母業も卒業
先日、娘が高校を卒業しました。
子どもが育つほど手がかからなくなる、かと思いきや、もちろん赤ちゃんのときほどではないものの、高校は親の出番が非常に多くありました。
コロナ禍の高校生活スタート
そもそも思春期で、新しい集団に出て行くというのはストレスがかかりやすいと思いますが、その出だしである入学式はコロナで中止。一度も対面せずに少しずつオンライン授業が始まりながら、SNSを通じて先輩や同級生の集まりができ、イメージだけが先行しやすい状況で時間が進んでいきます。
これまでも、新入学、新学年、という区切りでコミュニケーションを頑張りすぎて、加えて成長に伴うなんやかやで、一時的に耳が聞こえなくなる、目が見えにくくなる、頭痛がするといった不調が出て、都度病院に行っていました。高校入学は思春期でもあり、前述のようなコロナ関連のイレギュラーもあり、やはり様々な不調がありました。
1カ月ほどたったころでしょうか、分散登校が始まり、部活も始まります。部活は、親の目からするとおそらく向いていないタイプの部活を選択していて、これもストレスがかかりそうだなあと思っていましたが、案の定でした。
ある意味ではしっかりしているので、リーダー的な役割をしぶしぶに引き受けがちなのですが今回もというわけで、向いていないタイプの1年生内リーダーに就任。しかし、不調と戦いながら、それを隠さず部員のみんなとも向き合って、頑張って全国大会進出という成果を出しました。
2年生は部長と保護者リーダー
それでもって2年生に上がれば、当然のごとく部長に。部長の母は、当然のごとく保護者のまとめ役に。夫だってそういう役をやればいいじゃないかと常日頃から思っていますが、女子しかいない部活で、ほかの保護者も女性ばかり。そして夫は会社員。私は自営業(自営業は自由というわけでもないんですが…)がやるほかなさそうです。
「部長になっても、お母さんはお世話無理だよ。仕事あるから、ほんとに無理だからね」
何度も言いましたが、やっぱり部長に。子どもがやるというなら支えるしかない、子どもがそれで不利益を被ったらいけないしと、PTAのごとく抵抗を諦めて保護者代表に就任しました。
LINEグループをつくるとか、名簿をつくるとか、お金集めるとか、部活リュックを発注するとかいった雑務から始まり、強い部活なので、全国大会の保護者席がなんとかとか、チケットがどうとか、応援にタオルを持って行くとかなんとか、応援が終わったら輪組みで保護者の皆さんお疲れ様な挨拶をするとか、保護者の方からクレームを受けるとか(困った保護者ってどこでも一人はいるんですね…)、PTAっぽいことを1年、いろいろやりました。
子どもは部活のことでいろいろ悩み苦しんでいて、その対応に学校に行くことも多々でありました。
3年生は受験
部活は永遠に続く気がしていましたが、3年生になって無事引退。ほっとしたのもつかの間、受験へ突入。ちょっと変わった学部で、共通テストの成績+αが必要で、資料集めやら願書づくりやらに奔走。
受験は、塾に行かなかったこともあり一緒にいることも多かったので、私としては二人三脚という感じで支えて、共通テストの時などはもうその緊張を全て受け止めたつもりでいて、第一志望に合格したときには、二人で泣いて喜びました。
そして感動の卒業式か?
そして、先日、卒業式。かなりタイトな仕事の合間を縫い、駆けつけます。
ああ、高校は今までで一番手も時間もかかったな。お弁当も作ったし、食事も手作りしてきた。でも会社の売上げは伸ばし続けて、家のことが業務に影響しないようにやってきた。大学にも合格して、最後、晴れやかな写真を撮ろう…といい席に着席し、カメラを構えたところへ、卒業生たる娘が入場してきました…
びっくりするほど仏頂面で。
しかも逆光で、輪を掛けて顔が暗い。
うーん、名前を呼ばれるとき、「部活で鍛えた返事を聞かせるよ」というようなことを言っていたから、これからかな?
と思っていたら、返事「はい」かろうじて聞こえるかくらい。
…退場するときこそー!
とカメラを構えるも、クラスごとに退場するときに全員でマスクを取って歩き出すの演出があったにも関わらず、娘、顔をほとんど覆うマスクを取らず、うつむいて、これまたおそらくこの日学校一だったと思われる、この世のものとは思えないふてくされ顔で退場。
え?? まだ中二でしたか??
呆然としつつ、よそのクラスがマスクを取って歩いてくることに、いったん、じーんとして外で娘を待ちます。せめて「卒業式」という看板と写真を撮らせてほしい。
まだ出てこない?とLINEを送ると、「いつになるかわかんないから先帰ってて」。
えええ! 真っ暗のマスクでほとんど隠れている上での仏頂面しか撮れてないのに!
ランチしようかと待ち合わせしていた部活保護者幹部のママたちとしばらく粘っていましたが、三人とも子どもが出てこず、諦めることに。
よそのお子さん、保護者のところに駆け寄ってきて写真撮ってくれてる子もいて、うらやましかったなあ…。私が一体何をしたというんでしょうか。
子どもは、卒業式後の学校のクラス会にも行かず、昔行っていたかけっこ教室の何かの集まりに喜々として出かけていきました。
ポニーテールは振り向かない(知ってます?)
高校、頑張ったねー!と終わるのかと思ったらあまりにイメージと違ってがっかりでしたが、彼女の中ではもう高校に早々と区切りを付けていて、バイトとか大学とか、その他新しくできた世界だけを見ている様子です。
いまだ「写真撮りたかった」と若干恨んでいますが(笑)、それだけ全力で、頑張ったねなんて言うすき間もないほど、高校はまさしく終わり、なのでしょう、ということにしておきましょう(ムカ)。
ママ友たる部活保護者幹部ママとランチして、ああ、仕事が関係のない立場でのランチなんて久しぶりだと楽しみまして、これから私はまた、子どもの親ではない、自分の世界を作っていくのだと思ったりもしました。
母業終わり、自分のことに集中します
大学生になれば、さすがに放っておいて大丈夫でしょう。業務に邁進したものの、リスクの高いチャレンジは受験が終わってからと考えていましたし、コロナ禍も収まってきましたし、振り返ることなく飛び出した娘の背中を見送って、母業は卒業。自分の事業に集中してまいります。
そして思春期は、自分のことを書かれるのはいやだろうと思ってほとんど娘のことには触れずに来ました。今回、こうして書いたことも、高校を卒業したからなのです。
子どもがいるから、と書かないできたことを、いろいろ書いていこうと思います。
子どもに遠慮して書くことからも、卒業です。
原田あやめ