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なんか…よく分からないけど…ペットが人になったみたい


僕はとても人見知りで…


彼女なんていた事ないし、友達も数少ない


仕事の愚痴も言える人がいないから
どんどんストレスは溜まっていくばかり。


だが…そんな僕を慰めてくれる唯一の存在がいる


急ぎ足で家に帰り、ポケットから鍵を取り出す


このガチャガチャという音が聞こえると
いつも出迎えに来てくれる優秀な子…


○○:ただいま遥香ー!


「にゃおーんっ……!」


○○:よしよし…今日も可愛いなぁっ…!!


この子は家のペットの遥香。


ちゃんと僕が言ったことは理解してくれるし
お留守番の時もいい子で待っててくれる

いいんだ、彼女や友達がいなくたって…!

僕には遥香がいてくれればそれでいい!


ささっとご飯を済ませ遥香と一緒にお風呂に入る


○○:はぁ…今日も色々疲れたよ…
電車に乗遅れそうになったり、上司に怒られたり…

「にゃっ…?」

大丈夫?元気だして?

遥香がそう言ってくれてる気がした。


○○:遥香…ありがとね…
よーし!明日からも遥香の為に頑張るぞっ!!

「にゃー!!」

○○:明日も早いし、もう上がって寝ようね〜!

遥香の体に付いた水気を丁寧に拭き取り
2人でベッドに入る。

○○:明日はもっといい日になるよね…遥香…

「にゃんっ!」


僕は遥香を抱いて眠りについた。



──────────────────



○○:はぁ…憂鬱だけど…今日も仕事行ってくるよ…!
遥香お留守番よろしくねっ!


「にゃーんっ!!」


○○:じゃあ行ってきますっ!


「ご…し……ゅ……」


○○: …えっ?


今遥香が喋った気が……


「にゃん?」


どうしたの?という目でこちらを見ている。


○○:疲れすぎておかしくなってるのかな…
ははっ…とりあえず仕事いこ…



・・・・・・・・・・・・



○○:はぁ…今日も疲れた……
遥香に癒してもらわないと無理………



家のカギを開け、玄関に入ると…


いつもは走り出してくる遥香が来ない。


○○:は…遥香!? なんかあったのか…!
………えっ?


驚いて言葉が出ない……



なぜかというと…


いつも遥香が寝転がっている定位置になぜか美女が寝ているからだ………しかも裸で……


○○:ち、ちょっと…! こんな所で何してるのっ…!?



急いで裸の美女に布団を被せる。



「にゃっ…ご主人様もう帰ってきたのかにゃ…?」



○○:だ、誰だあんた!!


「誰って…ご主人様のペットの遥香だにゃ…?」







○○:は…はぁぁぁぁぁ…!!?
き、君が遥香!? 嘘つけ!遥香は猫だぞっ!!


遥香:嘘じゃないにゃ!
ほら!尻尾も生えてるにゃ!


○○:ほ…本当に生えてる……
は、遥香なのか…?


遥香:だから何回もそう言ってるにゃ!
あ、忘れてた!いつもお疲れ様にゃ!


遥香は布団を剥ぎ、
僕に近づくとお疲れ様のチューをしてきた。


確かにいつも日課でやっているけど、
これはさすがにやばい……


○○:っ……遥香これからはチュー禁止だ…


遥香:えーっ!なんでにゃ!
ご主人様の唇柔らかくてすき……



○○:無しったら無し!!
それに……まず服を着てくれ……


猫だった時服を着せてなかったからか、恥じらいもなく裸のままでいるがこれじゃあ見る事すらままならない。

遥香:そうか!人は服を着るんだにゃ!
私も服着るにゃ!


もちろん女性用の服など用意してないので
一旦僕のYシャツを着せることに…



遥香:なんか変な感じだにゃ……


○○:明日服を買いに行こう…
いや…色々と買わないといけないか……


目の前で起こっている謎の現象を飲み込もうとするが
中々脳が理解をしてくれない。


遥香:ご主人様…疲れてるかにゃ…?


○○:あぁ…まぁこれからの事を考えたら…そうだね…


遥香:そうかにゃ…


○○:あ、遥香のせいとかじゃなくて!!
その色々とさ!


遥香:分かったにゃ……


まさか出ていくとか言わないよな…?


遥香:ならとりあえず一緒にお風呂に入るにゃ!
そして愚痴を沢山吐き出すのにゃー!


○○:ぶっ…! 一緒にお風呂!? それはまずいだろ!


遥香:なんでにゃ…?
いつも一緒に入ってたにゃー!


○○:あ、あれは猫だったからで…


遥香:なんで私が人になったらダメなのかにゃ?


○○:その…遥香が…可愛いからだよ…!!


遥香:えへへ…嬉しいにゃ…!
でも私が可愛いなら一緒に入った方がいいんじゃにゃい?


○○:その…まぁ色々事情があるんだ…!!
とりあえず早くお風呂入ってきなさいっ!


