見出し画像

生き方の設計

前回の投稿で、自分なりに建築設計の仕事って本当に楽しいし素晴らしい仕事だってことを書いてみた。私は今37歳になるまで、悩んだ時も挫折しそうな時もあったけれど、結局ずっと、建築は世界一すばらしい仕事だと、自分で信じて判断し、続けてきたのだと思う。

初めてその土地に行ったときの感動、ここにどんな日々が生まれていくのだろうっていう想像、沢山のコラボレーターの人達と「場所」を作っていく醍醐味、初めて建築が形になった時の興奮、木や土の香りがして、風が通って、光がさして、みんなが笑って、、、

一つ一つの瞬間に感動があって、
もちろん私達設計者にとっても、ものづくりの感動だったり、
職人さん達が、技術を継承していける場所であったり、
そこに住む人にとっても、嬉しい時も苦しい時も日常として包んでいく空間であったり、
ひとつのプロジェクトに本当に沢山の想いがつまっている。
それを作り出すために、何が本質かを見極めて伝えて表現するために、最大のクリエイティブで全力を尽くす。

前回の記事https://note.com/ayakakojima/n/n8ac268dbf166


今回11月19日(日)に会社説明会を行うと決めて、今の私たちってどんな集団なんだろうと振り返ってみた。まずは先月アーキテクチャフォトジョブボードに採用の掲載をして、今まで通り最近の建築の竣工写真や、設計の規模や用途、募集要項を載せた。
他の設計会社もそうしてたし、どんな設計をしているかが、その設計会社のアイデンティティになると思っていた。

小大のHPやインスタを見てくれたことがある人なら感じられると思うのだけど、どのプロジェクトも設計のアウトプットや写真は一つ一つ、チームの皆が全力を尽くしてつくっていることもあって、とても美しく深みのあるプロジェクトだらけだと自負している。

https://ichijo-toma.jp/

ただ一方、募集掲載や、HP等、会社自体を振り返った時に、果たしてこのアウトプットの仕方で、私たちの顔は見えているのだろうかと疑問に思った。

プロジェクトチーム20名位で敷地の川に裸足で入って足裏が強烈に痛いまま、建築の立つ場所を考えながら数時間、川を登ったことや、職人さんとサンプルを何十個も作って比べたことや、泥水からドロドロになりながら照明器具を作ったこととかも、、、美しい竣工写真の裏には数えきれないほどの人間臭さが存在する。

水の音を感じながら、どんどん登っていく

私はそんな出来上がるまでのプロセスが大好きで、人の想いや行動がその地の自然とあいまって素晴らしいものが出来ていくと信じている。

社内のメンバー現在29名はそんなプロセスを人生かけてやっていくのには、最高のメンバーだし、今一緒にお仕事させてもらっている事業者さんも最高なクリエイティブな方達ばかり。また個人の住宅のお客様も、逆に私達が刺激をうける素晴らしい方達ばかりで一生付き合っていきたいと思える方達だ。 



8年前創業当時、創業メンバーの小嶋と北上と私の数人のメンバーは、ただただ建築設計の依頼を受けて設計ができることに喜びを感じていた。5年前の展示をまとめてもらった記事だが、どのプロジェクトも感慨深い。


ただ、建築の責任の重さ(いのちを預かる建築、億単位のお金を動かす重み、数年間に渡る長期の仕事)と、デザインに追求に追求を重ねるという姿勢から、私たちはほとんどの時間を設計につぎ込み、睡眠時間を削り、健康で無い時や、大きな問題を抱えている時も多々あった。

全てが初めてだった上海での初めてのオフィス


いままでアトリエの建築業界の習わしでは、若いうちは修行のように学ぶのが当たり前で、同業者の話を聞いても、忙しいとか、予算がないとか、作りたいような設計できないとか、お客さんと問題があったとかそんな話ばかりだったので、私たちもその中では何とか上手くやっている方だと思っていた。

大学に教えに行っても、目を輝かせている建築学生は2割程で、大半は将来に不安を感じ、大手の会社に就職希望する人が多いと聞く。


改めて考え直してみると、もっと現場にいる私たちが、どう働いているのか、どんな仲間がいるのか、建築にどんなやりがいがあるのか、大きな声で伝えていく必要があると感じた。
小大では今年30人規模になり、まず自分達が、仕事の仕方=生き方の設計ができてるか考え直した。今はこの3つの軸を大切にしている。

