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僕のことを嫌いな義理の妹がしぶしぶ彼氏の振りをして欲しいと頼んできた件

皆さんに妹はいるでしょうか?

やっぱ思春期ともなると反抗心が強くなっちゃって困ります…

しかも僕と妹は血が繋がってないので…

敵対心みたいなのが出ちゃうんでしょう…

最近はほぼ妹と話してません。

はぁ…どうしたもんかな…

リビングに行くと既に妹の蓮加はご飯を食べていた

○:お、おはよ…蓮加

蓮: …………

無言で朝食を口に運んでいる。

「あんた折角お兄ちゃんが話しかけてくれてるんだから…」

○:いや、いいんだ。
皆こういう時期はあるしね。しょうがないから…

母さんが蓮加を叱ろうとするが止める。

言われると更にムカムカしちゃうからね。

これからゆっくり関係を直していけばいいんだ…

「あれ、○○なんか首筋赤くない?蚊に刺され?」

○:えっ、ホントだ…
でも痒くもないし痛くもないけどな…

「まるでキスマークみたいだね!」

母さんがそういうと蓮加が飲んでいた味噌汁を思い切り吐き出した。

○:ど、どうした蓮加!?

蓮: …なんでもないから!ごちそうさま!

蓮加はカバンをもって家を出ていった。

「なんであの子あんな焦ってるんでしょうね?」

○:急に用事思い出したとかじゃない?
宿題やってなかったとかさ。

「あーあの子ならありえるかもね〜」

母さんとそんな話をしながら、とりあえず蓮加の味噌汁の後始末だけしてから僕も学校へ向かった。


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今日はどんな弁当だろうな〜

前まではいつも父さんが弁当を作ってくれてたが、再婚をしてから母さんが作ってくれるようになって更に楽しみ度が増した。

まぁ父さんの弁当ももちろん美味しかったけどね?

カバンを漁り取り出そうとすると…

○:あれ…弁当が…ない…

嘘だろ?

朝入れてなかったっけ…?

でもいつも弁当が置いてある所には無かったし…

母さんが作り忘れたわけはないから…

はぁ…よく分からんけど今日は購買でパンでも買うか。

席を立ち教室を出ようとすると、その場に立っていた人にぶつかる。

○:あっ!ごめん!!大丈夫!?

倒れた人の方を見ると…

「いったぁ…何すんのよ!バカっ!」

お弁当箱を2個持った蓮加だった。

○:なんだ蓮加か…
それよりその弁当って僕の…

蓮:なんだってなによ!?転けさせといて…最低…
これは…たまたま…私が2つ持ってて…

○:あー!蓮加が間違えて持ってったってことね?
なんだ、朝から来てくれればよかったのに…

蓮:朝渡したら意味ないじゃん!

○:え?なんで?

蓮:そ、それは…
…やっぱなんも無い!とりあえず話あるから来て!

○:なんだよ…気になるじゃんか…

まぁ蓮加が僕の弁当箱持ってるし、仕方ないからついて行くか…

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

○:で、話ってなに?

蓮:実は…告白されちゃって…

○:ふーん…良かったじゃん
うわっ!この玉子焼きうまっ!

蓮:でね…私好きな人がいて…

○:そうなんだ〜
ぐっ…アスパラベーコンうますぎるっ!!

蓮:ねぇ!ちゃんと聞いてよっ!!!

中庭のベンチで食べているので周りの人達が一斉にこちらを見る。

○:あんま大っきい声出すなって…目立っちゃうじゃん…

蓮:ちゃんと聞いてくれないからじゃん…バカっ…

○:聞いてるって…
他に好きな人がいるから断りたいって話だろ?
そんなのズバッと「好きな人がいます!」って言えばいいじゃん。

蓮:言ったよ!けど諦めないからって言ってきて…
今度は彼氏いるから無理って言ったんだけど
そしたら「見せてください!」って言ってきたの!!

○:そういう事ね。
じゃあ僕の友達に協力してもらおう
ちょっと掛け合ってみるよ。

蓮:そ、そうじゃなくて……

○:ん?なに?

蓮:お、お兄でいいじゃん…… 他の人に頼まなくても…

久々にこんな呼び方された…

今までは おい!とか ねぇ!とかでしか呼ばれなかったのに。

自分でもちょろいなぁと思うけど、こんな言われ方したら頑張るしかないよね…

一役買ってやりますか!

○:わかった…協力してしんぜよう!

蓮:ふふっ、なにその言い方〜!
お兄は相変わらずだなぁ〜

こうやって2人で笑い合うのも久々だな。

とりあえず可愛い妹を困らせてる子を少し懲らしめてやらないとな…

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当日。

蓮:お兄起きてぇー!!

布団を剥がされ無理やり起こされる。

○:おい…蓮加…約束の時間までまだ余裕あるだろ…
ってか今何時だよ…

外を見るとまだ日が出きっていない。

蓮:今ね!5時!!

馬鹿なんか…?
なぜ大事な日なのに5時に起こすんだ!?

○:頼むからもう少し寝かしてくれ…

蓮:やだっ!蓮加駅前で待ってるから早く来てね!

