最初の病院選びを間違えたせいで、大学病院で乳がんを見逃された話
大きな病院の乳腺外科でしっかり検査してもらえれば、乳がんを見逃されることはないと思いませんか?
初動で病院選択を間違えると、そういう事が起こります。
検診センターで定期検診していたのに見逃されたという話は聞いた事がありますが、乳腺外科医に直接診てもらって見逃されるなんて…!
いかに初動の病院選びが大事かという話をしたいと思います。
町医者の紹介先が一択で、実績の少ない大学病院だった
私は乳頭付近に痛みを伴う膿んだゴツゴツした出来物が現れた症状で、家から近い町医者の乳腺外科にかかるという、やや間違った選択をしました。
町医者の先生は超音波(エコー)での診察時におそらく乳がんだと思っていたと思います。
乳がんは今はそこまで怖い病気ではないよとか、小林麻央さんの例を出しながら、見逃されていなければ亡くなることもなかったかもしれない、乳腺外科医が最初に診ていれば…とか、色々な話をしながら、「今日来てくれてよかった」と言いました。この時点で、エコーでわかる腫瘍が8cmもの大きさだというのです。
とにかくうちには設備がないから、精密検査をするために以前勤めていた大学病院に紹介状を書くけどいいか?明日にでもかかれるから、と言われ、よくわからないまま不安で仕方ない私は「お願いします」というしかありませんでした。
つまり流れで進んで来てしまって、私には選択肢がなかったのです。
最初から正しい流れに乗っていれば、この後さらに乳がんを悪化させたり転院したり必要もなかったと思います。
超音波検査(エコー)もマンモグラフィもやったが誤診された
人生で初めて都心の大きな大学病院に紹介状を持って行きました。
風変わりな男の先生が患部を診察してくれました。
町医者では、私一人に長い時間をかけて診察したり説明したりされて不安に思っていたのですが、先生は一目見るなり「あーわかった!これはバイキンが入って膿んで腫れてるんだね」と言いました。
超音波検査をして、マンモグラフィを撮ってきて、と言われ、膿んで傷んでいる患部をマンモの板に挟まれて涙目になりながら何とかこなして帰ってくると、先生はマンモの画像を説明して「こういうわけなので乳がんではないと思います」とハッキリ言いました。
私には「こんな大きな病院で毎日乳がんを診ている乳腺外科医>町医者の見立て」というバイアスがかかっていたと思います。
めちゃくちゃ安心した私は処方された抗生剤を飲み、1週間後に再受診することになりました。膿は落ち着いて、しこりも少しは小さくなったのですが、しこりが無くなる事はなく、はっきりわかる大きさがありました。
ところが再受診の際、先生はしこりがなくなっていないと説明する私の話は聞かずに「小さくなったね!」と言い、あと2週間薬を飲んで、もう来なくていい、ゴツゴツした出来物はそのうちなくなるからと治療完了になってしまいました。
「不妊治療は継続して大丈夫です」と言われました。
ここで私は不審に思うどころか、こんなにハッキリこなくていいと言われるっていうことは、絶対乳がんじゃないんだ。何しろ毎日乳がんの手術をしている大病院の専門の先生が針生検もしないで乳がんじゃないというんだから!
