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小説:雑食女子が走るP3「脱出17」

「次のデート、一寸変わった所にしたい…」
私はそう隼人に提案した。
「か、変わった所?」
隼人は早くも警戒する。
今まで、どれだけ振り回されてきたか。
どれだけ泣かされてきたか。
分かっている。
でもね、
それが君の宿命…

「図書館、しかも公立図書館、更に、地下階ね…」
私はそう宣言した。
「へっ」
隼人は驚く。
何処か、超高級なレストランか、もしくは月旅行位を要求されると思っていたようだ。
意外に地味…
そう思ったか。
「でもね、地下階は大人しか入れないの」
私はそう残酷に告げる。
「お、大人って?」
隼人は訝る。
そうなのだ。
何故、茜はそこに出入り出来たのか?

天邪鬼な彼女。
素直にパパやママに頼んだとは思えない。
それも疑問の一つ。

「そう、地下階には危険な書籍がびっしり詰まっていて、子供の出入りを禁止しているのよ」
私はそう告げる。
「き、危険?」
隼人は早くも、尻込みしている。
「そう、とっても危険らしいわ、SEXの具体的な方法とか…」
私はそう刺激する。
「せ、SEX…」
隼人の声が裏返る。
パートナー制度。
その終局のゴールがSEXにあることは知っているはず。
が、
それを経験できるはずもない。
淫らな男女の交際は禁じられている。
あくまでも、パートナー制度に準じた行為が許可されているだけなのだ。

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