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クールなあの子はイメージと全く違い、僕と同じオタクでした。

気まずい…

凄く気まずいぞ…

僕の学校は9月に文化祭があるのだが、早いうちに文化祭の実行委員会をクラス内で決めるのだ。

そして選ばれたのは寝てた僕と……


目の前で無表情でいる井上和さんだ。

井上さんは学年どころか学校でかなり人気の存在。

こんな面倒くさい役目を自分から立候補するはずないのになんで実行委員になったんだろ…?

○:い、井上さんはなんで実行委員になったの…?

和: ・・・・・・・・

む、無言ですか…それは中々へこみます…

和: ……を弄ってた

○:へっ?

和:携帯弄ってて先生の話聞いてなかった…

井上さんが話してくれたぞ…

なんかそれだけで感動しちゃうな。

○:そ、そっか…変なこと聞いてごめんね…

話してくれたとはいえ、気まずい状況は変わらない。

和:ね、ねぇ…

○:どうしたの?

和: …皆私と接する時気持ち悪い反応するのに○○君はしないんだね?

○:あー姉がいるからかな。
っていうか気持ち悪い反応って…?

和:なんか話してる時ニヤニヤしたりしてて気持ち悪い…
馬鹿にされてるみたいでちょっと腹立つし…

それ井上さんが可愛すぎてにやけちゃってるだけです…

男達よ…井上さんが困ってるから抑えなさい…

○:まぁ井上さん可愛いし皆緊張しちゃうんじゃない?
優しく接してあげれば大丈夫だと思うよ?

井上さんの頭に手をぽんぽんと軽く当てた。

和:あ、頭ぽんぽん…

やばっ…

○:ご、ごめん!姉にもやってるからつい…

和: …お姉ちゃん羨ましいなぁ

○:えっ、今…

和:な、なんでもないっ!
私明日早いから!ばいばい!!

井上さんは走って教室を出ていった。

羨ましいって言ってたよな…

まぁ聞き間違いか。
井上さんが僕なんかで喜ぶわけないし…

さぁ、僕も明日早いし早く家帰って寝よ…

明日は…前からずっと楽しみにしてた"あれ"の日だし!

僕はいつもと違いウキウキ気分で家に帰った。


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よし、席はここだな…

今日はあの"乃木坂46"のライブだ!

今まで全然当たんなかったけど…
ようやく当たったのでずっと楽しみにしてたんだ!

端っこの席だから隣も1人しかいないし…

なんていい所を当てたんだ!

はぁ…楽しみだなぁ…

隣の人もうちわやスケッチボードなど持ってきている。

女の人っぽいけど…

やっぱり乃木坂は女の子人気もあるんだなぁ…

おっ、始まるぞ!

OVERTUREが流れ始め、会場が一気に盛り上がる。

「おおぉぉぉぉぉぉ!!!」

皆の声が会場内に響き渡る。

凄いな…これが乃木坂のライブか…

隣の女の子もすごい声出してるし…

…ん?

気のせいかな…

すごく聞いた事あるような声してるんだけど…

まさに昨日聞いたような……

○:あ、あの〜?

「はい!なんでしょう?」

○:もしかして…井上さん…?

「…嘘っ…○○君…」

マスクと帽子を被って変装のような姿をしていた隣の人は…

紛れもなくあの井上さんだった。

○:奇遇だね、僕も今日のライブ当たって…

和:どうしよどうしよ…
バレちゃったら学校で噂されちゃう…
アイドルオタクなんてバレたら友達皆に引かれる……

早口でブツブツと呟いている。

とても焦ってるみたいだ。

○:い、井上さん?

和:はっ!? ごめん…取り乱しちゃって…

○:ここでの事は何も言わないからさ?
今はライブ楽しもうよ!また後で話そ?

和: …うん!そうだね…今は楽しまないと!

井上さんは推しメンの"遠藤さくら"のタオルを掲げ
ライブに没頭していった。

僕も今は楽しまないと!

せっかく当たった乃木坂のライブなんだから!

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

和:み、見た!?
今さくちゃんがこっちにズッキュンしたよ!?

○: …うん、見た見た

和:凄いことなんだよ!!
そんな低いテンションな事ある!?

○:いや、凄いテンション上がってるよ!
それより井上さん顔近いよ…?

熱が上がりすぎて僕の方にすごく近寄っていた井上さん。

和:あっ…ごめん…

目線を下に落とし照れている井上さん。

○:下向いてる場合じゃないよ?
これから沢山ファンサ来るだろうし!
ちゃんと見てないとね?

和:う、うん!!

それからも普段学校では見れない井上さんの姿が沢山見れた。

和:うわっ!にゃんにゃんさくしてくれた!!
○○君!めちゃめちゃこっち見てファンサしてくれるよ!

