絵本の余韻
息子の小学校で、読み聞かせボランティアをしている。
授業前の朝読書の時間に、選んできたおすすめの本を読むのだけれど、子ども達のためと言うより自分のためにしている事。
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絵本を読んでる時の子供達の表情が、凄く愛おしい。
真剣な眼差しで食い入るように聞く子、入り込みすぎて口をポカンとあけてる子、物語が展開するごとに「わぁ!」とか「うそ!」とか心の声がでちゃう子、ちょっと怖い場面で、ついお友達に抱きついちゃう子。
とにかくみんな、真剣に聞いてくれる。その反応が見たくてやっているようなものだ。
読み終わった後で先生が感想を促すと、みんな手を挙げてくれる。
大抵、「面白かった」とか「びっくりした」とか似たような感想が殆どで、大人が期待するような個性的な感想はあまりないけれど、それは当然ではないかと思う。
あんなに物語に引き込まれてる …一緒に驚き、喜び、不思議がる。
それで充分だ。
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物語が終わったら、どうかその余韻に浸らせてあげてほしい。
言葉にもイメージにもできないその余韻の中でこそ、想像力は無限に広がるのだ。
絵本を読んだ後に感想を聞く事は、その余韻から無理やりズドーンっと現実に引き戻しているように思える。そりゃ「面白かった」くらいしか出てこないんじゃないかと思う。
大人になると、形のない気持ちに名前をつけ、ぼやけたイメージに色をつけなければならなくなる。
ならばせめて子どもの時くらいは、言葉やイメージをつけることができない柔らかく儚い感性を自分だけの世界でたっぷりと広げさせてあげたい。
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