めちゃくちゃ安心してしまったのです。
こういった状況になってしまうと、誰でもそうなるのではないでしょうか。
そんなことより「不妊治療継続」が嬉しくて、さっさと次周期で採卵しようという気持ちになっていました。
乳がんなのに女性ホルモン注射を打ってしまう
大学病院の先生にも不妊治療の内容は説明しました。しかし、採卵や移植をするのにどんな薬を使うのか全く知らず、何の説明をしても「?」という感じだったのが非常に気になっていました。そのくせ「不妊治療は継続していいです」というのでとても不安だったことを覚えています。
お医者さんは非常に専門性の高い仕事でしょうから専門外領域まで詳しいわけではないのでしょうが、患者は関連がありそうなことは専門外でも詳しいだろうと安易に思いがちです。
下記の記事でも触れていますが、自分を守れるのは最終的に自分しかいないです。
なぜ乳がんだと気付けたのか
この流れに乗ってしまっては、手遅れになるまで発見できないパターンになりがちだったと思います。
私は受診の翌月に採卵を終え、翌々月にすぐ胚移植をしようと思っていたのですが小さな子宮ポリープが見つかり切除手術をすることになっていました。
早く移植したいのに悶々とする中、ふと先日受診した乳頭付近の出来物が塗り薬を塗り続けても一向になくなっていないことが気になって「授乳するのに困るよな」と思い、大学病院を再受診することにしたのです。
皮肉なことに、私が第2子を希望していたおかげで比較的すぐ再受診することができたのです。再受診していなければもっと深刻な事態になっていたと思います。
とはいえここで2ヶ月ロスして、女性ホルモン注射も打って乳がんを育ててしまいました。これさえなければ、私はリンパ節転移まで行かずに抗がん剤治療を免れたり、今後の人生で妊娠を諦める必要はなかったかもしれません。
都心の大病院にもクソヤブ医者は存在する
同じ大学病院の同じ先生を2ヶ月後に訪れているのですが、再受診し患部を見せた時にまさかの一言を言われました。
「え!なんだこれは、どう見ても悪いものとしか思えない!」
は?でした。
2ヶ月前に診せた時と患部の見た目は全然変わっていなかったのです。
改めて超音波検査をしながら「これはもう、そうとしか思えないよ」と何度も言い、写真を撮られたり大急ぎでMRIの予約を取られました。
MRIは大変混雑しているからどんなに急いでも2週間後になる、MRIの見立てが悪かったら針生検をして、その結果は1週間後に出る。針生検の結果で乳がんかどうか確定となると言われました。
生き地獄のような気持ちで混乱しながら帰りました。
私は翌日電話して「すみません、MRIの結果の後に針生検するのは何か理由があるのですか?どんな気持ちで過ごしていいかわからないので、針生検を先にやっていただくことはできないんでしょうか?」と言いました。
特に理由はなかったらしく、翌日すぐに針生検をしてもらい、見事1週間後にがんが確定したのですが…
この時は混乱していてよくわからなかったのですが、そうなんです、めちゃくちゃ要領が悪い先生だったのです。
初診で8cmもの腫瘍があったんだから針生検もしておけばよかったし、再診時も私が言わなければ乳がん診断まで約1ヶ月ロスしてたわけです。
都心の大きな病院ならどこにかかっても同じレベルの医療が受けられるから大丈夫と思い込んでいたのが間違いでした。
後で調べると、こちらの病院は都心にもかかわらず乳がん手術件数100件程度しかない、実績の少ない病院だったのです。
告知で混乱していても、冷静に命を守る行動をするために必要なこと
乳がんかもということになれば、誰でも混乱状態に陥りパニックになります。
もし配偶者や両親、子供など、誰か自分より冷静に立ち回れる親族がいるなら同席してもらって正しい行動を起こせるようにサポートしてもらうことが大切だと思います。
私の場合、残念ながら何なら自分が一番頼りになる感じでしたので一人で決断したのですが、あの状況でよく冷静にやれたなと自分でも感心します。
さすがにここまでくると先生に不信感があり、うっすらと転院を考えるようになったのですが、流れに乗ってしまっているせいでどんどん検査が進み、手術方式をどうするか、いつにするかという話まで出て抜け出せない状態になっていました。
この時、加入していた生命保険のサポート電話と、がん支援センターに助けてもらって何とか転院する流れに飛び乗ることができたのですが、それはまた別の記事で記載することにします。
また、じゃあどんな基準で大病院を選んだらいいの?ということも記載していきます。
結論:こうならないためには
正しく無い流れに乗っているのがわかったまま混乱状態に陥ってしまうと、多くはその流れのまま治療に進んでしまいます。
うっかり誤診されてしまえば、命をリスクに晒すことになります。
ですので、私がオススメするのは下記2点に気を付ける事です。
最初に診察・検査してもらう病院をしっかり調べてよく選ぶ
自分だけで判断しない、信頼できる親族に付き添ってもらう
それでも正しく無い流れに乗ってしまった場合、セカンドオピニオンや転院のコツを別の記事で記載していこうと思います。