君死にたまふことなかれ
お雛祭り、ですね。ハワイのマウイ島では日本のように、梅や沈丁花など、冬の寒さが和らぐのと共に段々とほころびる春の花が目に飛び込んでくるほど多種あるわけではないので、毎年、あ、お雛様、と気づいた時にはもうその当日だった、というパターンが多く、また今年も苦笑しております。
さて、新たな大統領が就任して(なんだかスッキリしない選挙結果のまま表面上なっている)まだ一月余りな訳ですが、もう始まりました。シリアの爆撃。
特定の階級の利益だけのためにある、戦争。一体こんな事をどうして人は繰り返すのでしょう。
100年以上も前に書かれた与謝野晶子の有名なこの手紙に深く同感します。
”あゝをとうとよ、君を泣く、
君死にたまふことなかれ、
末に生れし君なれば
親のなさけはまさりしも、
親は刃をにぎらせて
人を殺せとをしえしや、
人を殺して死ねよとて
二十四までををそだてしや。
君死にたまふうことなかれ、
旅順の城はほろぶとも、
ほろびずとても、何事ぞ、
暖簾のかげに伏して泣く
あえかにわかき新妻を、
君忘するるや、思へるや、
十月も添はでわかれたる
少女ごころを思ひみよ、
この世ひとりの君ならで
あゝまた誰をたのむべき、
君死にたまふことなかれ。”
旅順が陥落しようがしまいが知ったこっちゃない。家に残された新婚間もないあなたの妻の涙を思いなさい。この世でたった一人のあなたなのに。戦争なんかで死んではいけない。
という激情がほとばしり出たこの手紙。読むたびに胸が熱くなります。この思いは世界中、どんな政治的、経済的、宗教、文化背景であろうが、個人単位に戻ればみんな同じはず。大切な人、家族を戦争なんかで死なせてはいけない。どうかどうか、命を無駄にしないで。あなたのお母さんはそんな事で死なせるためにあなたを産んだんじゃない。