遥香:ちぇーっ…分かったにゃ…大人しく入るにゃ…




ちょっぴり拗ねた顔をしながらお風呂に向かった遥香。



○○:やばいな…これから一緒に過ごすのか…
ただでさえ人見知りなのに…不安だ……


とりあえず遥香がお風呂に入っている間に
ご飯を食べようとカップラーメンのお湯を用意していたら


○○:あれ…遥香って…何食べるんだろ…?


いつもはキャットフードを上げていたが
これからは人用の食事の方がいいのか?


○○:うーん……


悩みながら最初のひと口を頬張ろうとしたとき…


遥香:ご主人様ー!拭いてにゃー!


また裸のまま遥香が突撃してきた。


確かに僕が毎日拭いていたが……


○○:もう自分で拭けるでしょ!!


遥香:そっか!確かに出来るにゃ!


遥香はタオルをぶん回しながらお風呂場に戻る。


○○:遥香には細かい事まで教えないとダメみたいだな…


遥香が出てきたので次に僕が入る事に。


その間に遥香にはお風呂の前にいてもらい注意事項を教える


そしてその時に分かった事なのだが
猫の時あれだけ好きだったキャットフードはもう美味しくないみたい。


代わりにカップヌードルを食べさせたら
3日ご飯を食べてなかったかのようにがっついていた


大してお金もないのに食費が2倍になってしまったのも
少し痛いところではあるが……


○○:遥香…美味しい?


遥香:うん!とっても美味しいにゃ!!


○○:そっか…


何気ない会話をしてくれる存在が増えたのは嬉しいかも…
いつも…1人だったから……


○○:さぁ…じゃあ僕はソファーで寝るから。


遥香:ん?なんでにゃ?


○○:だって…流石に2人で寝るには狭いし…


それにこんな可愛い子が近くにいたら寝れないっていうのが本音ではあるけど……


遥香:大丈夫にゃ!詰めれば入るにゃ!


○○:いいよ!僕がしばらくソファーで寝るから!
ちょっとしたら布団買えばそれでOK!


遥香:じゃあ私もソファーで寝るにゃ
ご主人様がいないと安心しないにゃ!


○○: ……分かったよ。ベッドで寝よう。


遥香:やったにゃ!!





遥香:おやすみにゃー!

そういうと遥香はすぐ眠りについた。
確かに猫の時もすぐ寝てたなぁ……


はぁ…心臓バクバクで寝れないっつーの…


同じ洗剤使ってるはずなのに
なんでこんなにも…いい匂いなんだろうか……


・・・・・・・・・・・・・


遥香:ご主人様おはようにゃー!!
あれ、なんか表情が暗くにゃいか?

○○:あぁ…うん…そのあんま寝れなくて…


遥香:じゃあ今日は寝れるように
私が子守唄を歌ってあげるにゃっ!


あなたが原因ですよ…なんて言えるわけないな…


そこから寝不足のまま遥香の服や必要な物を買いにいった



だがこの買い物で1つ喧嘩が発生する……



遥香:ご主人様浮気はよくにゃいぞ!!!!
私がいるのになんで浮気するんだにゃ!!


○○:浮気じゃないって!!


遥香がなぜこんなにも怒っているかというと……



僕が腕に抱えてるこの子が原因。



買い物の帰りに道端に落ちていた捨て猫


「にゃーんっ…」と寂しそうな目で見てくるものだから
ついつい抱えてしまい……


○○:よし、この子うちで飼おう!


と言ったのが事の発端。



遥香:私が人の姿になったから
もう好きじゃなくなったのかにゃ……?


涙目になる遥香。




○○:違うよ!!
遥香の事は今でも……大好きだって!!


遥香:じゃあこの子いらないにゃん!


○○:だって…このまま放っておくのは可哀想だろ…?
それに遥香のキャットフードだって大量に残ってるし…
だったらこの子に食べさせてあげた方がいいじゃん?


遥香:はぁ…ご主人様は優しいけど浮気者にゃ…
まぁいいにゃ!私とご主人様の子供って考えるにゃ!


○○:こ、子供…!?
まぁ…そういう考え方も出来なくはないけど…


遥香:ふふっ!大切に育てるにゃ!
じゃあ名前は……"真佑"に決定にゃん!!


○○:そ、そんな雑に…
でもいい名前かもな。これからよろしく!真佑!


「にゃゃあー!!」


遥香:この子も喜んでるみたいだにゃ!ご主人様っ!

○○: …もうそろそろご主人様やめない?


遥香:ご主人様はご主人様だにゃ!
早くお家帰ってご飯食べようにゃん!


○○:はぁ…あんまり食べすぎないでくれよ?


遥香:大丈夫だにゃん!真佑もそう言ってるにゃん!


「にゃおぉっ…!」


○○:本当に大丈夫かな……


こうして2人(元1匹と)ペット1匹の奇妙な生活が始まった。


続く










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