電車の中の話

これはお盆前の話になるんだけれど、帰宅する電車でソワソワしながらスマホを見ているマダムがいた。

一瞬コチラを見たんだけれども、私がイヤホンをしていた為か前に立っていた女性に話かけた。

どうやら道を聞いている様子。

聞かれた女性も素敵な方で調べつつも、うまく説明できないような表情。
チラッと見えた画面には私の最寄りから3つ先の駅名。
急行に乗っていたんだけれど、各駅に乗らないと着かないし乗り換えがちょっと難しいかもしれない。

…どうする????

考えた結果、マダムの肩を叩いた。
そして何も知らない風を装って「どこかに行かれたいんですか?」。

明確な行先を聞き、乗り換え同じなので一緒に行きましょうと誘ったら不安げな表情から一変、笑顔になってくれた。

同じ電車に揺られながら話を聞くと、一人暮らしの娘さんが熱を出し、心配で名古屋からすっ飛んできたと。
甘えられる娘さんも、親馬鹿で…と恥ずかしそうに言ってるマダムからとてもいい関係なんだというのが見えて「めちゃくちゃいいじゃないですか~!」と語彙力のない返事をしてしまった。
でもとても嬉しそうに笑ってくれたのでいいとする。

親がいるうちはとことん甘えればいい。
マザコンな私はお別れして、4年経ったってママが恋しくて寂しくて泣くことがある。
ご飯を作るときもママのご飯が食べたくて味を寄せてしまう。
なんかした時に「〇〇○○って言われそう~」と思ってしまう。

ママもママで最期まで「お弁当作ってあげたい」と言ってくれてたし、私のした洗濯ものを見て「ママいないとダメだ、こんなんじゃまだしねないな~」と言っていた。(おいていかれてしまったが)
親も親をするのが好きでいてくれてんだ、と思った。

今回電車で出会ったマダムもきっとそうなんだろう。
「声かけてくれて、本当にありがとう」と言われて、勇気出して声かけた事を少し誇らしくなれた。
「お元気で」「またいつか、どこかで」と手を振り合った。

いつも嫌な思いばかりしてる電車内だけど、たまにこんな出会いもあるもんなんだなと温かくなったある日の話でした。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?