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経営分析の基本 収益性分析について
経営分析を行う上で、収益性分析は企業の財務状況やパフォーマンスを理解するための基本的なステップです。収益性分析には、「資本利益率」「売上高利益率」「資本回転率」といった指標が含まれます。これらを組み合わせて分析することで、企業がどのように資本を活用し、収益を上げているかを評価することができます。
1. 資本利益率(ROE: Return on Equity)
資本利益率は、企業が株主の資本をどれだけ効率的に活用して利益を生み出しているかを測定する指標です。計算式は以下の通りです:
ROE = 当期純利益 ÷ 自己資本 × 100(%)
• 意味:株主からの出資(自己資本)に対して、どれだけの利益を上げたかを示します。
• 目標値:一般的に10%以上が望ましいとされますが、業界ごとに異なります。
• 活用例:ROEが高ければ高いほど、株主価値を効率的に増加させていると判断されます。
2. 売上高利益率(Profit Margin on Sales)
売上高利益率は、企業が売上高に対してどれだけの利益を確保しているかを示します。計算式は以下の通りです:
売上高利益率 = 当期純利益 ÷ 売上高 × 100(%)
• 意味:収益性の基本指標であり、売上がどれだけ利益に貢献しているかを評価します。
• 目標値:業種や市場状況に依存しますが、競合他社と比較することで強みや弱みを把握できます。
• 改善のポイント:原価の削減や営業効率の向上などが、売上高利益率の改善につながります。
3. 資本回転率(Capital Turnover)
資本回転率は、企業が保有する資本をどれだけ効率的に回転させて売上を上げているかを示す指標です。計算式は以下の通りです:
資本回転率 = 売上高 ÷ 自己資本
• 意味:企業の資本を用いて、どれだけの売上を生み出したかを示します。
• 活用例:資本回転率が高いほど、効率的な資本活用ができていることを意味します。ただし、回転率が極端に高い場合、過剰なリスクを取っている可能性もあります。
• 注意点:自己資本比率が低すぎる企業の場合、財務リスクが増大するため、総合的なバランスが重要です。
4. 3つの指標を組み合わせた分析:デュポンシステム
これら3つの指標を統合的に活用する方法として、「デュポンシステム」があります。デュポンシステムでは、ROEを以下のように分解して分析します:
ROE = 売上高利益率 × 資本回転率
さらに、
ROE = (当期純利益 ÷ 売上高) × (売上高 ÷ 自己資本)
これにより、収益性(売上高利益率)と効率性(資本回転率)の両面から、企業のパフォーマンスを評価できます。
実際の活用例
たとえば、A社とB社を比較するとします。
• A社:売上高利益率が高いが、資本回転率が低い
• B社:売上高利益率は低いが、資本回転率が高い
この場合、A社は利益率を強みとする一方、資本効率を改善する余地があります。一方で、B社は効率性が高いものの、利益率向上が課題となります。
最後に
収益性分析は、企業の経営状態を把握するための重要な指標です。ただし、1つの指標に過度に依存せず、複数の視点を組み合わせて総合的に判断することが重要です。また、業種や市場環境を考慮しながら、自社の強みや弱みを明確にすることで、効果的な経営改善策を導き出すことができます。
経営分析を通じて、企業価値を向上させるためのヒントを見つけるキッカケになればと思います。みなさまの会社はいかがでしたか?
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![加藤綾子](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/112641117/profile_07d118575ab9d404fe7293877d4288e7.jpeg?width=600&crop=1:1,smart)