
人生について考える時間〜Life itself〜
旅に切っても切り離せないもの、それは飛行機内での映画である。
移動時間も旅のうち。大学生までは機内では爆睡、一度も起きないということがよくあったけれど、社会人になると自由時間が減った為、普段忙しくてチェックできていなかった映画をみたくなる。
今年の年末年始は9日間バリに行った。往復は台湾系のEva航空。
往復の機内で映画を4本ほど見た訳だけど、1つとても刺さった映画があった。
タイトルは「Life itself」2018年に公開されたハリウッドムービー。
学生時代に知り合った2人はその後結婚して子供を授かるが・・・その2人の出会いによって変わっていく人達の運命を描く物語。
洋画を見るときに参考にする映画評論サイト「Rotten tomatoes」では”大事なことが何一つ伝えきれていないメロドラマ”などと酷評されているので、この映画オススメだよ!とは言い切れないわけだけど、
人生の意味とか、生きる意味について立ち止まって考えていた今の私にはぴったりの映画だった。
実は去年の秋、働き始めて初めて、鬱病のような症状が出た。
とにかく仕事が忙しくて、なぜか日曜も毎週出勤していて、プライベートもうまくいかなくて、自分自身が混乱していた。
それに加えて疲労が蓄積してしまい、家に帰ると自分の部屋に直行し、眠るまでただひたすらに泣いていた。夜ご飯も1人じゃ食べられなかった。
仕事が忙しいのはこの仕事を選んだ自分のせい(外資系の会社から日系の会社に転職してちょうど1年経った頃だった)。プライベートがうまくいかないのも全部自分のせい。
とにかく自分のことを攻め続けたら、心がぶっ壊れた。
1ヶ月間、毎日泣いて泣いて、どんどん身体もやつれていった。
こんな思いをしてまで、なんで働くのか、なぜ生きていかなければならないのか、自分なりに精一杯考えた。
私は典型的根明人間で、友達も多く、社交的、いつも笑顔なお調子者だった。だから鬱になった友達とか、休職した友達を見ると、私には絶対起き得ないことだろうな〜と心のどこかで本気で思っていた。
今回自分の身に降りかかってきたものは、とても辛かったけれど、生きる意味とか自分のしたいこととかを考え直す機会を与えてくれた。
あの地獄の1ヶ月を乗り越えて、心理学に興味を持つようになり、心理学の本を片っ端から読み始めた。
その中の1冊が、去年大ヒットした「嫌われる勇気」
アドラー心理学を哲人と青年の対話形式でわかりやすく説明するもので、その中に出てくる、”人間の幸せは「共同体感覚を持つ」ことによって達成される”、という箇所に興味を持った。
私は今まで周りの人と自分を比べては、うまくできてる、できてない、を判断してきた。きっと仕事選びも、友達選びも、恋人選びも、周りの目を気にしすぎていたところがあったかもしれない。
アドラーはそのような他人との比較による劣等感などを猛烈に否定している。
他人に承認されることで得るものは何もない。人類の幸せとは、家族とか職場とか、それよりもっと大きな共同体に所属しているという共同体感覚を持つことによって成し遂げられる。と。
話は戻って「Life Itself」の中でも、同じような思想が語られていた。
今、この瞬間がどんなに苦しくても、もう少しだけ遠くに進めば、そこに愛は必ずある。何故ならば、あなたはあなただけではなく、あなたの両親や祖父母、先祖に見守られているから。
共同体感覚の話にしても、Life itselfのセリフにしても、辛い時期、悲しい出来事はどうしても自分1人の問題として考えてしまうけれど、そんな時こそもっと大きなものに守られて生きていることを思い出す、そんな教訓を与えてくれた気がする。
幸い私は辛い10月を乗り越えて、今はびっくりするほど元気にいつも通りの生活を送っているけれど、いつまた来るかわからない辛い時期がきた時は、この考え方を知らなかった去年の10月の私よりも、凛として乗り越えられる気がする。
「Move a bit further, you will find love」