《神話-9》海神ポセイドン
こんにちは。
Ayaです。
今回は海神ポセイドンについて取り上げます。
ポセイドン
ポセイドンはゼウスの次兄です。長兄ハデスは冥界から出ることができないためオリュンポスにはほとんど来ませんが、ポセイドンは海の宮殿とオリュンポスを行ったり来たりしています。
海を支配している神は日本神話のスサノヲもですが、怒りやすい性格とされています。これは地震や津波を引き起こすからだと考えられます。またポセイドンもスサノヲも、馬を神獣としているのが興味深いですね。
絵画ではなんでも突き通せる三叉の矛を持って描かれることが多いです。
今回はアーテナーとのアテナイをめぐる争いのエピソードと、その後日談についてとりあげます。
アーテナーとのアテナイをめぐる争い
アテナイができたとき、街の守護神をだれにするか話し合いが開かれました。このことを聞きつけたアーテナーとポセイドンが名乗りをあげます。人々はどちらも怒らせたら怖いということで、街にあたえてくれるもので決めることにしました。
ポセイドンは塩水のでる泉を、アーテナーはオリーブの木を与えると申し出ます。アテナイの人々は後者を選び、街の名前もアテナイと改めました(本当は違う名前でしたが、わかりやすいようにアテナイで統一しています)。
ポセイドンはこの決定に納得できず、怒りました。結局ゼウスの仲裁で、ポセイドンの神殿も作られ、第2位の守護神とされました。
メドゥーサ
とはいえ、ポセイドンの腹の虫は治りません。彼に言わせれば姪にあたるアーテナーより下位ということがプライドを傷つけられたのでしょう。そこで、アーテナーに嫌がらせをします。
彼女の神殿で、愛人のメドゥーサと関係を結んだのです。処女神であるアーテナーはラブホテルがわりにされたわけですから、激怒します。しかし、伯父にあたるポセイドンに仕返しはできませんから、ターゲットを愛人のメドゥーサにします。メドゥーサ自身自らの美貌を自慢するような性格で、もともとアーテナーは気に入らなかったのです。
アーテナーはメドゥーサ自慢の美貌を『見た人が恐怖のあまり石に変わってしまう顔にする』呪いをかけました。その顔にふさわしいように、美しい髪はヘビに変えられてしまいました。メドゥーサはこの姿を恥じて、ポセイドンの前から姿を消して、怪物である姉たちのもとに身を寄せます。
ペルセウスのメドゥーサ退治
それからしばらく経ったあと、ゼウスの息子ペルセウス(ゼウスが黄金の雨になって交わったダナエの息子)がメドゥーサ退治に乗り出します。母ダナエと赤子の彼は孫を恐れるダナエの父によって、箱に入れられて海に流されました。漂着先で生活していましたが、そこの土地の王にダナエはしつこく付きまとわれていました。息子のペルセウスは苦々しく思っており、王と口論になり、つい『メドゥーサの首をとってくるから、母に付きまとうのやめろ!』と言ってしまったため、メドゥーサ退治に出発しました。
ペルセウスは父のゼウスに助けを求めましたが、実際に対応したのはアーテナーでした。彼女にしてみればメドゥーサは因縁の相手であり、なにかとペルセウスの力になってくれます。メドゥーサを直接見ると石になってしまうため、ペルセウスには鏡のついた盾をあたえます。それだけでなく、メドゥーサに気づかれずに近づくために、姿を消せるハデスの兜や空を飛べるヘルメスのサンダルまで借りてきてくれました。アーテナーの尽力によってペルセウスはメドゥーサの退治に成功し、証拠として首をとってきました。そのとき、メドゥーサの血からポセイドンとの間に身籠っていた神馬ペガサスと巨人が生まれました。
アンドロメダ救出
無事目的を果たしたペルセウスでしたが、帰り道で乙女が海に生贄にだされている姿を見つけます。乙女はアンドロメダといい、その母カシオペアが海のニンフたちより自らの美貌が優れていると自慢したため、ポセイドンの怒りを買い、娘を生贄にさしだしたのです。
アンドロメダを助けようと、ポセイドンからつかわされた海竜に立ち向かうペルセウス。
しかし、全く歯が立ちません。ペルセウスはアンドロメダやカシオペアらに目を瞑るように叫び、メデューサの首を取り出します。メドゥーサの首にはまだ『見たものを石に変える』魔力が残っており、海竜は石になってしまいました。海竜退治のお礼に、ペルセウスはアンドロメダと結婚します。
アンドロメダを連れて、戻ったペルセウス。メドゥーサの首を見せますが、信用していない王は目をつぶらず、石になってしまいました。
目的を果たしたペルセウスはアテーナーから借りたものと一緒にメドゥーサの首を献上します。アーテナーは首の魔力が弱まっているのを確認し、自らの盾に取り付けました。こうしてメドゥーサの首はアテーナーを象徴するアトリビュート(持物)となったのです。
さて、ペルセウスは妻と母を連れて、母の故郷アルゴスに凱旋します。いよいよ殺されると思ったダナエの父は姿を消しました。そんなとき、競技大会が開かれます。この競技大会に飛び入り参加したペルセウスは円盤を投げますが、不幸なことに円盤が老人に当たってしまいました。その老人は身をやつしたダナエの父であり、死んでしまいます。事故とはいえ実の祖父を殺してしまったペルセウスは良心の呵責に苦しみ、祖父の王位を継ぎませんでした。遠戚の小国ミュケーナイの王と王位を交換してもらったのです。ペルセウスはミュケーナイの統治に成功し、ミュケーナイは屈指の大国となりました。
『海の神 ポセイドン』についてはここまでです。ほとんどアテーナーの話になってしまいましたが、メドゥーサは元愛人だし、カシオペアが怒らせたのもポセイドンだしええやろ!というわけで取り上げました。元愛人の首を見せつけられるポセイドン、結構可哀想な気がします。
ちなみに、ポセイドン、一度へーラーやアポロンと組んでゼウスに反旗を翻したことがあります。しかし、敵わず敗れてしまい、アポロン同様に人間の元につかえています。海とオリュンポス、人間界とパワフルな神様ですね。
ポセイドンを怒らせた人物としてはオデュセウスが有名ですが、彼についてはトロイア戦争でとりあげます。
次回はオリュンポスの12神最後の『酒の神ディオニュソス』です。