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農家ホームステイ
子育てや教育関係の本を読むと、自然体験の大切さについて説かれているものが多い。
小さいうちはペーパーの勉強よりも、五感を使って豊かな遊びをする方が重要、とよく書かれている。
私もそれについては、全面的に同意する。
スーパーに並べられたきれいな野菜でなく、実際に畑でどんな風に生えてるか見る、触る、匂いをかぐ、かじる。
昆虫や草花も図鑑の写真を見るだけでなく、本物に触れることで、その対象に対する解像度はぐっと上がるだろう。
先に本物をを知ることで、あとで知識として学ぶときにスッと頭に入るだろうし、定着度も異なってくると思う。
リアルな体験なくして知識をつめこむのは、ただのつまらない暗記になってしまう。
正直私は虫が苦手だし、アウトドア派ではないが。
子供ができてからは、なるべく積極的に自然遊びや農業体験をする機会をつくっている。
その甲斐あってか、娘たちは昆虫も自然遊びも大好きだ。
普段は都会暮らしなので、自然体験は自ら動かないとなかなかできない。
上の娘が3歳くらいの頃に、農業体験をさせたいと思い、比較的近いエリアで収穫体験をさせてもらえる農家さんを探した。
素敵な農家さんとご縁があり、友達家族を誘って、季節の野菜を収穫して食べるというイベントを何回か企画させてもらった。
広い畑でわいわい子どもたちは遊べて、収穫も楽しいし、採れたて新鮮な野菜は味が濃くて、感動するほど美味しかった。
しかしこれも数回開催すると、内容がややワンパターンになってきたので、もっと多彩なイベントを探すことにした。
生きた鶏をその場で締めて、調理して食べるという、なかなかワイルドなキャンプにも参加したことがある。
これは命をいただくということを、リアルに子どもたちに体験してもらうという目的だ。
ちょっと刺激が強いかなと思ったけど、スーパーで並ぶ、きれいに加工された鶏肉しか知らない子どもには貴重な体験だと思い、参加した。
ちなみに娘は案外普通に見てて、内臓を取り出すお手伝いもしてたが、血が苦手な夫はどこかへ避難していた(笑)
その後私は、もっとどっぷり農家生活につかれる宿泊プランはないかな〜とさらに探した。
Google 検索、インスタや Twitter も使い、
子ども、子連れ、農業体験、農家民泊
などなど、いろんなキーワードで検索した。
そして、ついに理想の農家さんを見つけた。
うちの子ども達と同い年ぐらいのお子さんがいる農家さんで、都市から地方に移住した比較的若いご夫婦。
宿泊料金に追加料金を出せば、農業以外にも季節のイベントなどいろんな体験ができる。
またお家には暖炉やかまどがあったり、鶏を飼っていたり、昔ながらの生活スタイル。
子ども達はもちろん、私も本物のかまどなんて絵本でしか見たことがないので、日常的にそういうのを使う生活をぜひ体験したいと思った。
HPからコンタクトをとり、早速その農家さんに2泊3日のステイをした。
会ってすぐに子ども達は打ち解けて、楽しそうに遊びだしたので一安心。
子ども同士で仲よく遊んてくれるのが、親としては一番助かる。
ちなみに上の写真は、物置小屋にお父さんが作ったボルダリングコーナーだ。
朝起きると子ども達はニワトリ小屋で産みたての卵を拾ってきて、それを朝ごはんで食べるのっていうのも、なんだか昔話みたいで新鮮に感じた。
見つけた卵を小さな手でそっと包んで、「ちょっぴりあったかいや」と不思議そうな顔の子どもを見て、ここに来れてよかったなと思った。
秋だったので、栗を拾って栗きんとん作りをしたり、バーベキューをした。
自分たちで裏山へ木の枝をひろいに行って、お父さんにそれを削ってもらい、棒をつくる。
それにハンバーグのタネをつけて焼く、串刺しハンバーグがここの名物だ。
炭火で焼いた、この串刺しハンバーグがまた絶品で。肉汁がしたたり、本当にジューシー!
そこらへんのレストランで食べる、ブランド牛を使った高級ハンバーグよりよっぽど美味しい。
また、かまどで炊いたご飯もとっても美味しくて、子ども達はびっくりするくらい何回もおかわりしていた。
農家さんのおうちの一部屋に泊めてもらうので、子ども部屋におもちゃがたくさんあって、室内でも子ども達が退屈しないのも良かった。
家の外には天然の砂場まである。
しかも、近所で廃校になった小学校からもらった本が、家の本棚にも外の小屋にもたくさんあって。
読書好きの長女は目をキラキラさせて、家のあちこちで夢中で本を読んでいた。
私も子ども達も、この農家さんがとても気に入ったので、その後も数回訪れた。
ちなみにうちの夫は睡眠に繊細な人で、ホテルでもなかなか眠れないタイプなので、こういう時はお留守番だ。
彼も貴重なひとり時間ができて、野球観戦やら飲み会やらと息抜きしてるようなので、これで我が家はうまくまわっている。
冬にこの農家さんを再訪した時は、餅つきや五平餅づくりをした。
また、お父さんがとても器用な方で。
新しくピザ窯を自分で作ったということで、それでピザを焼いてもらったこともある。
1枚ごとに違う味のピザをどんどん焼いてくれるので、ついつい食べすぎてしまい、お腹パンパンになってしまった。
あまったピザの生地はパンとして焼かれ、翌朝の食卓で美味しくいただいた。
ここのご夫婦は本当に人柄がよく、素朴でまっすぐで、一日一日をとっても丁寧に生きている。
何回か訪れていると、もう親戚の家に来たみたいな感じでホッとする。
都会の喧騒から離れてここに来ると、別次元の世界に入りこんだような気になるのだ。
普段と時間の流れるスピードが違いすぎて、パラレルワールドに迷い込んだような感じがする。
自然に癒やされ、食べて、動いて、寝る。
生きるって本当はシンプルなことなんだなって、人間としての在り方を思い出させてもらえる場所。
ここでの豊かな思い出が、娘たちの人生を彩る1ページになりますように。