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#企画メシ で 西寺郷太さんに褒められた、音楽文の書き方を話そうと思う
5月18日は、#ことばの日 ということで。何か”ことば”に関係するnoteを書きたいなーと思いまして。
いつも通り、私の下らない自分語りでもいいんですけど、どうせなら読んでくれるかたの生活を豊かにしてくれそうなものにしようかな…と。
ということで、恥ずかしながら音楽文のノウハウ的なものを書こうと思います。
昨年、私は企画メシという通ってました。約半年で12人の講師の方から、企画について教えを乞うという講座です。この講義のひとつに、音楽の企画というものがありまして。そちらの課題で提出したものについて、解説していこうかな…と思います。
音楽の企画、講師はNONA REEVESの西寺郷太さん。課題は、「10日間でマイケル・ジャクソンの好きな1曲を見つけ、その理由をA4・1枚にまとめてください」というものでした。
幸いにも私は、西寺さんにめっちゃ褒めていただき、クラスで唯一のS評価!(32人クラス) 音楽ライターとしてのメンツがギリギリ保たれました(笑)。
マイケル・ジャクソンなんて、王道 of 王道なので私ごときの文を載せることが恥ずかしかったのですが、これをきっかけに身の回りの音楽作品や音楽文について、みなさんの愛が深まればいいなと思ってます。
それでは、いってみましょうか。
そのアーティストに詳しいかどうかは関係ない
では、まず初めに私の提出した課題を掲載しますね。
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音楽ライターってことは、どの音楽にも詳しいんでしょ? 書けて当たり前じゃん。って思われそうなので、私のスペックをまず最初に書いておきます。
・普段の執筆領域は、J-POPやJ-ROCK
・フェスに行くなら、ロッキンやラブシャ、TIF
・洋楽をちゃんと聴き始めたのは5年前くらい
・マイケル・ジャクソンに深い思い入れは全くない
こんな感じなので、洋楽やマイケル・ジャクソンに対して一般の方となんら知識量に差がありません。むしろ、洋楽好きな方のほうが詳しいんじゃない? ってくらい。
ひとつ差があるとするならば、音楽文を書くポイントを私が抑えていたということ。社外秘でもなんでもないので、順をおってお話していきます。
提出者の意図を汲む
さて、今回の課題は「10日間でマイケル・ジャクソンの好きな1曲を見つけ、その理由をA4・1枚にまとめてください」でしたね。ここでのポイントは、3つ。
①10日間(課題提出締め切りまでの日数)
②好きな曲を1曲
③A4、1枚にまとめる
まず、①と②。要は締め切りまでに、マイケル・ジャクソンの曲を聴いて1曲好きなものを選んでくださいということ。ただ、それ以外を聴いちゃいけないわけでもなければ、全部を常にローテーションしなくてもよいわけです。
マイケル・ジャクソンの曲は、膨大な量があります。1曲1曲を好きかどうか吟味していたら、10日間では足りません。
そこで私は、範囲を絞りにかかりました。「よし、まず声で決めてしまおう」と。ご存知じゃない方に説明すると、マイケル・ジャクソンは時期によって声質が大きく異なるアーティストです。少年期は可愛らしい甘い声、声変わり期の不安定さは愛おしく、成人してからの並外れた表現力を発揮していました。
私は各時代の彼に触れ、好きな声質をまず選んだのです。あとは、ぶっちゃけ直感でした(笑)。だって、今回のテーマは「好きな曲」だから。「優れている曲」だと、もっと裏付けを元に選ぶべきだけど、今回はビビビッときたらそれでいいのです。
さて、③に関していうと私は「レポート形式で出そう」と決めていました。それは西寺さん自身が、マイケル・ジャクソンについて書いてる方だったから。文字でお伝えするのが、一番届くと思ったんですよね。
細かい指定もないので、レポートを書き上げてからA4に気持ちよく収まるように、文字数や行数を調整したっていう裏話はあります(笑)。
そんなこんなで私は、「All The Things You Are」を好きな曲として、A4のレポートにまとめることにしました。
"なんで好きか"をひたすら言語化していく
音楽文を書くのに、必要になってくるのが感性×事実のバランスです。感性だけで書くと共感性は高いけど薄くなりかねないし、事実だけで書くと批評性は高いけど頭ごなしになりかねない。
どっちもいい感じに両立していくことが大事なわけですね。ちなみに私の師匠は、こんなことを言っていました。
<解説記事で大事なこと>
・自分の欲求から書き表したい気持ち
・読者を想定したファン目線
・ファン以外に届けるための説得力と批評力
まさしく、今回のパターン!(笑)。この大事なことを守りながら、なんで好きかを言葉に落としこんでいくのです。
