議な踊り子さんだな...」
緊張で満ちているのに、その表情は独特の”艶”があって目が離せない時がある。
もしも真っ赤なルージュを引いたらどうなるのかな?豪華な和装姿になるとどうなるのかな?なんて、そんな想像を掻き立てられる不思議な踊り子さん、また劇場に乗っていただきたいなと思うお一人でした。

6、赤西涼さん

6頭、川崎ぶりの赤西さん。
今回は劇場の広さも代わり、よりぎゅっとしたSNAで見る周年作たちがどう見えるのかとても楽しみにしていました。
白→赤とその日は見たのですが、凄かった!
改めて照明の繊細な当て方と赤西さんの魅せ方の上手さを堪能できました。
特に白では花道が短いのでポーズから立ち上がりの魅せ方、音の合わせ方、また川崎とは違った目線で楽しめました。
そして大好きな赤!ヤバかったです!!!!!SNAは赤い照明もとても野生的で鋭い光と感じたのですが、赤西さんの凄絶な表情と真っ赤なピンスポが灯った時の快感といったら!(悶絶)
ぎゅっとした舞台だからこそ感情や表情がよく見えて、その日も頭からまるっと食べられた気持ちでした。またぜひ他の劇場でも見たい一作だなぁと思います。


私は2回目が終了してから劇場を出ました。
「へへっ...今日もこの絶望の中で帰るのか、へへっ」
と赤西さんの「赤」を見た後は魂を抜き取られたかのように、しかし目を爛々と輝かせながらふらふらと新宿駅へと歩いて行った。

二度目ましてのSNAは、以前とはまた違い少し慣れたかのように楽しむことができた。
劇場内はやはり空調が寒かったので長袖カーディガンを持ってきたりと対策もできるようになって、より良い環境を作って自分なりに楽しめるようになってきた。
いつも劇場を出ると大概、夕飯が外では食べられない。今は7時半でお店に入れなくなってしまうからだ。
本当はとても腹ペコだけど、それでも踊り子さんをもっと見たい!と思ってしまう。劇場に行くのなら空腹よりも踊り子さんの姿を目に焼き付けたい!と、いつもは食いしん坊の私は思ってしまう。
「ラストオーダー終わったんですよー、またおねがいしゃーす!」
という声を聞きながら、私は今日も静かに帰路についた。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?