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星野源さん版 I LOVE YOUの訳し方



星野源さん。




・・・好きですよね。そこのあなたも。きっと。



わたしですか?

ええ、もちろん好きです。この尊い名前を口にすると、文字に起こすともう、ムズムズするくらいに好きです。



源さんの肩書きといえば、

俳優、音楽家、歌手、文筆家と多岐にわたり、それぞれの道において眩しいほどの、大スター。


新曲を出せば、CMが流れれば、ドラマが始まれば、SNSが更新されれば。彼の一挙手一投足に目が離せず、溢れてとまらないその才能や魅力に釘付けになる。


活躍は日本にとどまらず、もはや世界規模で、今と未来をつなぐ架け橋であり、希望の象徴のような人だと、勝手ながら思っています。


3歩歩けば彼の熱狂ファンに当たりそうなこの世の中、私なんぞが今さら改まって語ろうなんて、百万年早いことは重々承知の上でどうしても書きたいことがあるんです・・・

どうかどうかお許しください。



まず、このnoteを書くきっかけの話をします。




私は、6月から、コピーライター/作詞家の阿部広太郎さん による、「言葉の企画」の講義に参加しています。様々な課題や企画を通して、素晴らしい企画生の皆さんとともに、「ことば」とひたすら向き合う日々を送っています。


参加するきっかけのひとつとなったのは、阿部さんのご著書

コピーライターじゃなくても知っておきたい 心をつかむ超言葉術」 です。

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この本のはじめに、「I LOVE YOUの訳し方」というお話があります。

アイラブユーを「月が綺麗ですね」と訳したかの有名な夏目漱石の話がありますが、

阿部さんはご自身の生徒にいつも、「今のあなたなら、なんと訳しますか?」と問うのだそう。


“愛している”と、ストレートに言わなくても、
誰かが自分のものさしで訳すたびに浮かぶ、一つひとつの情景と、そこに流れる感情こそが、 I LOVE YOUの持つ本来の力だと知って、

どうしようもなく「ことば」の魅力に惹かれ、ことば沼にどっぷり浸かってみようと、受講を決めました。

(私の周りでもファンの多いこの本、まだの方はぜひ読んでみてくださいね)



「言葉の企画」の講義が始まってからも、「素敵」の言い換え(素敵と言わずに素敵を伝える)や、「ものは言いよう」な表現を探す課題など、日常にころがっているけれど意識していなければ取りこぼしてしまう「ことば」の数々に、気づくためのトレーニングをしています。


(今度、10月28日に、“1day 企画生” という、言葉の企画を体験できるイベントがありますので、ご興味のある方は是非下記をご覧ください。




さてさて、話は星野の源さんに戻りまして。



愛してやまない源さんの曲の推しポイントのひとつに、“歌詞”があるのですが、

この歌詞の中に、「 I LOVE YOU」が訳されている歌詞が、もうめちゃめちゃに潜んでいることに!ふと!気づいたのです・・・!!


と、いうことで、

前置きが長くなったのですが、今回はもう知っている人もほとんどでしょう源さんの曲の歌詞から、「 I LOVE YOU」が訳されているものを幾つか紹介させてください。

もともとファンではありますが、これが書きたくて、10日間くらいずっと、マイSpotifyからは星野源さんしか流れてません。改めて歌詞に注目して読みながら聴いていたので、単純に好きな曲を選ぶより難しく、また新鮮で。もう何曲か、そらで歌えるようになりました・・・笑


※これから述べる解釈はわたしの主観で自由に書いております。



星野源さん版  「I LOVE YOUの訳し方」


君の声を聞かせて 雲をよけ世界照らすような
君の声を聞かせて 遠い所も 雨の中も      
すべては思い通り
by 「SUN」


声を聞かせて欲しくなるのは、
紛れもなく、 好きだから、 ですね。


サビにある印象的なこのフレーズから想像されるのは、


「君」の声を聞けば、どんな場所でも「思い通り」だと思い込むことができる、どんなマイナスな状況も楽しく変換できて、いわばマリオのスター並みに無敵で居られる、主人公の心情。

だって、雲をよけ世界照らしちゃうんですよ。凄い。


恋をして、人を好きになって、世界の色が変わる瞬間を描いている歌詞だと思います。



あなたは 何処でも行ける
あなたは 何にでもなれる
by「Family Song」


こちらは「過保護のカホコ」というドラマの主題歌でもあったので、 歌詞が意味する先には恋愛だけでなく、家族愛も含まれていると想像します。


私は初めて聴いたとき、“親” からの無償の愛、を感じたのを覚えています。
親だけじゃないですね、恩師とか、師匠とか、育ててくれた人からの愛。


なろうと思えば、何にでもなれる。心配ながらも、我が子(教え子)の目の前に広がる可能性を、
どこまでも信じて、背中を押す、愛。


簡単に揺らぐことのない、究極にピュアな I LOVE YOUを感じた歌です。



胸の中にあるもの いつか見えなくなるもの
それは側にいること いつも思い出して
君の中にあるもの 距離の中にある鼓動
恋をしたの貴方の 指の混ざり 頬の香り
夫婦を越えてゆけ

