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Black or/vs/and White ... Part 1

以下の文章は私の個人的な見解です。

表題の写真を今週タイムラインで見た人もいるだろう。左は元プロアメフト選手のコリン キャパニック。ゲームが始まる前の国歌斉唱の際に、普通は立ったまま胸に手を当てて星条旗に敬意を払うところを、『黒人や他のマイノリティーに酷い扱いをする様な国を誇りに思えない』とプロテストの意図を見せるために片膝をついた。その後コリンはトランプ大統領や右翼グループから『非国民!』と大バッシングを受け、49ersからも解雇され職を失った。そのコリンをNikeが雇い胸にグッと来る広告を作ったのは有名な話だ。

『一体どっちの片膝にあなたは気分を害するんだ』と言う強い怒りのメッセージがこの写真には込められている。

私がアメリカ移住前に持っていたアメリカのイメージ。。。NYの入り口で堂々と輝き皆を受け入れる自由の女神、セサミストリート、Michael Jordan、Cosby Show、カッコ良すぎる80、90年代の黒人アーティスト達。日本には無い『人種のるつぼ』という概念に憧れた。アメリカには独自の不思議なパワーがある。開放的で楽観的で、子供の頃大好きだったサーティーワンアイスクリームみたいにカラフルな社会。色々な味の組み合わせが無限に楽しめる。

ただ、アメリカの社会にどっぷり暮らしてみると、あのカラフルなアイスクリームの組み合わせを自由に選び、楽しめるのはある程度の経済力がある人たちのみだと言うことが見えてくる。

コリン キャパニックの右側の警察の写真が今週アメリカで起こっている息が詰まる様なニュース:日本でも様子が報道されているミネアポリス警察の殺人事件。無抵抗の黒人男性の首を7分近くに渡り押さえつけ、この黒人男性が何度も『息が出来ない』と訴えていたにも関わらず、窒息死に至らせた。ニュースに出ている警察に対してのプロテストは、間違ってもこの単独の事件に対してのプロテストでは無い。アメリカ400年の人種差別の歴史がバックグラウンドになっている。

アイスクリーム屋の話に戻る。

アメリカの土地はもともとこの土地に住んでいたネイティブの人達からヨーロッパからの移民が取り上げたものである。1590年までに90%ネイティブアメリカンが殺された。これがアメリカ建国の始まりだ。

白人のオーナーの命令で、何も無い荒地をアイデンティティーもプライドも全て奪われた黒人が無償で耕し店を建てる。その利益は全てオーナーに入り、やがて次々と店舗を展開し子孫にも財産とステータスを残していく。

時代は変わり奴隷制度は廃止されたが、すでに社会をコントロールしている白人は居心地の良いトップの生活を分けたいとは思わない。今度は自分たちが作った*社会のシステムを駆使して白人以外が出世することを妨げる。*私も大学院で勉強するまではそれらのシステムについて知らない事が多かった。

そしてマーケティング上手なアメリカはCMには黒人も起用し『みんなのために作ったアイスクリーム屋さんだよ』とキャンペーンするので、私たちは『黒人は怠け者だから成功しないんじゃ無い?』と誤解さえする。

アメリカ文化の象徴でもあるスポーツや音楽業界で輝いて見えるBlack Americansのイメージとは裏腹に、アメリカでは黒人を犯罪者扱いし警察が誤って罪のない黒人を射殺したり、ひどい扱いをしたりという事件が後を経たない。市民を守るための警察は、多くの黒人にとって警戒が必要な存在である。以前NYに住んでいた頃、いつもお洒落な黒人の友人が『そこら辺にちょっと出かけるにもちゃんとした格好しないと犯罪者と間違われるんだよね』とポロッと言っていたことをふと思い出した。あの頃は冗談だと思っていた。それ以後も大学院での黒人クラスメイトが『運転中警察に止められた時に、財布をポケットに入れたままにすると、免許証を取り出すのに銃を取り出すのと間違われて射殺される可能性があるから、必ず車に乗る時はヘッドボードに挟んでる』と話しているのを聞いた事がある。

黒人に対する酷い扱いは無論今に始まった事では無い。スマホで動画や写真が簡単に撮れる様になった今だから証拠が残り、あっという間に世界中にシェアされる様になっただけの話だ。そしてこの数週間だけでAhmaud Arberyの事件もあり、その上アメリカが現在大打撃を受けているコロナウィルスの被害が、不釣り合いに黒人コミュニティーを襲っている現状によりアメリカ社会の不平等さがここでも顕著になっている事も加わわり、堪忍袋の尾がいよいよ切れたのだと思う。もうなんの変化ももたらさない片膝を立てるだけの静かなデモをしている場合ではない事は想像できる。

だから、アメリカ各地で攻撃的なデモが起きている様子を見て『黒人は暴力的だ』などとは決して思わないで欲しい。私たち日本人には遥かに想像を絶する苦悩の歴史を抱えているのだ。このことについて作家Kimberly Jonesが人生ゲームのアナロジーを使って分かりやすく説明している。


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