幼いころ、流れていく雲を、古くからの友だちのように感じていたことを思い出しました。 そらは、生きているのかもしれません。
詩の朗読をしてみました。
パプリカの 白い花びら どこまでも柔らかく 混じりけのないしろにに染まった はなびらは ゆったりと 穏やかに 過ぎていくときを受け止めています 花びらの中では 深緑の小さな実が 体を硬くして ただ ただ ときが経つのを待っています 自分の真ん中で育ち始めた実を 花びらは何より愛おしいものとして 抱きしめているように見えました 花びらは 何処かで感じているのでしょうか ほろ苦い香りを少しずつ 世界に投げかけ始めたこの実が 自分の‘’みらい‘’をさしている という
「知りませんでした 夏の夕暮れが こんなにも 美しいものだなんて 頬を撫でる夕風が 優しく手を振る樹々の葉や 柔らかな草がこんなにも 愛おしいものだなんて 道路の隅で仰向けになって 初めてそらというものを感じた いま バラ色に燃える夕陽が その力強く 優しい光で 私のことを焼いてくれたら… 私も 街を見守る太陽の 一部にしてくれたなら… きっと 今日までの7日間 一瞬だって無駄になった時間はなかったと 心から信じられるような気がします…」 道路の隅に横たわってい
いつの間にか雲は 薔薇色の夕日に照らされて やさしい藍色をした影になっていました そらが いびつな形の雲を映した 1枚の影絵になっています 影絵の色彩や模様は 刻一刻と変わっていきます 私は この謎めいた美しい絵を 食い入るように 見つめていました 目には見えない誰かの筆が 本当に楽しそうに のびのびと動いているところを 思い浮かべながら
2020年8月15日 友だちの口から とんでもなく貴重なことばが さらりと出てきました 「生きていてくれてありがとう」 硬く 冷たく 滞っていたこころに うわっと 血が通うのを 私は感じました そして決めました 自分の大切な人に そして自分自身に なん度でも伝えていこうと 「生きていてくれてありがとう」 75年前の今日 私が住む国でやっと 許されたこのひとことを
透き通ったやさしい 緑色の皮をまとっている まだほんの幼いとまとを そっと手の中におさめたとき 私はなぜか トマトのなかに ひろびろとした草原が続いているのを 感じていました 柔らかく繊細なみどりの葉に 埋めつくされたその場所で 私の心はいつの間にか 吹く風を心地よく 全身で受け止めていました ほんの一瞬 顔を出しただけの幼いとまとが 自分だけの大切な草原に 私を入れてくれた… 私にとってそれは とてつもなく 愛しい時間でした