小1からの探究学習〜理想と現実①〜
長女の通う私立小学校では、探究学習に力をいれている。
小学校1年生から本格的に探究学習をやってる学校は全国的にもまだ少ないようで、それが学校の売りでもある。
また、探究学習では保護者ボランティアが子ども達をサポートするシステムがあり、それも比較的珍しいので紹介したいと思う。
プロジェクトvs探究
娘の小学校について詳しく説明すると、算数や国語などの教科学習の他に、「プロジェクト」と「探究」という授業があるのが特徴的だ。
「プロジェクト」と「探究」は混同されがちだが、明確な違いがある。
【プロジェクト】
プロジェクトは、他の学校だと「調べ学習」と呼ばれるものに近い。
クラスをいくつかのグループに分け、それぞれ事前に決められたテーマに沿って、生徒たちが調べて、まとめたものを発表する。
ゴールはだいたい先生が設定していて、あくまで決められた枠の中で、子どもたちがグループ単位で学ぶスタイルだ。
調べる→まとめる→発表する、というプロセスを学ぶことができる。
【探究】
探究は、生徒自身がそれぞれ好きにテーマを決める。
探究と違って個人プレーとなり、何について調べるか、どうやって調べるか、何を発表するかも全て自由だ。
学校側が理想とする生徒のイメージとしては、自分で仮説を立て、調べてるうちに新しい疑問がどんどんわいてきて、試行錯誤しながら進む感じとのこと。
きれいな答えを見つけたり、うまくまとめることがゴールではないので、発表内容が調べた途中経過でもいいと、プロセスを大切にしてるんだそう。
しかし、なんせ探究学習は何もかもが自由すぎるため、低学年の子が難しすぎるテーマを選んでしまい、数学や理科の基礎知識がないために調べたところで理解できない、という問題も当然よく発生する。
探究学習の保護者ボランティア
探究学習は1年生の後半からスタートし、毎週連続した2コマ分の授業時間をかけて進めていく。
だいたい平日午後になるのだが、マンパワーが必要なため、学年ごとに保護者ボランティアが随時募集されている。
私は仕事がある日でも、昼に外来が終わってから駆けつければどうにか間に合うので、8-9割くらいの参加率でボランティアに行っている。
授業参観でも感じたことだが、ここの私立小は教育に関心の高い父親が多くて。
平日午後の探究ボランティアも、男女比半々〜ママやや多めなことが多いが、パパの方が多い時もある。
人数としては、だいたい毎回10人前後が参加している感じだ。
ボランティアでどんな事をするかというと、低学年はそもそも調べ物をするにも、本やウェブサイトの漢字が読めないなど、ちょっとしたところでつまづく。
仮に本の漢字にルビがうってあって、文字としては読めたとしても、難しい単語の意味がわからないと、結局は誰か大人が解釈して伝えてあげる必要がある。
本を読むより分かりやすいと、動画で調べる子も結構いるが。
動画を見てわかった気になっても、いざアウトプットしようと思うと、なかなか書き出せなかったり、うまくまとめられなかったりすることも多い。
また、実際に私が経験した事例としては…
ある物の材料を調べたい生徒がいて、先生に「iPadで調べても出てこない〜」と言っていた。
先生は「◯◯、スペース、材料」と入力したらいいよ!と声をかけてから、他の子の対応をしていたのだが。
5分くらい経ってから、その子がやはり見つからないと言う。
私がタブレットをのぞいてみたところ、その子は「◯◯すぺいすざいろう」と入力していたのだ。
まず、スペースキーが何か知らなかったから、「すぺいす」と文字で入力している。
さらに、「ざいりょう」でなく「ざいろう」となってて、言葉が合っていない。
そりゃググっても出ないよね、ということで、私がその子の入力を手伝ってあげて、やっと知りたい情報にたどり着くことができた。
(この時点で、検索を始めてから10分以上経過していた)
音声入力の機能を使う子もいるが、それでも機械がうまく反応してくれなかったり、誤変換などの入力ミスはよく起こる。
グーグルで検索するにしても、適切なキーワードを選ぶのは、子どもにとって案外難しいのだ。
このように、低学年だとちょっとしたことでつまづいて、前に進めない、どうしたらいいかわからない、ということは頻発する。
小学1年生を自由に泳がせて探究学習をさせるというのは、学校側も相当大変で。
その学年の先生だけでは人手が足らないので、他学年の先生や司書さんなど、総動員でマンパワーを投入している。
それにプラスにして保護者ボランティアも参加しているのだが、それでもまだまだ人手が十分とは言えない状況だ。
1年生の子どもに本当に丁寧に寄り添ってあげようと思うと、1:1で付きっきりになる必要があることも多く、大人1人で生徒2人を見るのでも、正直いっぱいいっぱいとなる。
そして、保護者ボランティアに求められるのは「それは〜したらいいよ」と教えることではない。
子どもに寄り添い、一緒に考えることが大事で、理想的な声かけとしては
・なぜ、そのテーマを調べたいの?
・なにか困ってることある?
・どうしてそれを調べるの?
・調べる方法で、こんなものもあるよ。
・これってどういうこと?
・教えて?
なとが推奨されると、保護者ボランティアのオリエンテーションで先生は説明していた。
学校側は、探究学習をより充実させるため、保護者から知見・人脈・環境・物資とあらゆるものを幅広く支援してほしい、と呼びかけている。
うちの娘はまだ低学年なので人手が必要となるフェーズだが、学年が上がると今度は専門家が必要となってくるらしい。
②につづく