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#4 正夢

【#4 正夢】

私が小学6年生の頃。
何度も見る夢がありました。

学校からの帰り道。
いつも帰る子とは違う子と歩いている。
私の知らない年下の女の子。

『お姉ちゃんができたみたいで嬉しい!』
その子が笑って私に話しかけます。

『私もお姉ちゃんになれたら嬉しいな!』
と私も楽しそうに話しています。

真っ直ぐな道を2人で歩いていると‥
突然前から黒い大きな物が現れ
そこでいつも目が覚めるのです。

黒い大きなものの正体はわかりませんが
覚えているのは
得体の知れない恐怖感でした。

その日も
同じ夢を見て目が覚めました。

学校生活はいつも通りで
あっという間に時間は進んでいきました。

放課後。
いつも一緒に帰る子に声をかけると

『ごめんね、今日は一緒に帰れないの』
そう言われました。
『大丈夫だよ、また明日ね!』
『バイバイ!』

私は1人で帰ることになりました。
校門の側に行くと
同級生の男の子が小さな女の子と一緒にいます。

『どうしたの?』
と私がその男の子に声を掛けると

『俺、みんなとサッカーしたいのに妹が一緒に帰ろうってしつこくて‥』
『それなら、私と途中まで一緒に帰る?』

私が話しかけると
妹ちゃんは小さく頷きました。

『サンキュー!』
男の子は意気揚々とグラウンドに走って行きました。

妹ちゃんと2人で帰ることになり
色んな話をしました。

たまたま好きなキャラクターが一緒で
私の持っていた下敷きを見ながら
2人でケラケラ笑っていると‥

『お姉ちゃんができたみたいで嬉しい!』
『私も、〇〇ちゃんのお姉ちゃんになれたら嬉しいな!』

‥‥‥‥あれ?
これ、どこかで見たことがある。

そう。
何度も見たあの夢とそっくりだったんです。

そして
隣にいる妹ちゃんも
夢に出てきた小さな女の子でした。

突然私は怖くなりました。

あの夢の通りだと、この後黒い物が出てきて
その先に恐怖が待っているからです。

そこで私は
『ねえ‥お家の前まで送ってあげるよ!』

そう。
私は‥帰る道を変えました。

『いいの?』
『うん、もっと話したいから!』

そのまま
妹ちゃんをマンションの前まで送り届け
私はいつもと違う道で家に帰りました。

家に着いて、何も起こらなかった事に安心し
私の1日は終わりました。

次の日。

『昨日、不審者の目撃情報がありました。』
先生がそう言った瞬間
私は胸騒ぎがしました。

昨日の放課後。
生徒たちが帰る通学路に
全身真っ黒なコートを着た男性が
女の子を狙い
自分の裸を見せて歩いた、と言うのです。
 
そして
その目撃情報があった場所は
私が道を変えなかったら
通っていた場所でした。

 

正夢というのは
夢に見たものが現実に起こることですが
私は、回避することができました。

何度も見るリアルな夢は予知夢になることを大人になってから知りました。

もしあの時
道を変えないで真っ直ぐ進んでいたら‥

そう考えると
あの正夢は、予知夢に近いものだったと
そう思ってしまうのです‥。

次の話(#5 私らしさ)は
嘘のような本当の話。
全力で働くことは、誰かの為になる。
それを実感させてもらった体験です。

最後までお付き合い
ありがとうございました。

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