○:スケッチブック見せたらしてくれるかもよ?

スケッチブックには"投げキッスとウィンクして"という文字が書いてあった。

和:そうだね!
さくちゃーん!!こっちみて〜!!

井上さんは懸命に大きい声を出してスケッチブックを掲げていた。

和:きゃー!してくれたんだけど!!
マジで幸せ…もう死んでもいい…

放心状態になりかけてる井上さん。

和:それにしてもなんでこっちばっかにファンサしてくれてるんだろ…

○:たまたまじゃない? きっとそうだよ!

和:あれ○○君って…いや…まさかね…

○:ほら、他のメンバーも回ってきたよ!

和:あやめちゃん〜!かっきー!

井上さんは再び自分の世界に入り込んだみたいだ。

僕は乃木坂よりどっちかというと井上さんの方に目を奪われていた。

_____________

ライブも遂に終わった。

とても楽しいライブで満足感がすごい。

和:ね、ねぇ○○君…
○○君が良ければ…一緒にご飯行かない…?

○:うん、いいよ!僕でよければ一緒に行こっか!

和:ふふっ…やったぁ…

ライブのおかげで井上さんもすごく上機嫌だ。

和:それにしてもさくちゃんのファンサ凄かったなぁ…

○:すごい反応してくれてたね!

和:もう一生分の幸せ味わったかも…

○:井上さん本当乃木坂好きなんだね?

和:そりゃもちろん!
前だって実行委員決める時とか乃木坂のライブ映像見てたらいつの間にか私に決定しててびっくりしたし!

あぁ…
優秀な井上さんが実行委員になった理由はそれだったか…

和:良かったらでいいんだけどさ…
1ヶ月後にある握手会とか一緒にいかない!?
今までずっと1人だったから寂しくて…

○:うん全然いいよ!
僕ももっと井上さんと仲良くなりたいしね!

和:仲良くなりたいって本当…?

○:もちろん!
こんな可愛い子と仲良くなれたら幸せだよ?

和:じゃあさ…?
前握手会言った時さくちゃんからあだ名もらったんだけど
その呼び方してくれない…?

○:いいよ、なんて呼べばいい?

和:えっとね…

「にゃぎって…呼んで欲しいな?」


うっわ…照れてる井上さんまじ可愛い…

でもにゃぎか…僕も恥ずかしいな…

和:やっぱ…呼んでくれないかな…?

○:ま、待って!呼ぶから!

和:せーのっ!

○:に、にゃぎ…

和:ぐっ…なんか凄いキュンキュンした…

めっちゃ恥ずかしいな…

こんな場面姉に見られたら大変なことになっちまう。

○:あ、ご飯来たし早く食べよ!!

和:なんでそんなに焦ってるの…?

○:なんか嫌な予感がして…

和:ふーん、まぁいいや!頂きます!

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

何事もなくご飯を食べ終わり遂に井上さんと別れの時に。

和:じゃあまた明後日ね?
握手会の約束忘れないでよね!

○:大丈夫、忘れないから!じゃあまた!

僕の姿が見えなくなるまで手を振ってくれた井上さん。

学校からは想像できないくらいの可愛さだった。

いつもクールな井上さんがあんなに可愛いとは…

いつの間にか井上さんが頭から離れなくなっていた僕だった。

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ガチャ

「ねぇ!○○!ようやく来てくれたと思ったのに何!?」

○:何って何?

「隣に女の子いたじゃん!どういうこと!?」

○:あぁ…やっぱ気づいてたか…
だからあんなにファンサ多かったんだな…

"さく姉"


さくら:席の場所聞いてたしすぐ分かったよ!!
あの女の子との関係ちゃんと説明してよね!

○:学校の知り合いだよ。
さく姉の握手会も行ってたみたいだし

さくら:名前なんていうの?

○:井上和さんだよ

さくら:あー!あの子か!
私がにゃぎちゃんって名前つけた子だ!!

○:すっご…よく覚えてんね…

さくら:かなり可愛かったから覚えてた!
でもさくの方が可愛いけどね〜


アイドルらしいポーズをとる姉。

井上さんがこの事知ったらどう思うかな…

まさか知り合いが推しメンの弟なんて思わないよな。

さくら:とりあえず嫉妬したから今日は一緒に寝る!
拒否権はない!おやすみ!

素早く僕をベットに倒れさせ抱き枕にする姉。

○:はぁ…こんな事流石に言えないな…

楽しかった思い出があっという間に姉によって塗りつぶされていきました。

さくら:むにゃむにゃ…○○大好きだよ…

○:うっさすぎて寝れないんだけど…

もしかしたら続くかも?












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