1.身体的健康

まず瞬間や感動を味わえる感性、ディテールに目がいく余白、お客様の家族の生活を1番理解しようとして、1番想像して表現できるか、それはやはり1番に、健康を基本として備えていないとそんな五感で感じる感性は生まれない。

私たちは、インフラの土台となる身体作りを心がけるために、週2回「しのさんの手作りランチ」を全社員で囲んで食べている。忙しくても、しのさんが「ごはんできたよー」と言うとみんな手をとめて、一斉に集まってくる。

東京事務所15名の手作りランチ
割烹着でご飯を作るしのさん

しのさんを少し紹介すると、社内では最年長の50代だが、心は一番若く、毎週末サーフィンをしながら、会社では経理、労務、人事をこなす明るいスーパーウーマン。ひとりひとりの身体に合わせて量を調整してくれたり、タンパク質や野菜のバランスを見てくれたり、みんなのお母さん

東京では週2回だが、上海ではなんと毎日ランチは会社支給!

また食事の他に、帰宅時間を早めてしっかり睡眠を取ることも推奨している。以前は創業当時のように深夜まで仕事をしてしまう時もあったが、現在は6時に帰る人もいれば8時頃に帰る人もいて、どれだけ遅くても22時には退社することを決めている。その人のライフステージに合った働き方、担当の仕事を相談して決めるようにしている。

2.社会的健康

身体に加えてとても大切なのが、人間関係の構築。
日常的には社内ランチで仕事以外の他愛もない話をしたり、新入社員が入ったらまず初日はランチに連れ出す。

石川(左)は会社で1番の盛り上げ隊長
泰川(右)は、多分日本一無垢で優しい設計者


一畳十間メンバーで、豊かな暮らしの定義、日本に必要な本質を
辨野(右)の超美味しいポルトガル料理を食べながら考える


また仕事面では月2回の社員全員が対面で集まる設計定例を設け、それぞれが自分の担当案件の魅力、失敗、改善策などを共有したり、スキルアップの仕組みづくりや研修をすることで、他のメンバーの状況も把握してみんなを気にかける体制作りをしている。


住宅の自然光の入り方を覗き込んで検証する (中村)


他にも会社の未来のことをみんなで決める未来会議をしていて、これにかなりの時間を割いている。どんな組織カルチャーにしたいか、それぞれのやりたいことと仕事の関係性や、各部門の目標をみんなで意見を出し合い判断し、遂行していく。

私たちが考える組織というのは、立場が上とか下とかではなく、役割をそれぞれ皆が担っていて、プロジェクトの成功を最大限にもっていくための損択無しのチームだと考えている。だからこそ一人ひとりの意見を求めるし、フラットに議論することをとても重要視している。


3.自分の生き方の設計

基本私は、会社のためとか何かのためとかではなく、みんな一人ひとりが自分の人生を生きることに1番価値があると思っていて、それが最高のアウトプットを設計にも、もたらすと考えている。

やらなきゃ、HAVE TO DOではなくて、一人ひとりが「やりたい」かどうかを判断軸とする。「プロジェクトを担当できる?」と上司が聞くのではなく、「やってみたい?」と聞く。
やりたいことだったら、ワクワクしてどんどん探究して可能性が広がっていくし、やりたくても能力的に不安がある場合は、やれる方法をなんとかみんなで絞り出して挑戦していく。一度決めたらコミットし、みんなで協力して、各役割でサポートし合う。

やらないというのも、もちろん一つの判断で、今は大切なことがその案件ではなく家族と過ごす時間だったり旅行や勉強の時間だったらみんなで理解して尊重して応援する。

他にも、何がやりたいか考えて言語化するための面談を最低半年に1回設けている。みんな関係性が近いので普段も伝え合ってはいるが、面談では深堀してやりたいことを具体的にどう実現していくか、どうしたらパワーアップできるか、短期や長期的に何を目標とするか話して決める。

