アメリカで初めてできた友達
【あやかんジャーナル2】
私が暮らすことになったシェアハウスには、ハウスメイトが一人いて、その子の名前は、ジョアンヌっていうんです。ジョアンヌはアフリカ系で、小柄で、聡明そうな顔つきの子で、私と同じ1年生。私より3日間早く、ニューパルツに着いた。お互いニューパルツのことも、これから始まる大学のことも、まだよく知らないから、これから一緒に協力しあって仲良くしていこうねって、話したんだよ。ちなみに、大学1年生は英語ではフレッシュマン(freshman)といいます。よく日本で新入社員のことをフレッシャーズなんて言うけれど、あれは完全に間違いですからね! アメリカではくれぐれも言わないように。
アメリカにはちゃんとした「入学式」というものはないんだ。新入生を大きめのホールに集めて簡単なオリエンテーションをやるだけなんだけど、そのオリエンテーションも、厳密には新入生じゃない人が混ざっていたり、新入生なのに出席しなかったりする人もいます。このアバウトさが、いかにもアメリカなのかな?
それが終わったら、もういきなり授業登録をして、ブックストアに並んで教科書を買って、そして自分が組んだスケジュール通りの教室に行って授業を受ける。私の専攻(メジャー)はコンピュータ・サイエンスなので、だいたい2つくらいの校舎を行き来することになりそうです。
アメリカの大学は、秋学期と春学期と夏学期という3つに区切られていて、8月の終わりから始まるのは秋学期。秋学期はクリスマスまで続きます。
初めてのことばかりで緊張したけれど、気づけばすっかり大学にも慣れていて、秋学期も2週間くらい過ぎた頃から、友達もできてきた。ハウスメイトのジョアンヌとは、ほぼ毎日一緒にカフェテリアでお昼食べていて、すっかり友達になりました。もともと私は友達つくるのは得意な方なんだけど、それでもハウスメイトが同じ女子で良かったなと思うよ。色んな話ができるしね。
ジョアンヌはとても賢い子で、勉強もよくできるけれど、政治のこととか、地球環境のことにも詳しくて、しかもヴィーガンになることでそれを実践しているという、いわゆる「意識高い系」なんです。私の周りには、そういう子、意外と多いから、アメリカにもいたか!って感じです。前回の投稿で、私は東京都世田谷区出身だと書いたけれど、私が通っていた高校は中高一貫教育の私立で、偏差値も高くて、まぁ名門校と言われるところだったから、クラスにも「意識高い系」の子たちはそれなりにいた。だけど、クラスメートの子たちと、ジョアンヌが決定的に違うのは、すばり、髪型! ジョアンヌは髪の根元から完璧なブレイズヘアにしていて、ちょっと近づきがたいような印象さえある。
でも、ジョアンヌはとてもフレンドリーで、私にブレイズヘアとドレッドヘアとコーンロウの違いを教えてくれました。聡明なジョアンヌらしく、何度も丁寧に説明してくれたんだけど、結局私には、どれもめちゃくちゃ痛そうで、どれもめっちゃ頭皮を傷つけそうだな、ってことしか理解できなかったです。
ジョアンヌいわく、アフリカ系の子の間では、さらさらストレートに縮毛矯正する子もけっこういるそうだけど、そういうのは「白人の真似」しているみたいで嫌なんだそう。アフリカ系の人の髪質は、もともと縮れているもので、その縮れをうまく生かしたのが、コーンロウやドレッドヘアや、ブレイズヘアなんだそうです。それをさらさらストレートなんて、まるで自分たちのアイデンティティを否定するみたいで嫌だと、聞かされた時は、私はなんだか感動してしまいました。
髪型はともかく、ジョアンヌはとても真面目な子で、授業の予習・復習を毎日完璧にやるだけじゃなくて、ドラッグをやらないんです。ドラッグだけじゃなくて、カフェインも摂らないし、体に悪いからってコーラも飲みません。ヴィーガンだからハンバーガーもホットドッグも食べません。アメリにこんな子いたんだ!と驚きました。
こんなふうに書くと偏見に思われそうだけど、私、アメリカの大学生は、ほとんどみんなマリファナをやっているのかと思ってました。ずっとアメリカに憧れていたので、ネットフリックスでたくさん映画を観てきました。私と同世代の高校生が中心の作品は、特にたくさん見るようにしてきたけれど、そこでドラッグが登場しなかったことがない。高校生でも普通に、パーティーでマリファナ吸ったりしているのを見て、正直、ドン引きしていた。私はドラッグをカッコいいとは思えないタイプなんです。だから留学して、私もあんなふうにマリファナを勧められたら断れなくなるのかな、とか、ちょっと不安でした。だからジョアンヌがドラッグはおろか、カフェインを気にしてコーヒーさえ飲まないと知って、それはそれで驚きながらも、内心はほっとしています。