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【絵日記】謎の一輪車おじさんへ

2022年3月~4月に一輪車の練習をしていたおじさんへ。

一輪車はじめたておじさん

レアキャラ度★★★★☆

2022年3月。
母とショッピングモールに出かけた。
母とピスタチオクリームラテを味わっていると、窓から見える屋上の駐車場を眺めていた母が言った。
  
母「一輪車の練習しよん」
私「ん?」
  
ショッピングモールで一輪車を買ってもらった子供がさっそく屋上で練習しているのかな?さぞ微笑ましいだろうな。と思いながら母の視線を辿ると、おじさんが一輪車の練習をしていた。
壁に手をつきながら一輪車に跨って、バランスが安定せずに足を着く。もう一度跨って勢いに任せてひと漕ぎして足を着く。
一輪車はじめたておじさんだ。
  
母「なんで駐車場で練習しよんのやろ」
私「…………」
  
それもそうだが、なんであのおじさんは、おじさんという年齢になって、一輪車の練習を始めたのだろうか。
おじさんとの距離がだいぶあったため、顔立ちまでは見えなかったが、おじさんであることは遠目からでもわかる。
ごく稀に、おじさんなのかおばさんなのかわからない人と出会うこともあるけれど、おじさんで間違いはないと思う。
  
──疑問を残したまま4月。
今度は我が家の近くの土手付近で、一輪車の練習をしているおじさんを見かけた。
私は車に乗っていたため数秒程度しか見れなかったが、ふらふらとおぼつかないながらもそこそこ乗れていた。
なんだか一生懸命で微笑ましかった。
  
初見一輪車おじさんを見かけたショッピングモールからこの土手まで車で移動するとなると大して遠くはないことと、一輪車はじめたておじさんというレアキャラはなかなかお目にかかれないことから、おそらく同一人物の可能性が高いのではないかと思う。
  
私自身、出不祥インドアなこともあり、それ以降は一輪車おじさんと遭遇することなく6月を迎えたわけだが、未だ時折一輪車おじさんを思い出しては、今もまだ練習をしているのかしら?乗れるようになったのかしら?と気になってしょうがない。
  
先ほども述べたが『なんであのおじさんは、おじさんという年齢になって、一輪車の練習を始めたのか』。

妄想族の私はあれこれと想像を膨らませた。

➀子供に教えるため。もしくは子供にかっこつけたいためにコソ連をはじめた。
➁テレビかなにかで観て影響を受け、やってみたくなった。
➂コロナ禍で暇だったのでなにか新しいことを始めたいと思ってあれこれ考えた結果、一輪車に辿り着いた。
➃人から誘われて一輪車クラブ的ななにかに入ってみた。
➄上司に『飲みの席で披露できる芸のひとつやふたつ身につけろ』と言われて知り合いから一輪車をもらって始めてみた。
➅運動不足、バランス力の低下の改善。
➆そこに一輪車があったから。

私にコミュ力があればおじさんに声をかけて答え合わせが出来たのかもしれない。
「がんばれ!がんばれ!おーじーさんっ☆」と声援を送ることも出来たかもしれない。
でもこちらは生憎陰キャであるため、ただただ遠くから見守っていた。
おじさんは知らないだろう。たまたま見かけただけの人がこんなにも気に掛けているなんてことは。

2022年3月~4月に大分市内で一輪車の練習をしていたおじさんへ。

「なんで一輪車の練習をはじめたのですか?」
「一輪車は乗れるようになりましたか?」
「くれぐれも怪我にはご注意ください」
「いくつになっても挑戦することって素敵だなと思わせてくれてありがとうございました」
  
先日からエッセイを書き始めたのだが、エッセイってなんだろう。
よくわからない。
ちなみにピスタチオクリームラテは美味しかった。

上花 あや

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