仕事をする時間が1日の大半を占めるし、20代も30代もあっという間に過ぎ去る貴重な時。時間というのは「いのち」だから、どう生きたいか設計して、その瞬間を大切にしていくことがとても大事。


私たちがやりたい瀬戸内での新規事業



こんな3つの軸を1番大事にしながら、やりたいことのレベルアップ、時間を捻出するためにも、最近では社内の意匠設計の仕組み作りに集中したり、外部リソースも最大限とりいれて枠組みを広げていっている。

冒頭でも書いた通り、若いうちは修行のように学ぶのが当たり前で、設計に必要とされる知識は膨大だ。一級建築士を取得したとしても、法規、構造、設備、意匠と学んでいくことが永遠とある。意匠に関しても初めからセンスがあったらできる訳ではなく、働き初めのころは、何を基準として意匠を検討したら、お客様が求めているものを提案でき、かつ社会にも役立つものができるかわからない。一人ひとりの力量で同僚から学んでいくこともできるかもしれないが、小大では仕組みを工夫して作って学べるようにしている。

例えばプレゼンテーションシートの作り方。小大では感覚的なプレゼンテーションではなくて、考えられる可能性を全て分析し理論立てて、この理由でこれが良い、という作り方をする。
フォーマットを作っているだけでなく、そこに何をどの順番でどの見せ方で表現したら最大限伝わるか、相手をどこまで配慮したらよいかの研修資料を細かく作っている。

他にも業務フェーズごとの、検討していくリスト、注意する点など蓄積していき、研修レベルの向上とミスを減らすリスクヘッジをしている。


その他にも、素材の研究会や、法規の研修レクチャーを月1回設定して、社員全員の知識レベルをあげていったり、各プロジェクトに寄るが、CADの専門、模型の専門と外部コラボレーターの方とも協同して、プロジェクトを遂行している。

栗の木をなぐらせてもらった名栗の体験会 (小川)



組織改革

小大は、今まさに、大きな組織改革、新たな挑戦の渦中。
ワクワクするような設計中のプロジェクトが沢山あるし、社内企画の新規事業の話も出たり、私自身もこれから3年以内位にダイナミックに変化していく実感がある。他にもやりたいこともまだまだあり、このメンバーでやっていけることがとても楽しみなのはもちろん、共感して来て頂ける新しいメンバーもとても楽しみにしている。


会社説明会 2023年11月19日(日)

下記会社説明会の概要となります。
採用掲載内容からだけでは伝えられない、小大メンバーの人間味、建築への情熱、一畳十間を生み出したきっかけなど、小大のリアルを伝えたくこの説明会の開催を決めました。

小大の採用に興味をお持ちの方はもちろん、採用以外の今の小大の事業や一畳十間、組織カルチャー、建築業界での働き方に関心のある方にもぜひご参加いただきたいイベントです。私たちの想いをありのままにお届けし、良き出会いのきっかけとできましたら幸いです。

会社説明会ではこんな内容をお話します。
1)代表小嶋伸也・綾香による「小大の建築・組織カルチャー

  • 創業9年目、魅力あるプロジェクトが沢山。どんなプロジェクト?どう建築を考えてる?

  • 一畳十間を生み出したきっかけ、描く未来とは?

  • 社員が30人規模になり、組織カルチャーができてきた。大切にしている軸は?どんな仲間?週2回ランチや、未来会議、組織にかける想いとは? 

  • どんな人を募集している?

2)小大・一畳十間メンバーによる職種紹介
現在募集している職種について、仕事内容やメンバーのリアルな声をお伝えいたします。

  • 小大設計スタッフ (入社6年目 泰川)

  • 一畳十間設計・企画運営スタッフ (入社5年目 石川)

3)メンバーと直接話せる交流会・会社ツアー

【概要】
日程 :2023年11月19日(日)
時間 :12:00 – 14:00(11:45開場)
会場 :〒152-0035 東京都目黒区自由が丘3丁目14−8
最寄駅:自由が丘駅
参加費:無料、申込は必要ありません。
オンライン:https://meet.google.com/bxq-catw-yex

是非皆さまお越しください。
色々な方とお話しできるのを楽しみにしています!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?