なんか。
と話し出すのがわたしの口癖だ。
口にするだけじゃなく、LINEなどカジュアルな文章のやりとりでもかなり使っている。
普段からできるだけ使わないようにと心がけてはいるのだけど、長年の癖は手強い。
「なんか禁止令」を発令したのは、この記事でも登場した、わたしのことばの師匠である。
あいまいなことばを言語化してこそ、「書く」と向き合うことなのだという。
それを聞いて、なるほど確かにそうだなと深く納得した。
あれから半年、書きことばでは「なんか」を使わなくなった。
あえて残す場合もあるけど、見つけたらすぐさま他のことばに書き直すようにしている。
しかし、話しことば(やそれに近いメッセージのやりとりなど)は直らない。
というより、書きことばの「なんか」とは、ちょっと役割が違うように思えるのだ。
「なんか今日暑いよね」
こういうときの「なんか」に意味はない。
意味がないから取ってしまうと、
「今日暑いよね」
わたしとしては、なんだか唐突でぶっきらぼうな感じがしてしまうのだ。
「なんか」を枕詞に置くことで、「わたしこれから話しますよ」「ちょっと聞いてほしいんだけどね」と相手に伝えているのかもしれない。
相手の話をさえぎらないように。
気持ちよくキャッチボールができるように。
人とのコミュニケーションが苦手なわたしなりに考えた、相手との緩衝材。
だから、話しことばだけは「なんか」を許容している。