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終わり良ければ全て良し


「なぁ…もう見てるのが辛いんだ……」



目の前で暗い顔をしている彼女に優しく語りかける。



『でも…忘れようとしても…忘れられないのっ…』


彼女は唇をギュッと噛みながらそう応えた

 

俺は今彼女の相談に乗っている状態


彼氏が昔と違い、自分に冷たく……

更には自分への暴言、軽い暴力もあったみたいだ。

そんな奴じゃなかったのに…



この状況を俺はどうにかしてあげたい




自分に利益もないのになんでそんな事をするのか?


そんなの決まってるだろう


俺は…彼女の事が________




───────────────



「なぁ、史緒里。あいつと付き合ったんだって?」



『うんっ!私の方から告白したんだ!』




史緒里は笑顔で俺に報告する



その後も嬉しそうに近況を教えてくれてさ…



こっちの気も知らずに。




・・・・・・・・・・・・・




俺達はいつも4人で行動していた

大学の授業や休みの日などもずっと一緒

メンツは

俺と△△という男友達。


それに史緒里とあともう1人は美月という女の子




ずっといる度に段々俺は史緒里の事が……



でも


史緒里が選んだのは俺じゃなく△△だった


もちろん今の関係を崩したくない俺は
自分の想いを口に出せるはずもなく…


このまま彼女への思いを
未練がましくズルズルと引きずると思っていたら


△△と史緒里が喧嘩をしたという話を聞いた


それで今相談に乗っているというわけ


もしかしたら…という淡い期待をもって。




「俺これ以上史緒里の辛い姿を見てられないよ…」


『○○…』


「俺だったら史緒里の事を幸せにできる自信がある
なぁ…史緒里…もし良かったら俺と…」


『待って…そこから先は…まだ聞けないや…』


史緒里が席を立とうとする


「ご、ごめっ…そんなつもりじゃ…!」


『私は…昔の△△に戻ってくれるって…まだ信じてるから』


史緒里は悲しそうな顔をしながらそこからいなくなった


俺は間違いを犯してしまったのか?


好きな女を心配する事はいけない事だったのか?


どこにも吐き出せないモヤモヤだけが心の中に残った



────────────────




『ねぇ…私の事助けて…!』


「ごめん、今そんな気分じゃなくて…」


『本気で困ってるの!お願い!!』


「美月…まだ可能性の段階でしかないんだろ?」


『そ、そうだけどさ…』


俺は史緒里と別れたあと美月に呼び出された。


美月は今ストーカー被害を受けてるらしい


姿は見ていないが…気配を感じると言っている


史緒里にフラれたも同然の俺は
美月の言葉を真剣に考えることが出来ず…


「俺今夜用事あるから…ごめんな」


『嘘でしょ…!? 私の事見捨てるのっ!?』


「また予定がない時は付き添いするから…
今夜は俺から△△にお願いしておくよ」


『…私○○の事が好きで頼ったのに!!
○○のバカっ!もう知らない!』



今日だけで2人の女の子を失望させてしまった


本当に俺はダメな人間だ…


美月は俺の事を好きと言ってくれたのに

史緒里の事ばかり考えてしまって……


とりあえず何も考えず用事を済ませよう


きっとこの苦しさも…すぐに"消えるはず"だから。





──────────────





『もうっ!本当に○○信じられない!
こんなに困ってるのに見捨てるなんてっ!!』


「まぁまぁ…一応あいつ俺に連絡くれたじゃん?」


『そうだけど!!
…○○の事好きだったから頼ったのに無視って!』


「はは…今日は用事があったからダメみたいだし
明日からはしっかり○○が守ってくれるでしょ」


『そうだったらいいんだけどね……』



私は○○への愚痴を言いながら△△と夜道を帰っていた


今日は△△もいるし何事もなく帰れるかと思ったが…


『ね…ねぇ…△△。 わかる…?』

「あぁ…見られてるな。確実に。」


後ろからいつもの視線を感じた

やはり…私のストーカーはちゃんといたんだ…

ハッキリと自覚すると…

今までの恐怖に体の震えが止まらない


「美月…大丈夫だから安心しろ…」


△△は私の手を引っ張り走ってくれたが……


段々と追いつけなくなってきて


とうとうストーカーの足音が近くまで近づいてきた。


「くそっ…やるしかないか…! 美月は俺の後ろに!」


△△は私の事を考えて
ストーカーを迎え撃つという選択肢をとる


真っ黒なパーカーを着ていて
顔は…何かを被っているみたいで見えない。


△△も震えているのに…私の為に体を張って…


『む、無茶しないで…私のせいで△△が傷ついたら…』


「大丈夫…美月は何も心配しないでいい。
惚れた女に…かっこいい所見せたいんだ」


『えっ…?』



史緒里がいるのに…?


そんな考えが頭によぎったが


今は△△の事しか考えられなかった。


『頑張れ…△△っ…!!』



数分間の揉め合いになり


ストーカーはこれ以上大事にしたくないみたいで
この場から走り去っていった


……あの姿どこかで見た事あるような?


まぁそんなわけないよね…とりあえず…

『うう゛っ…△△…良かった……』


「ははっ…あんな奴に負けるほどヤワじゃないよ
とりあえず美月が無事でよかった。」


私は少しの間△△に抱きつきながら涙を流していた



・・・・・・・・・・



『ねぇ…さっき言ってた事って本当…?』


「……本当だよ。」


普段見ない△△の真面目な表情。

決して冗談をいってるようには見えなかった



『…まだ一人じゃ怖いの…一緒に私の部屋来てよ…』


「うん、今日は美月と一緒にいるよ」


史緒里…ごめん…

頭の中でそう呟きながら彼にキスをした。



────────────────



数日後


「史緒里…話良いかな…?」


『私も相談したいことあったんだ…○○に…』


史緒里の表情はとても辛そう

前まで見せていた太陽のような明るい笑顔はない


きっと最近ほぼご飯を食べていないだろうな…


数日前よりかなり痩せている。


辛そうな史緒里に肩を貸し自分の家まで連れていった



・・・・・・・・



「史緒里…俺もまさかあんな事になるなんて…」


『ぐすっ…なんで…なんで私の事を…』


史緒里が今泣いている理由は


急に大学内で騒がれている



"美月と△△の関係"だ。



出処は分からないが、なぜか2人がキスしている写真が
大学内で回り俺たちの所にも入ってきた。



『私…ずっと△△を想ってたのに…』




史緒里が泣く姿を見て…俺も胸が痛くなる


「史緒里…あんな奴の事考えなくていいよ…
史緒里には…俺がいるからっ…!!」


彼女をぎゅっと抱きしめ自分の思いを吐き出す。


『○○…私の中から△△の事消して…』


「俺の事だけしか考えられないようにするよ…」


2人はお互い求め合いながらベッドへと向かった。




─────────────




その後、俺らは4人で集まる事はなくなった。



△△は美月と


俺は史緒里といる事が当たり前になり…


でもそれでいいんだ。


それで皆が幸せだから……




"なぁ…そっちは順調か?"


"あぁ…お前のおかげで助かったよ。"


"じゃあお互い幸せになろーな!
また飲みにでもいって近況報告しようぜ!"


"おう、じゃあまた予定たてるか"



『ねぇ…○○!私とのデート中なのに携帯見すぎ!』


「あぁ…ごめんごめん…じゃあデート楽しもうか」




ここまで色々あったが…

まぁ"終わり良ければ全て良し"だよな…?


END


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