嘘だろ…

もう今から外でないといけないの確定じゃん…

玄関のドアが閉まる音が聞こえてちょっと憂鬱な気持ちになる。

はぁ…仕方ない…行くか…

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駅前に着いたのだか…

蓮加の姿が見えない。

人はそんなにいないので見逃すはずないのだが…

「じゃーん!!」


突然蓮加が後ろから出てきた。

蓮:この服可愛いでしょ?
お兄の為に可愛くしてきたんだ〜!!

妹ながら凄く可愛い…

同級生だったら間違いなく惚れてる。

そりゃ告白してきた男の子もしつこくなる訳だ…

○:よし、じゃあ行くか。

少し高くなった体温を誤魔化すように歩き出す。

蓮:ふふっ、お兄照れちゃって可愛いんだから…

○:蓮加こそ、すっごい僕の顔見てるんだね?
そんなに僕の事好きなの?

蓮: っ……

なんでそんなときめいてる女の子みたいな顔してるんだ?

てっきりバカ!とか言って叩いて来ると思ったのに…

調子狂っちゃうな…

その後約束の時間まであまり口を開かなかった蓮加だった。

○:蓮加、もうそろそろだから行こ?

蓮: はっ…
う、うん!行きます!

再び駅前に着くとかなりオシャレをしている男の子がいる。

絶対あの子だな…

かなり気合い入れてるみたいだし…

蓮:あの子が告白してきた子…

○:やっぱりか…

蓮加も少し緊張しているようで震えている。

手をぎゅっと握り

○:大丈夫だよ、兄ちゃんがいるから。

蓮加に安心出来るように声をかけた。

蓮…そういう事じゃないけど…まぁいっか…ふふっ…

○:ん?

蓮:なんでもない!早く行こ!

蓮加に腕を引っ張られ男の子の元に。

「あ、蓮加さん! …あなたが彼氏さんですか?」

嫌悪感のある目でこっちを見てくる。

○:僕が蓮加の彼氏です。

蓮:そうだよ!○○と私は愛し合ってるんだから!

恋人繋ぎをしながら腕を組んで来る蓮加。

ちょっとやりすぎじゃね…?

「僕の方がこの人よりかっこいいじゃないですか!
こんな髪長くて根暗そうな人より僕の方が!!」

蓮加は少しムッとしたように

蓮:○○の方がカッコいいに決まってんじゃん!
蓮加の彼氏舐めないでよっ!!

髪をかきあげられ目元をハッキリ見られた。

「えっ…かっこいい……」

あんまり髪の毛あげんの好きじゃないんだけど…

まぁちょっとムカついたし、少しだけからかってやるか。

髪を手でかきあげ近づき男の子の耳元で

○:ごめんな…俺のがかっこいいみたいだわ。

と囁いた。

男の子の顔を見ると…

少し涙目になっている。

ちょっとやりすぎたな……

「じ、じゃあキスしてみてくださいよ!!
本当に好き同士なら出来るじゃないですか!」

この子も諦めが悪いな…

でも流石に妹とキスする訳には行かないし…

どうしようかと考えていたら、

蓮:○○!こっち向いて!

と蓮加に顔を掴まれ…

気づいた時には口と口が触れ合っていた。

ばかっ!そこまでしなくても……

もう十分だと蓮加を引き剥がそうとすると…

○:んんっ!!

舌まで絡めてきやがった…!

どこでそんな技術を覚えたんだ!!

それを見た男の子は泣きながら

「お幸せに…ぐすっ…」

と帰って行った。

蓮:はぁ…はぁ…作戦成功だねお兄!!

○:バカ!やりすぎだよ!
そんな事しなくても最悪一瞬で良かったのに…

蓮:だって雑誌に書いてあったんだもん!

○:男の子を振るにはこれが効果的ってか?

蓮:ううん!

蓮加はニンマリしながら近づいてきて…


「好きな人を落とす方法 ♪」

と呟いてきた。

○:な、なにを言って…
今までずっと酷い態度取ってたのは…?

蓮:お兄が好きすぎて距離感分からなくて…
でも寂しいから盗撮した写真みて我慢してた!

だからあんな隣の部屋から奇声が聞こえてきたのか…

○:全部今までの演技だったってこと…?

蓮:そうだよ!お兄が鈍感で気づかなかっただけだけどね!
お母さんとか普通に気づいてたし!

だから蓮加があんな態度取ってても対して怒らなかったのか…

前の朝の時もあんまり怒る気ないように見えたし…

蓮:でもあの男の子振るのに緊張してたのはほんとだよ?
それよりもお兄と公認でイチャイチャ出来るのが嬉しかった…!

こいつ…小悪魔だ…

恋愛になれてやがる…

蓮:この後お兄とチューするって考えたら…
そっちの緊張で体が震えちゃった!

あれ今から振るからじゃなくてそのあとの展開を考えた緊張だったのかよ…

蓮:最後に1つ言い忘れてたんだけど…

○:まだなんかあんの?勘弁してくれよ…


「あれ、蓮加のファーストキスだから…
責任……取ってよね…?」



年齢に似つかない妖艶な表情をする蓮加。

蓮:ふふっ、じゃあ帰ろっか…?○○?

いつまでも唇から消えない感触。

僕も蓮加の事……なんてね…

蓮:早く行くよお兄!!

○:はいはい、分かったよ!

仲良く手を繋いだカップルのような兄弟の姿が夕陽に照らされていた。











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