恋せずにいられないな 似た顔も虚構にも
愛が生まれるのは 一人から
by 「恋」


星野源さんの歌のなかでも、きっとピカイチ有名であろうこの歌。



「逃げ恥」も「恋ダンス」も好きですし、この曲を盛り上げたコンテンツであることは間違いないと思うのですが、
「恋」は繰り返し聴けば聴くほどに、その歌詞こそが底知れぬ魅力だと思うのです。



引用したなかでもとくに、「恋をしたの貴方の 指の混ざり 頬の香り」のところ。


テンポよく韻も踏んでいるこのフレーズ、凄まじいんですよね。
目線、瞳の色、鼻筋、えくぼ、笑ったときの目の皺。そう、好きな人の表情を思い出す時の表現は、様々あると思うんですが、

“指の混ざり” “頬の香り” って、なかなか、ない。聞いたことがない。でも、言われてはじめて、ハッとする。

指の混ざる様子や頬の香りがわかってしまうくらいに、「恋をした貴方」の姿を、具に、まじまじと見つめて記憶して、目に焼き付けている様子が、この2つのことばだけで伝わるんです。

まさに言わずともI LOVE YOUな、温度を感じるこのことばが、かなわないなあと思わされ、多分わたしの人生で好きなフレーズのトップ5には入ります。



何処までも 何処までも つづく旅の隅で
何時までも 何時までも 君のことで笑う
by「Friend Ship」


この曲は私の理解だと、好きな人と結局結ばれないまま、離れ離れになり別々の道を歩いていくという歌詞なのですが、
そんな境遇でも主人公は、何時までも「君のことで笑う」んです。

一緒にいる未来が叶わなくても、いつだって好きな「君のこと」を想うときは楽しかった日々が真っ先に思い出されて、
つづく人生のどこかでまた道が交わり、笑い合えるかもしれないと、ほのかに淡い期待を抱いて。


友達以上恋人未満だったふたりが、笑いながら手を振り別れる様子を想像して、

結局伝えることのできなかった密やかな「 I LOVE YOU」は、きっと世界中に溢れているんだろうなと、

勝手にどうしようもなく切なさを感じた歌です。



夢を見た日の寝起きの顔
ぶちゃむくれているけれど好きなの
ファンデーションより すごいまつげより
グーグーグーグーグーグーグー
寝た後の顔がいい
by「グー」


着飾った姿より、正装より、
ぶちゃむくれていたとしても“自分しか知らない” 相手の素顔が愛おしいことを伝える、猛烈ストレートな描写。
ファンデーションもすこいまつげも、きっと大事だし、褒めてもらいたいだろうなとは思うものの。笑


オンよりオフの相手が好きなのは、関係性が「恋」から「愛」にアップデートしているのかなと、想像しました。




実は曲自体はこの2倍ぐらいピックアップしてあるのですが、キリがないので最後、番外編です。



愛してるよ君を 探してるよ君を
他人のようで違う 2人の折り合いを
by 「折り合い」


こちらは今年の緊急事態宣言中に、源さんが1から作った歌だそう。



 I LOVE YOUを表す「愛してる」がそのまま入っているので番外編にしましたが、
注目すべきは、この「愛してる」という動詞が、「2人の折り合い」にも、かかっているということ。


折り合い、をあらためて調べたら、

①うまくいくかどうかという観点から見た、人間関係の良さ悪さ 
②妥協


とありました。



パートナーとうまくいっているときや、パートナーの好きなところ、相性のいいところだけじゃなくて、

うまくいかないときや、そりが合わないところも、お互いに折れたり譲り合ったりりしながら、そんな折り合いを丸ごと「愛してる」ということ。


折り合い、ということばの響きが、凄くしっくりきて、あー、いいなあ、と思ったんです。


前述の「恋」の歌詞でも引用した、

「恋せずにいられないな 似た顔も虚構にも 愛が生まれるのは 一人から」 にもある通り、


表面に見える良いところだけでなく、
本当はかっこ悪くて見せたくない部分や、ついたりつかれりする嘘、期待や妄想、


ふたりの関係を取り巻くすべて受け入れて、納得して、
最後は “自分で”「愛する」「信じる」と決める、意思や覚悟のようなものが、

星野源さんの I LOVE YOUの訳し方に、込められているような気がしました。



以前、「アイデア」という曲(これも名曲です)の歌詞に関する、Apple Musicのインタビューで、


「圧縮して届けて、聴いた人の中で咲くような、そういう歌詞がとても好きで(中略)

説明文と詞は全然違うので、自分の書くものは、なるべく詞(でありたい)」


という源さんのことばがありました。



心のうちすべてを歌詞で説明してしまうのではなく、


想像の余白とともに届けて、聴き手のなかでそれぞれの「 I LOVE YOU」が咲く、
そんな訳し方もあるのだなあと知りました。



歌詞で興味を持ってくださった方は
是非下のリンクから改めて聴いていただけたら、
1ファンとしてとっても、嬉しいです。









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