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小説:雑食女子が走るP3「脱出42」

夢だ。

目が覚め、全身が汗でびっしょり濡れていることに気が付く。
又か…
この半年、しばしば現れる夢。
ジムオタクの茜とは大違いで、私は、全く運動をしない。
精悍?な風貌故に、
あるいは、色の濃い肌故に、
運動神経が抜群と思われるのだが、
それは大いなる誤解である。

街では殆ど、エアタクシーを使う。
通学はもちろんだし、何処に行くにも、徒歩など論外の選択肢。

だからなのか?
あるいは、何かの啓示?
気になっていた。
で、
大親友の、
否、
だった?
茜に、
数週間前に聞いてみた。
夢の内容とそれを見る深層心理とかを…

普段の運動不足が祟っただけよ!

そう一刀両断されるかと覚悟していたが、茜の反応は意外に真面目だった。
そう、
真剣そのもの。
どうしたの?
こちらが心配になるほど、顔が昏い。

夕も?
茜はそう聞き返した。
えっ!
今度はこちらが驚く番だった。
だから、聞けなかった。
それ以上。


そうだ。
その茜が同じ教室に居る。
試験中。
一生懸命、取り組んでいるはず。
そう思って、ちらっと彼女をわき見した。
が、
違った。
何と、
外を窓越しに、じっと見詰めたまま…
ダメだよ。
それじゃあ、試験に落ちちゃう。
そう内心で叫んだ。

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