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小説:雑食女子が走るP3「脱出49」

次の日も茜は不在、詰まり、欠席だった。

放棄。
受験放棄とでも言える行為。
多分、意識的にしている。
そう理解出来た。
そして、その理由が何であるか?も分かっていた。

脱出。

そうだ。
茜は決意している。
新たな人生、
望むべき冒険、
それが茜の望み。
そして、そうした変化を与えたのは、恋。
否、
出会い。
きっと、心をぎゅっと握って離さない若者と出会った。

そう類推している。
間違いはない。
深夜、試験勉強の合間にマックを覗くと、茜は図書館から地方都市へのルートへと検索範囲を広げていた。
加えて、茜は闇市へも出入りしていた。
もちろん、ネット上の闇市。
殆どが、首都圏では不要な道具、詰まり、ガラクタの山であるのだが、其処に茜はアクセスしていた。

闇市故に、ゴーグルでは操作は出来ない。
更には、首都圏で流通する電子コインも使えない。
使えるのは、あくまでマック上で流通するローカルコイン。
驚くことに、茜は幾ばくかのコインを保有していた。
何故?
その疑問は直ぐに解明された。
ゲームだ。
マック上にアップロードされた幾多のゲームの中には、Eスポーツと称し、個人対抗ゲームが存在する。
もし、それらに勝利すれば、報酬が貰える。
そして、その多くはローカルコイン。
茜が登校拒否したのは、きっとその勝負時間の確保の為…

元々、運動神経は抜群。
その上に、戦術等を練る賢さも十二分に持つ。
あっと言う間に、クイーン、勝利者にのし上がったに違いないのだ。

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