好きの理由を定義してしまう
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前半でのポイントは、全部で4つ。
1つ目(黄色)は、好きの理由を定義してしまうこと。「こういう曲が好きなんです」と最初に言いきってしまえば、「それについて語ってくれるんだな」と相手も用意ができます。要は聞く準備を整えてあげるって感じです。
2つ目(オレンジ)は、「彼について調べたよ、知ってるよ」というアピール。なんというか、食わず嫌いの人に「それ不味そうwww」っていわれても、「なにいってんの」ってなるじゃないですか。それと同じです。知ってるよ、聴いたよ、調べたよ。そのうえで、この曲がいいんだよ。という展開に繋げていきます。
3つ目(黄緑)と4つ目(水色)も、2つ目と同じジャブですね。「これが名盤だと知ってる」「彼がキング・オブ・ポップであることも知ってる」だけど、こっちがいい。自分の論説に、力強さを持たせるための手法です。
私が「この曲いいな~」って思ったのは事実だけど、理由は後付け。「All The Things You Are」を選んでから、マイケル・ジャクソンの文献をあたり裏付けを取りました。
あとは基本的に、ビビビッと来た理由を書いてます。「声変わり前のマイケルの声が好き」というのをトピックにしたので、「ここの歌い方たまんな~い♡」っていうのを勢いに任せて(笑)。
人だけじゃなく曲も調べる
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ここで線を引いたのは2つ。
1つ目(黄色)は、先ほども出てきた「知ってるよ~」アピール。その曲自体を知っていることだけでなく、その時代の歌い方も知ってるっていうのがポイントです。アーティストさんは、時代によって歌い方変えたりしますからね。
「A時代はこうだったけど、○○を経てからはBになった」みたいな背景も押さえておくとベスト。
2つ目(黄緑)は、「曲についても調べたよ!」っていうことを書いています。知らない曲に出会うと、そのアーティストのオリジナルって思ってしまいがちだけど、カバーの可能性も大いにあるわけでして。また、オリジナルだとしても「どんな曲か」は知る必要があります。
どんな時代に生まれたのか。その時のアーティストの心境は、どうだったのか。アルバムの1曲だとするなら、どういう位置づけの曲なのか。何を歌っているのか。
…と、1曲をとっても知るべきことは、たくさんあるわけですね。その背景を知って初めて、歌詞やサウンドの意味がわかったりすることもあるので、「どんな曲か」を深堀するのはとても大事。
(ちなみに私は、ライブレポートするときに、めっちゃ「どんな曲か」を深堀します)
触れてないことに手を伸ばしてみる
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超スーパーぶっちゃけてしまうと、<サウンドが好きだ>の項目は文字数が足りなくて書き足しました()
上2つの項目に書き足すこともできたのですが、適当なことを書くと間延びしてしまうので、だったら触れてないところに触れてみようと。
そして、書いたのがサウンドについてだったわけですね。
この時期の録音環境について調べて、なんでいいと思ったのかという理由を添える。「音が温かい!」→「アナログ録音だからだ!」みたいな感じです。
そして最後は、この3つの理由により「All The Things You Are」が好きと締めました。普段やる考察だと、導入の文を反芻して「やっぱそうだったでしょ?」みたいにまとめるんですけど、今回はコンパクトに。タイトルと見出し込みで1000文字ちょっとですからね。めっちゃ短いいいいい!
大切なのは向き合うこと
長い文章を読んでいただき、ありがとうございます。お疲れ様でした。
ここまで目を通してくださった方には、わかっていただけたと思うのですが、好きを言語化するにはめっちゃ事実が必要なんですよね。まずは調べることが大切。もちろん、できる限り信ぴょう性が高い情報をあたってください。
いま生きている人だったらインタビューとか。もし、もう亡くなってる方だとしても、「○○論」みたいなアーティストを考察した文献を。
そうするだけで、音楽の聴き方がちょっと豊かになったり、知らないものが見えたり、違う世界に繋がったりすると思います。
西寺さんの講義については、こちらにまとまっているので、よろしければぜひ。
せっかく1つの曲を、ゆっくり聴きこめるタイミングなので。気が向いたら「なんで好きなのか」、言葉にしてみてください (´ω`)♡
お付き合いいただきありがとうございました!
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