テレビと炊飯器
我が家は2人暮らしなのに、家具家電がめちゃくちゃ多い。
この家に越してきて、夫が最初に買ったのは、オーブンとこたつだ。
わたしに言わせると、まったく計画性のない男である。
そんな大物を最初に設置したものだから、家のなかに秩序などというものはない。
カオスである。
夫は家電が好きなようで、その後もコーヒーマシーンを2台も買ったり、自作パソコンを組み立てたりと大満足のご様子。
さすがに業務用のミートミンサー(肉をミンチにする機械)を買おうとしたときにはNGを出した。
まるでガレージのような秘密基地のような我が家にも、ありそうでないものがある。
それが、テレビと炊飯器なのだ。
これは単純に、夫が日本のテレビ番組を見ても理解できないことと、米を毎日食べるお国柄ではなかっただけなのだけど。
わたしも、未だにテレビ番組の録画方法を知らないくらいテレビにはあまり関心がなかったので、テレビ不要論には賛成だ。
ただ、白米だけは違う。
ここは日本人として断固として譲れない。
炊き立てのご飯は日常の小さなご馳走なのだ。
……と声高に主張しながら、実はまだ炊飯器は我が家にはやってきていない。
炊飯器を選ぶよりも先に、わたしが鍋炊きの白米の美味しさに目覚めてしまったからだ。
鍋炊きは一見手間がかかりそうだけど、浸水の時間が必要なだけで、調理時間は意外と短い。
火にかけている時間は15分ほど。
そしてやっぱり、鍋で炊いたお米は美味しいのだ。
手間暇フィルターがかかっているかもしれないけど、鍋のなかのご飯は輝くほど粒がたっていて、ぷちっと甘くて、ほかに何もいらない。
硬めが好きなわたしは、自分好みに調整できるのもうれしい。
鍋炊飯歴5年、たぶんこれからも更新し続けるだろう。
今のところ、わたしが唯一、夫よりうまく調理できる自信作である。