朝のマール物語☀️*
朝の町はとてもきれいだった
流れていく空と雲との空間が
ちょっとおかしく見えて
変な感じだったのです
淡いもやのベールがかかっているようでした
わたしはここに物語のはじまりを感じました
起きるのがしんどい朝も
この景色を見るためなら起きてもいいと思えそうだと思いました
日が昇るのが惜しい
この素敵さは今きっと私にしかわかってない
そう思ってしまう心を許してください
マールは朝のガタンゴトンに揺られながら
そんなことを考えてワクワクしていました
陽の光を浴びるコンクリートや葉っぱさえ
私にはまるで宝石のように煌めいて見えるのでした
いつも見ているはずなのに不思議だわ
マールはこれから行く先で起こることよりも
今流れるこの時間の方がよっぽど面白いわ
と思っていました
電車は動いて止まってを繰り返して
人を乗せ人を吐き出しを繰り返します
あの人は今日お仕事なのかしら
あら、お友達でどこかへ行くのね
あの人も私と同じでひとりだわ
電車の中もいろんな煌めきに満ちているようでした
これは朝だからそう感じるのかも
お昼だときっと違うわ
マールの心の独り言は止まりません
彼女の中で物語が始まってしまっているのです
もう誰にもとめることはできないのです
つづく
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