車椅子バスケとの出会い
車椅子バスケの事を知らなかった訳では無い。数年に一度しかたまたま会わない知り合いに日本人女性選手がいたので、何度か耳にしてた競技ではあった。
半年前から急に地獄な生活に突き落とされていた中、どうにかしなきゃと言う所にまで自分を持って来てた2017年の12月、日本人選手がケルンに4人もいるらしい。車で1時間半ちょっとの所のチームに凄い日本人選手がいるらしい。その2チームの対戦があるらしいと聞いた。ふと、その試合を観に行こうと思った。
大雪の中、1時間半が3時間越えになっていたが、ケルンのチームも大雪で遅刻となって、試合開始30分くらいにようやくRSV Lahn-Dillのホームに到着。
体育館に入った瞬間、物凄い歓声と物凄いスピードのパンチを喰らった。車椅子バスケを初めて観る時あるあるですが、秒で「凄いスポーツだ!」と思った。スピード、迫力、バンバン決まるポイント。観ている自分が物凄くエンターテインされていた。よくよく見たら、コートでめちゃくちゃ格好良いプレイを見せてくれてる選手の中に、小柄な選手、足が一本しかない、足が両方ほぼない、足が細い、背中がボコってなってる、色々な選手がいた。でも、だからって不器用にも見えず、めちゃくちゃ堂々としてて、アスリートにしか見えなくて、カッコイイとしか思え無かった。
試合中、選手が車椅子ごと転んでは、自力で立ち上がり、車椅子バスケ初心者で、サッカーしか生観戦した事無かった私にも、すぐに多少の戦術が見えたりして、わかりやすく、スーーっと体に染み込んで来た。ある時には、ケルン側の大きなドイツ人選手のタイヤがパンクしてしまい、その選手が立ち上がり、普通に歩いてコートから下りていったシーンもあり、障害なんだろう…と不思議だったのも覚えている。
障害者スポーツと言う感覚で観に来たけど、これはスポーツ。選手はアスリート。きっと、色々な背景でハンデや偏見と向き合うこともあっただろうけど、こんなに格好良いと思うのは、この堂々としている姿にあるんだろうな。できる事にしっかり目を向けている感。それが、正解だな。私もそうしよう!
地獄から抜けなきゃと言う思いを持ちつつ、堂々と受け入れれない、離せない、戦わなきゃダメなんだ、我慢するしかないのかも、という状況にいた自分に衝撃的な教えだった。悲しい事、嫌な事、酷い事に目を向けてたり、正義を求めてイガイガしてても人生勿体ないよー。楽しい事に目を向けろ!というキラキラビームを喰らったのだった。
試合後、香西選手、篠田選手、豊島選手、村上選手、網本選手と少しだけお話もできたけど、多分あの日、普通に試合を楽しんでくれたドイツに住んでる日本人としか思われなかっただろうな…、私も想像付かなかったけどね。
帰りの車の中でも、感じた衝撃が消えず、そこからYoutubeなどでガンガン車椅子バスケの動画を観まくりました。あまり物を覚えるのが得意じゃないのに、車椅子バスケの為には脳内のキャパがあった。
今思えば、この日が私の今に無くてはならない運命的な転機となった日だったと思う。
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